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リアクション
そして、始まった予選会。午前は参加者の知能を試すペーパーテストである。
「(この程度なら、問題ないな)」
博識、最先端テクノロジー、R&Dによって身に付けた知識を用いて、湊川 亮一(みなとがわ・りょういち)はすらすらと解答を書いていった。
「(ラスト、以下のイコンの中で第二世代相当ではないもの……。クルキアータ、ジェファルコン、ウルヌンガル、量産型饕餮、玉霞、流星か……。これは玉霞。よし、これで良いだろう)」
「(イコンとかあまり詳しくはないのよね……)」
イコンの問題に引っかかりつつも回答していくパトリシア。
「(以下のイコンの中で第二世代相当ではないもの……? うーん、どれかしら……。流星? 玉霞? よし! 玉霞で行こう!)」
悩んだものの、何とか正解を選べていた。
「…………」
ボーっとしているサーシャ。
「……(すやすや)」
というより、熟睡中。でも、解答欄は綺麗に埋まっていたのだった。
「(わたくしはこんなところで立ち止まるわけにはいきませんわ。必ずここを突破して、前線へ参りますわよ)」
気合十分。九條院マリア(沢渡 真言(さわたり・まこと))は、すらすらとペンを進めていった。
「(えっと、イコンの中で第二世代相当ではないもの……。これは玉霞ですわ。この程度で、わたくしは止められませんわ。さて、後はミスがないか確認するだけですわね)」
ひと通り解き終わったところで、彼女は見直しを始めた。
「(以下のイコンを世代別に分けよ? アンズーって確か……第何世代でしたっけ? パトリシアさんにしか興味がない僕に分かるわけないじゃないですか。とりあえず勘で選ぼう)」
解答欄を適当に埋めているのは、鳴海 翔一(風祭 隼人(かざまつり・はやと))だ。
「(第二世代相当ではないイコン……。これだ!)」
回答欄に書いた答えは『凄まじい枕』。
「(これでよしっと)」
合ってる間違っている以前の解答を書いた翔一だった。
「……よし、それまでだ。午後はシミュレーターを使った実技のテストになる。それまでは休憩時間だ。食事を取るもよし、次に備えるもよし。自由にするといい」
こうして、午前の知能テストは無事に終了した。
「もう一人の『C』、コード:S^2ですか……」
休憩時間、雪比良 せつな(ゆきひら・せつな)とナナシから話を聞き共に校舎内を巡回する、端守 秋穂(はなもり・あいお)、ユメミ・ブラッドストーン(ゆめみ・ぶらっどすとーん)、セレナイト・セージ(せれないと・せーじ)、アヤ(志方 綾乃(しかた・あやの))の四人。
「あぁ、正直信じたくはないが……」
「被害が出る前に、止めないと……」
「そうですね」
「『C』めー……秋穂ちゃんに攻撃したり、未来をめちゃくちゃにするなら許さないからー!」
「…………」
せつなや秋穂達の後ろで会話を聞きながら、アヤは黙々と歩いていた。
「(もし、私の疑いが真ならば……倒すべきはナナシ……)」
彼女はまだ、ナナシが『C』の関係者ではないかと疑っていた。
「(……コード:S^2。遭遇してくれれば真実が分かるのですが……)」
アヤの手にはあくまで推測と書かれたメモ。そこには、
せつな=『C』の真祖? まだ本人に自覚なし? ナナシ=Cから送られてきたせつなの護衛、あるいは覚醒者? コード:S^2=Cまたはナナシを抹殺するために未来から来た反C派暗殺者?
という文字が書かれていた。
「……アヤさん、さっきから黙っているみたいだけど、どうかした?」
彼女の様子が気になったのか、セレナイトが声をかける。
「いえ、何でもありませんよ。周囲を警戒しすぎてつい無言になってしまっていただけです」
すぐさま取り繕い、誤魔化す。
「そう? なら良いけれど。何かあったら言ってね?」
「ありがとうございます」
「みんな止まれ」
二人が話しているところで、先頭を歩くナナシがみんなを手で制する。そばの茂みから出てくる男子生徒。せつな達の正面に立つと、ゆっくりとせつな達と対峙した。
「キミ、そんなところで何をしていたの?」
せつなが男子生徒に話しかける。せつな達がいるのは、現在予選会で人気の少ない中庭。
「探し物……でしょうか?」
「答えろ。何者だ?」
「探し物……。いや、捜し人……」
「捜し人……?」
「確認……」
男子生徒がナイフを両手に持つ。
「みんな気をつけて!」
それを見て、せつな達も全員構える。
「……抹殺する」
そして、跳躍。一瞬にして、せつな達との間合いを詰めきてきた。
「危ない!」
すぐさませつなが男子生徒と自分達の間に氷の壁を作り出す。男子生徒のナイフは氷の壁に阻まれた。
「まさか、コード:S^2!?」
「あれが? でも、女子生徒って話じゃなかったっけー?」
「姿を変えられるのだろう。気をつけろ」
お互いに相手の出方を伺う。
「……待ってください」
そんななか、アヤは一人前に出た。
「アヤさん!? 危ないよ!?」
「あなたがコード:S^2。あなたに聞きたいことがあります」
「…………」
無言で返す男子生徒――コード:S^2。
「あなたはせつなさん達に『未来において、脅威となるもの』について話していました……。それは『C』の事ですか?」
「『C』……? 否。そいつは、『C』ではない……」
「……そうですか」
嘘感知を使いながらコード:S^2の言動を聞いていたアヤ。
「そういうことでしたら……」
アヤは剣を抜き、コード:S^2に突きつける。
「あなたは私の倒すべき相手です」
彼女はコード:S^2と接触する事で真実を見抜こうとしていた。今、疑問は解消され倒すべき相手を見定める。
「すみません、このような事をしてしまって」
「いや、構わない。どの道、俺のやることに変わりはない。『C』であるならば、始末するのみ!」
「……行動再開」
コード:S^2が再び跳躍し、せつな達にせまる。
「せめて足止めだけでも!」
セレナイトが雷術をコード:S^2に放つ。それを見てコード:S^2はすぐさま、ステップし回避。
「そこです!」
すかさず、アヤは迎撃した。
「……防御行動」
アヤの剣撃をナイフで受け止め、コード:S^2が後方に回避する。その動きの中、身体を翻すようにして素早く無数のナイフを投擲。
「させません!」
秋穂がサイコキネシスを放ち、ナイフの勢いを落として無効化する。
「……妨害者排除」
その様子を見て秋穂を「障害」として認識したコード:S^2が、秋穂に向けて突撃してくる。
「秋穂ちゃんを傷つけるなぁぁぁぁぁ!!」
ユメミがサイコキネシスを発動。周囲にあるものをコード:S^2向けて飛ばす。
「……後方退避」
コード:S^2が距離を置く。そして、すぐにナイフを構え攻撃しようとする。
「みーつけた♪」
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