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リアクション
ここは空京に程近い小さな牧場。
この牧場は今、異常事態のさなかにあった。
空を覆うは30機ほどの(ポータラカ)UFOの群れ。
人々は驚きの声をあげ、動物達は鳴き声をあげながら逃げ惑っている。
宇宙人たちは、それを見て声をあげた。
「ワ〜レ〜ワ〜レ〜ワ〜、ウ〜チュ〜ウ〜ジ〜ン〜ダ〜」
……一気に、気が抜けそうな声が牧場に響く。
「……いい加減それやめたらどうなの?」
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)はポータラカUFOから伸びるマジックハンドに捕まりながら、呆れるように言った。
しかしポータラカ人達は彼女の言葉を気にも留めず宇宙人ごっこを満喫するのであった。
そんな(ポータラカ)UFO達に金元ななな(かねもと・ななな)は地上から「こらー!」と声をあげる。
「雅羅ちゃんを離しなさーい!」
「ななな……」
武器を構えてみょんみょんみょん……と飛び続けるUFOへ駆け寄る彼女を見て、雅羅は彼女にちょっとした友情を感じた。
その瞬間、
「雅羅ちゃんの乳はなななが守るんだからー!」
その一言に雅羅はがくり、と肩を落とすのであった。
「はぁ……そっちももう、いい加減にしてよ」
そんな風にうなだれていると、
「おーい、ななな!」
という声がどこからか聞こえてきた。
雅羅が声の聞こえてきた方を向く。
そこにはアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)がアイスクリーム片手にこちらにやってくるのであった。
空をみょんみょん漂うUFOを眺めながら、アキラはなななの傍に駆け寄ると、彼は呆れた表情を見せる。
「おいおい、なんだこのポータラカUFOの大群は?ななな、オメーまさかあんな奴らも乳搾りに呼んだんじゃないだろうな?」
「んー、さすがにそれはないよ」
なななはたった今宇宙人(ポータラカ人)達に向けた表情を打ち消した後、朗らかに答えた。
そんな彼女の言葉に「ふむ……」と彼は少しだけ考え込むと、
「じゃー、あいつらなんでここに……はっ!」
アキラは何か、とんでもなく恐ろしいことに気づいたという表情を見せた。
「ま、まさかあいつら乳が目的じゃないだろうな!」
言ってアキラはじー、とマジックハンドに捕まっている雅羅を見つめた。
「……つまりやつらはおっぱい星人!おのれ許せん!雅羅の乳は俺が守る!」
「なんでアキラもそういう方向に行っちゃうのよー!」
雅羅はもう半泣きである。
そうしてアキラは宇宙人(ポータラカ人)に立ち向かおうとしたところで、「ちょーっと待ちなさい!」と声が掛かった。
ゴボウを振り上げてばばーん、と登場したのはレオーナ・ニムラヴス(れおーな・にむらゔす)。
彼女は全身アルミホイルに包んだ異様な出で立ちのままふふん、と鼻を鳴らす。
「私の乳は、私の乳。あなたの乳も、私の乳。つまり……雅羅ちゃんの乳は私の乳よ!!」
その後ろからは「あだむすきー」と書かれたダンボールを被る幼き神獣の子を連れたクレア・ラントレット(くれあ・らんとれっと)が、同じく銀アルミを全身に巻いてしくしく、と泣きながら付いてきていた。
「うう……どうしてスキヤキちゃんまでこんな目に……」
わけがわからないよ。
そんな表情のクレアとあだむすきー……いや、神獣の子「スキヤキちゃん」に向かってレオーナは「さあ、行くわよ!」と気概をあげる。
それをアキラは「い、いや待て!」と慌てて押し留めた。
「まずは落ち着こう。俺の話を聞いてくれ、な?」
「アキラ様……」
必死にレオーナを押しとどめようとするアキラに、クレアは希望を込めた眼差しをむけた。
もしかしたらこの暴走パートナー(?)を押さえ込んで真面目に「一緒にUFOを追い払おう」と言ってくれるのではないか、と。
「よく考えるんだ。乳は2つある。ここは仲良く1つずつ分け合おうではないか」
希望は絶望に変わった。
「うぅ……もう地球に帰れない……」
哀愁を漂わすクレアを慰めるようにスキヤキちゃんは彼女の頭をそっとダンボールの側面で撫で付けるのであった。
そんな彼女達そっちのけで、レオーナとアキラは乳交渉を始める。
「えー?乳は2つあるから価値があるんじゃない」
「いやいや、乳というのはだな……」
その一方、UFOに捕まっている雅羅はというと、
「もう何でもいいから早く助けてよー!」
半ば諦めた様子でじたばたともがく。
その声を聞いてアキラとレオーナは同時に眼を光らせた。
「任せて雅羅ちゃん!」
「今助けるぞ雅羅!」
同時に叫ぶその言葉に「2人とも息ぴったりだねー」となななは呑気に答えるのであった。
「よっーし、救出は私に任せろー。いくよクレア!」
「は、はい」
クレアとレオーナは「あだむすきー」ことスキヤキちゃんの背に跨ると、勢い良く空に飛び立った。
「さあ行くぞ宇宙人!私が相手だー!」
そうして小麦畑でミステリーサークルを作っている宇宙人(ポータラカ人)に接近すると、
「私の力を思い知れー!」
何故かレオーナはスキヤキちゃんの頭を小麦畑に向けた。
「え?あの、レオーナ様?UFOは……?」
「イケイケー!」
小麦畑に着陸したスキヤキちゃんをそのまま走らせるレオーナ。
通った後の小麦は折れ曲がってしまう。
そしてある程度進んだところで、レオーナはスキヤキちゃんを再浮上させた。。
「ちょ、レオーナ様!?何を描いているのですか!」
クレアは上空から見た小麦畑に驚きの声をあげた。
それはどう表現しても「見せられないよ!」としか言いようがないシンボル。
「え?宇宙人と同じミステリーサークルだけど?」
「ぜんぜん違うじゃないですかー!」
クレアは涙を流しながらレオーナに抗議するのであった。
「さあ、次に行くわよ!今度は地上絵で裸婦像描いてやるんだから!」
「やーめーてーくーだーさーいー!地球(?)に帰れなくなっちゃいますー」
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