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第2回新ジェイダス杯

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第2回新ジェイダス杯

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第2ターン

 
 
『さあ、第2ターンです。
 先頭は、変わらず秋月葵選手。難なく、浮遊ブロックを超えていきました。おっきなハミングバード、頑張っています。
 
 やや遅れて、2番手はエリシア・ボック選手。ブロックエリアに突っ込んでしまいましたが、風の鎧でなんとか斬り抜けました』
 
「何者も、私に触れられませんわ!」
 身体の周囲に風を纏い、箒の上でスカートを大きくはためかせながらエリシア・ボックがブロック群を受け流して越えていった。
 
「はうあっ!?」
 
『おおっと、後ろに続いていたコハク・ソーロッド選手、どうしたか、ブロックにまともに突っ込んだ。何か見たのでしょうか? 衝撃で、ワイルドペガサス・グランツが気絶。落下していきます。コハク・ソーロッド選手、ここでリタイアです。
 
 これによって、3番手に上がってきたのは、佐々木弥十郎選手。第一グループから一人抜け出てきました。新ジェイダス人形を拾うと、大事そうにだきかかえます。さすがは、薔薇の学舎の生徒です。
 
 4番手のグループには、天城一輝選手が順当に上がってきました。やはり強い。
 おや、旧ジェイダス人形をバイクのスパイクで器用に引っ掛けて確保した南鮪選手、第17ブロックで何かをばらまいた。パンティーです。パンティーが空を飛んでおります。さすがは、P級四天王パンティー番長、揺るぎありません。それにしても、もし南鮪選手がコハク・ソーロッド選手よりも先行していたらと思うと、大惨事になりかねないところでした。
 
 そして、それにならぶのは……、なんと、ペルセポネ・エレウシス選手です。今大会、秋月葵選手に次ぐ驚異の加速力で一気に先頭付近のグループまでのし上がってきました。目にも留まらぬ早業ですれ違い様に新ジェイダス人形を拾って進んで行きます』
 
「せ、狭いです……」
 手に入れた新ジェイダス人形の稼働部を折り曲げて同じような体育座りの形にすると、ヘスティア・ウルカヌスが変形したパックパックの中にそれを収納した。肩を並べてと言えば聞こえはいいが、もともと一人用のスペースなので思いっきりすし詰め状態である。
 
『さあ、7番手は、クリスティー・モーガン選手と、ノーン・クリスタリア選手がならんでいます。二人揃って、順調に順位をあげてきています。
 新ジェイダス人形を拾ったクリスティー・モーガン選手、小型飛空艇の後部座席に戦乱の絆で縛って固定しました。
 対照的に旧ジェイダス人形を手に取ったノーン・クリスタリア選手、ドラゴンの鞍に紐でくくりつけました。
 
 9番手には、他選手の激しい追い上げによって一気に順位の下がってしまった小鳥遊美羽選手と、ほぼ位置をキープしているイコナ・ユア・クックブック選手がならびました。
 おおっと、旧ジェイダス人形をドラゴンに銜えさせたイコナ・ユア・クックブック選手、第15ブロックに突然高級チョコをばらまいた!』
 
「これで、あのいやしいウサギは一発KOですわ!」
 イコナ・ユア・クックブックがほくそ笑む。なにしろ、自分と、ティー・ティーと、源鉄心とで、誰が一番ヘタレかを競ってるのだ。最下位になったものは、罰ゲームとしてトップになった人の一日召使いになるという約束になっている。これは絶対に負けられないので、手段は選んでいられない状況なのだ。
 
『11番手で続くのは、ハーリー・デビットソン選手とフォン・ユンツト著『無名祭祀書』選手です。
 ハーリー・デビットソン選手、ひき逃げアタックで新ジェイダス人形を跳ね上げると、みごとなタイミングで自分の座席に乗せました。
 フォン・ユンツト著『無名祭祀書』選手も、落ち着いて新人形を拾って空飛ぶ箒の後ろに乗せます。
 おおっと、その後で、両選手ともナラカの蜘蛛糸に突っ込んでいった。これは危険だ!
 ハーリー・デビットソン選手、フライングボードの上でウイリー状態になると、もの凄い勢いで回転させた前輪でナラカの蜘蛛糸を斬り裂きにかかった!』
 
