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【祓魔師】大掃除には早すぎる…葦原の長屋の泥棒掃除屋

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【祓魔師】大掃除には早すぎる…葦原の長屋の泥棒掃除屋

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第12章 おそーじさせましょ、おそーじしてあげましょ Story9

“久々に和食が食べたいものだ…。”
 空腹を訴える樹に、学校へ集めた情報を聞きに行くべきか、彼女に従うべきか。
 章たちが真剣に悩んでしまう。
「芦原の和食はトンデモなものが多いとも聞くな」
「うーん、お品書きを見ても…和食なのか判別付きづらいね」
 店の外のメニューを眺めても、章にとっては分かりづらいもののようだった。
「アキラ、おすすめは…って先ほどから小娘が五月蠅いな」
「…えっとカラミマシマシネギボーズ!…違ったかしら?」
「なんだそれ、んなのねぇーよツェツェ」
「こう唱えると、美味しいラーメンがニホンでは出るって聞いたわ!」
「ガセネタ、それガセネターーッ」
「ぇえええ!!?」
 間違って何かを覚えていたらしく、セシリアが驚愕の声を上げた。
「それが、ねこまんまだ。要は汁かけごはん」
「…コレネコマンマ?」
 民家の窓の隙間から見えるそれを目撃して首を傾げる。
「まっ、ネコがくわねーのに、そーいうのがあるけどな」
「ネコが食べないのに、ネコマンマ?わけがわからない…!!」
 パニックになったセシリアが、頭の中をショートさせてしまった。
「ていうかさ、ベルクたちは?」
「あら。魔法学校へ行くって言ってたわよ。アンタ、聞いてなかったの?」
「まじで?」
「任務なんだから報告義務があるでしょ。引き止められないわよ」
「そりゃそうだよな。けどなー…」
 いつものごとく直行する樹の姿に、これでいいのかよー…と嘆息する。
「タイチ、芦原に引っ越すの?あ、引っ越したらお蕎麦の代わりにネコマンマよろしくね!」
「意味わかんねぇぞ、ツェツェ。なんでネコマンマなんだ?あー、つぅか、聞こえてたのか」
「まーね?よくわんないけど」
 全部は聞こえてなかったと告げ、目当てのものを食べたい…と強請っているようだった。



「きょーのオヤツはなぁに?ありゃ、いつもよりシンプルね」
 ルカルカはダリルの荷物をごそごそ漁り、オヤツを発見する。
「カナン行きのつもりだったから予定変更したのだ」
「ご、ごめん」
「オメガちゃーん、オイラとオヤツしよー」
「あら、皆さんは?」
 辺りを見回すと先程までいた者の姿が、ほとんど見当たらなかった。
「魔法学校に報告しにいったよ」
「わたくしたちは、行かなくてよいのですの?」
「せっかくきたんだから、食べに行こうよ!」
「クマラ、遊びに来たんじゃないんだぞ」
 ばたばたはしゃぐ少年の頭をエースが叱りつけるようにパシッと叩く。
「日陰で少し休んだほうがよいんじゃないかな、オメガさん」
 顔色がよくないと感じたエースは、彼女の手を引いて茶屋の長椅子に座らせた。
「オメガ、その様子では観光などは無理そうだな」
 観光や店に寄ったりしたかったが、つらそうな顔をしている今のオメガに、無理させてはならん…と淵は諦めた。
「使い魔の力を頑張って使いすぎてしまったようだからな」
「ふむ。…どっちにしろ、今日は厳しいか」
 住人たちは呪いで掃除させられすぎて、ほとんど商売どころじゃなさそうだった。
「途中で倒れてしまうかもしれない。家まで送って行こうか?」
「お願いしますわ…」
 淵に寄り添うように家へ送ってもらう。
「皆おつかれもーどみたいだねー」
 何時間も掃除させられたんだろうから、それも当然かと思い帰還することにした。