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汝、己が正義を信じるや? ~善意の在処~

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汝、己が正義を信じるや? ~善意の在処~

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■幕間:脅威ふたたび

 葛城らの背後、引き摺るような音とともに姿を現したのはエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)だ。
 誰かと戦っていたのであろう。腕や仮面から血が流れているのが見える。
「……」
 彼の手に機械仕掛けの腕が握られているのが見えた。
 どこかで見たような腕だ。
「……っ!?」
 久瀬は思い浮かんだ事実を否定するように腕を伸ばした。
 『彼女の腕』を掴むが、同時にアザトースに自分の腕を掴まれた。
 視線が交差する。
「久瀬先生!」
 御凪が叫ぶと周囲の温度が急激に下がった。
 アザトースの腕が凍っていく……が遅い。
「があああああっ!!」
 久瀬が叫ぶ。彼の腕は引き千切られ肘から先を失った。
 血が流れ、止まる様子は見えない。
「人命優先だ。さっさと逃げるぞ!」
「同感だ」
 アルクラントは言うと懐から機晶爆弾を取り出し、アザトースへと投げた。
 追撃するように玖純がランチャーを放つ。
 閃光と熱がアザトースの眼前で炸裂した。

                              ■

「……迂闊でした」
 ジョージに担がれた久瀬が息を荒げながら言った。
 イングラハムが久瀬の腕の断面を確認する。
「我の見たところ細菌類は見当たらんな」
「だったらちゃっちゃと病院に行くぞ」
「そうですね。いくら俺でもずっとこうしてるのは疲れますし」
 玖純と御凪が治癒術を行使しながら言った。
 彼らのおかげですでに血は止まっている。だが出血が多かったせいだろうか、久瀬の意識は朦朧としていた。
 ときおり意味不明なことを言い出す。
「結局、真相は闇の中か?」
「それなら自分が知っております!」
 玖純の言葉に葛城が応えた。
 コルセアも続く。
「ワタシたちがあそこにいたのは町にいた野盗から話を聞いたからなのよ」
「俺も聞いてますよ。一緒に行動していましたからね」
 御凪が隣を歩く玖純に笑顔を向ける。
 そうか、と応え久瀬を見た。
「あとでゆっくり話を聞かせてもらうからな」
「話を聞きたい人は他にもいそうだけどね」
 笠置が町の方を見る。そこには見知った顔がいくつもあった。
 背負われた久瀬の姿を見て両手で口元を押さえているクエスティーナや野盗らしき男を引き摺っているセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)、駆け寄ってきているのはエースだろうか。その隣、同じように駆けてくるのは清泉 北都(いずみ・ほくと)モーベット・ヴァイナス(もーべっと・う゛ぁいなす)だ。その後ろには紫月 唯斗(しづき・ゆいと)の姿も見える。
 いつ集まったのか定かではないが、昨夜警備をしていたほとんどの者がそこにいた。野盗の捜索範囲を広げていたのかもしれない。
 彼らは久瀬を病院に運ぶと今までの出来事を話し合った。