「そうはさせるものですか!」
 トラップを切りに来る者は予想済みだとばかりに、笹野朔夜(笹野桜)が握りしめたナラカの蜘蛛糸の先に力を込めた。雷術によって、ナラカの蜘蛛糸に一気に高圧電流を流す。これならば、触れた瞬間に感電して即リタイアだ。
「ドルン、ドルン、ドルン!」
 ハーリー・デビットソンの前輪がナラカの蜘蛛糸に触れた。そして、そのままナラカの蜘蛛糸を切り刻んで突破する。
 
「どうして……。ああっ、途中で切れてる!?」
 笹野朔夜の仕掛けが功を奏して、電流が流れたとたん、ナラカの蜘蛛糸が散り散りに切れてしまっていた。
 呆然とする笹野朔夜(笹野桜)を尻目に、後ろについていったフォン・ユンツト著『無名祭祀書』もそのまま無事に障害を突破していった。
 
『さあ、続いては、コア・ハーティオン選手が、一気に順位を上げてきた。13番手です。フレイムブースターがやっと暖まってきたのか。おっと、調子がいいのはいいが、ジェイダス人形地帯をそのまま通り抜けようとしている。人形を乗せなければ失格です』
 
「ハーティオン、人形忘れているわよ!」
 あわてて、ラブ・リトルが身を乗り出して旧ジェイダス人形を掴んだ。
 かろうじて背中の巨大な羽根飾りを掴めはしたのだが、小柄なラブ・リトルでは、そのままではとても人形を維持できそうになかった。
「ラブ、危ないぞ。落ちる……」
 それに気づいたコア・ハーティオンが、後ろを振り返って姿勢を制御しようとした。
「ちょっと、ハーティオン、前見て、前……はうあっ!」
 前方不注意のコア・ハーティオンによって、空中に浮かんでいた冷凍マグロがラブ・リトルに激突した。当然、体格からしてラブ・リトルがコア・ハーティオンの上から吹っ飛ばされる。
「きゅうぅぅぅぅ……」
 羽根を掴んだままの旧ジェイダス人形に引きずられるようにして、ラブ・リトルが落下していった。
「ラブ! 今助けるぞ!」
 あわてて、コア・ハーティオンがその後を追って行く。
 
『おおっと、コア・ハーティオン選手、コースアウトです。冷凍マグロに泣かされました。ここでリタイアとなります。
 流れて行った冷凍マグロ、そのままティー・ティー選手に襲いかかった。これは直撃コースか。避けられそうにない!
 おおっと、何かがティー・ティー選手の鞍から飛び出していった。護身用の武器として装備されていたスピアドラゴンのボーさんだ。ティー・ティー選手の身代わりとなって、冷凍マグロに激突してコースを変える』
 
「ああっ、ボーさんが犠牲になったうさ……」
 拾った旧ジェイダス人形を背負ったティー・ティーが、涙を呑んでボーさんに感謝した。
 
『おっと、コースの変わった冷凍マグロ、ボーさんごと神戸紗千選手の痛飛空艇に激突! これは、運が悪い。ほとんどトバッチリです!』
 
「馬鹿な、新ジェイダス人形も回収して、ちゃんと回避コースとっていたのに!」
 いきなりフロントガラスを突き破って飛び込んできた冷凍マグロに、神戸紗千が恐怖した。あわてて冷凍マグロを飛空艇の外に押し出したが、ブッスリとコンソールに突き刺さってしまったので、すでに痛飛空艇はコントロール不能だ。
 
『無念、神戸紗千選手、リタイアです。
 
 クラッシュが相次ぐ中、これによって小ババ様選手が14番手に繰り上がって参りました。新ジェイダス人形をイコンのアームでだきかかえて固定します。