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死の亡霊軍

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死の亡霊軍

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エピローグ

 その日はジークにとって記念すべき日となった。初の冒険成功の日だ。村娘たちもみな無事に助け出され、各地の村や町から賞賛と喝采の声をジークたちは浴びた。
 骸骨王は倒され、死の亡霊軍の姿はそれ以降見られなくなった。洞窟にはなぜか複数の墓があったが、それが誰が作ったものなのかは分からなかった。
 どちらにしてもジークは、今回の冒険で得たものは大きかったと思った。祝杯の席でジュースをちびちびと飲みながら、ジークは今日の冒険のことを振り返っていた。
 ぺちぺちと頭を叩かれた。目をあげると、ひょいっと頭からあさにゃんが顔を出した。
「なんだ、お前か。なにしてるんだよ、そんなところで」
「にゃー?」
 ジークにはそれが、どうして物思いに耽ってるのかとたずねているように聞こえた。
「別に、特に理由があるわけじゃないよ」
「にゃ?」
「格好つけてるって? うるさいな、もう」
「おい、ジーク。なにを人形とぶつぶつ会話してるのだ。お前もこっち来きたらどうだ」
 村人たちに囲まれる夏侯淵がジークを呼んだ。ジークはひらひらと手を振った。いまは夏侯淵たちと一緒にいる気分じゃなかった。なんとなく、みんなを見ていたい気分だった。
 みなそれぞれ、思い思いに遊んでる。夏侯淵たちは村人を救出した張本人だからか。村娘たちからの人気は高かった。切や貴仁を見ていると、まるでアイドルみたいだ。
「それで、ジーク。なにかやりたいことは見つかったか?」
 どさっと隣の席に宵一が腰をおろした。
「これと言っては」
「夢のないやつだなぁ。それで、これからも『最強の魔法使い』とやらを目指すのか?」
「『最強の魔法使い』は手段であって目的じゃないよ。目的は他にも見つけるさ」
 ジークは笑った。少しだけその顔が大人になった気がして、宵一はきょとんとした。
「なに?」
「いやなに、別に。こうして大人の階段をのぼっていくんだなぁとね」
「言っとくけど、そこまで歳の差はないからな」
 二人はそれからも談笑を続けた。

 クロネコの店に一人の男がおとずれた。大石 鍬次郎(おおいし・くわじろう)だ。洞窟に潜入捜査していたハツネたちの仲間。いかにも古風な剣客といった出で立ちの男だった。
「よお、クロネコ。いるかい?」
 鍬次郎は〈夜の黒猫亭〉に入った。カウンター奥にいたクロネコが出迎えた。
「やあ、どうしたんだい、急に」
「ククッ、その様子だと……無事に小僧の仕事は終わったみたいだなぁ……」
「おかげさまでね。助かったよ」
「感謝しろよ? 悪人商会には悪いが、俺たちの情報提供があったからこそ、事件の早期解決と、てめぇの好きな冒険者どもとの最悪の事態は避けられたんだからなぁ。さて、報酬をもらおうか」
「まったく、せっかちなんだから」
 クロネコは苦笑して、引き出しをがさがさと漁った。取り出した複数の書類を鍬次郎に差し出す。
「はい、これ」
「助かったぜ。見込みのありそうな新人だな」
「あんまりいじめてあげないでね。これでも将来有望なんだから」
「分かってるってよ。こんなこと、滅多にない話だ」
 鍬次郎は笑った。書類を懐に収め、クロネコの店を出て行った。残されたクロネコはジークのことを思い出した。
「これからも、ごひいきに」
 鍬次郎が出て行った店内に向けて、クロネコは誰ともない言葉を言った。

担当マスターより

▼担当マスター

夜光ヤナギ

▼マスターコメント

 シナリオにご参加くださった皆さま、お疲れ様でした。夜光ヤナギです。
 「死の亡霊軍」、いかがだったでしょうか。

 まずは大幅な遅延公開になってしまったこと、大変申し訳ございません。
 それだけ、少しでもご満足いただけるものになっていると幸いなのですが……。

 今回もたくさんのアクションをいただきました。とても嬉しいです。
 ジークくんはこれからもきっと冒険を続けていくことでしょう。
 それがどんな冒険になるのかは分かりませんが、またいずれ、別の機会で彼ともお会い出来ることがあれば良いなぁといったところです。

 それでは、またお会いできるときを楽しみにしております。
 ご参加ありがとうございました。