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汝、己が正義を信じるや? ~善意の在処~

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汝、己が正義を信じるや? ~善意の在処~

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■幕間:執事と忍者とカフェ店員

「どこにいるのかな二人は」
「さっさと見つけねえとやべえぞ。久瀬の奴一人で勝手に行動しやがって!」
「お小言は後でいいだろう。まずは事情を知っていそうな輩を探そう」
 ルーノから事情を聞き、町に降り立った清泉、モーベット、紫月の三人は辺りを見回しながら話す。
 しばらくして紫月が言った。
「お? あいつは確か逃げた野盗の?」
 その言葉に清泉とモーベットが同じように視線を向けた。
「あー、たしかに手配書にそっくりだね」
「顔が割れているというのに普通に働いているとはいささか……馬鹿だろう」
「モーベットって意外と毒舌だな」
「そんなことはない。ただの事実だ」
 あー、と返事に困っている紫月とモーベットのやり取りを見ていた清泉は苦笑すると件の男、喫茶店でウェイターをやっている元野盗に近づいていく。モーベットと紫月も後に続いた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「三名で。あとご注文は君で」
「はい?」
「ちょいと失礼」
 清泉が対応している間に背後に回っていた紫月が男を取り押さえた。
 突然の出来事に対応できず、男はその場で押さえられた。
「いきなりなにするんですか!?」
「なに、聞きたいことがあるだけだ。ライアーのことについて話してもらえれば後は関知しないと約束しよう」
「……本当か?」
「約束するよ。ね?」
 清泉がモーベットを見た。肯定するように頷く。
「それならお客様、紅茶でも飲みながらお話しませんか?」
「すでに仕事モードか。こりゃ真面目に働いてんな」
「これは更生してるって判断していいのかな」
「大丈夫だろう。何かあればその時に対処すればいい」
 元野盗、現ウェイターに店内に案内される。
 各々が紅茶やコーヒーを楽しみながら男から話を聞いた。
「森に向かう街道沿いにあるのか」
「だとすると久瀬先生はもうライアーさんと会っちゃってるかもね」
「クウもだ。置いていかれた方の気持ちを考えずにあの二人は……」
 モーベットは深くため息を吐く。思い当たることでもあるのか、懐かしむように視線を宙に向ける。そして清泉を見た。
「なに?」
「いや、なんでもない。訊くべきことは聞いたし行くとしよう」
「ごっそさん。お代は置いとくよ」
 紫月は言うと立ち上がる。二人も同じように席を立つ。
 向かう先はライアーの住むという家だ。

                              ■

 町と外を分ける門前には幾人かの見知った姿があった。
 門の外で何かを見つけたのか、エースが突然走り出した。
 近くにいたクエスティーナが口元を両手で押さえ、愕然とした表情で門の外を見ている。
「おいおい……まじかよっ!?
「あれは――」
 彼らが街道に視線を向けると幾人かの者たちがこちらへ向かっているのが見えた。担がれている者もいる。遠目でははっきりとはしないが久瀬のようだ。片腕がない様にも見えた。
「急ぐよ!」
「分かっている」
「おう!!」
 三人もエースを追走するように門の外へと飛び出した。