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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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 同時刻 ヴァイシャリー 某所
 
『ッ! チョコマカと動きやがってコラァ!』
 ガネットに乗って水路上を疾走する“ヴルカーン”bis。
 そのコクピットで吼える法二の声が共通通信帯域に響く。
 朝霧 垂(あさぎり・しづり)の乗った禽竜を相手に戦う“ヴルカーン”bisは、先程から弾幕やミサイルを回避され続けていた。
 持ち味である圧倒的な高機動力でミサイルを振り切りつつ、イーリャによって取りつけられたビームアサルトライフルで迎撃する禽竜。
 
『オイオイ、そんな無茶な機動じゃ身体が持たねェぞ?』
 挑発するように問いかけながら、なおも大量のミサイルを発射する法二。

『ヘッ! この機体に乗る時の合言葉は『気合と根性』! この程度へでもないぜ!』
『そそ! それよりも自分の心配したら!』
 気合いたっぷりに答える垂に続くようにして、サブパイロットのライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)も叫ぶ!
 
 二人が叫ぶと同時に禽竜はビームアサルトライフルを乱射。
 すべてのミサイルを迎撃する。
 そのまま乱射を継続する禽竜。
“ヴルカーン”bisの周辺――水面に向けての乱射により、禽竜は水飛沫を立てる。
 
 広範囲に渡って立てられた水飛沫は、僚機である“ヴェレ”たちも含めて視界を塞ぐ。
 
『やってくれるじゃねェかッ!』
 苛立たしげに毒づく法二。
 それと同時、水飛沫がたった瞬間に追い付くほどの抜群の機動性で禽竜が“ヴルカーン”bisの背後を取る。
 
『ッ!』
 法二が気付いた瞬間には、禽竜のコンバットナイフが投じられている。
 咄嗟にクローでナイフを弾く“ヴルカーン”bis。
 しかし、その隙を逃す禽竜ではない。
 
 マニューバ全開で“ヴルカーン”bisの頭上まで急上昇するとともにビームアサルトライフルを乱射。
 そのまま急降下しつつ、ビームアサルトライフルを放り捨てる。
 空いた手で背負ってきたBBCのグリップを掴み、巨大な光刃を抜き放つ禽竜。
 
『くらえっ!』
 振り抜かれた巨大な光刃は“ヴルカーン”bisの両腕を斬り飛ばした。
 
『まだだっ!』
 更に“ヴルカーン”bisの両腕を斬り飛ばす禽竜。
 
『これで終わりだぁっ!』
 そして“ヴルカーン”bisの正面に移動する禽竜。
 禽竜はグリップの先を“ヴルカーン”bisに向けると、全エネルギーを最大出力で放つ。
 超大出力のビームライフルのように放たれたエネルギーがほぼ零距離から“ヴルカーン”bisに迫る。
 
 その時、僚機の“ヴェレ”三機が射線へと割り込み、“ヴルカーン”bisの庇う。
 だが、咄嗟のことでまだ障壁が構成されきっていない上。
 ライフルモードで使用されたBBCの一撃が強力過ぎたゆえ。
 “ヴェレ”の障壁は破られ、そのまま直撃を許す。
 
 薙ぎ払うようにして放たれた一撃は“ヴェレ”三機を大爆発させる。
 ヴァイシャリーの地形や建造物をいくらか吹き飛ばしつつ収まったBBCの光条。
 既に“ヴェレ”三機、そして“ヴルカーン”bisが大爆発を起こした後には何も残っていなかった。
 
『やった……ぜ』
 ゆっくりと着陸する禽竜。
 そのコクピットで垂は、やり遂げた者の表情で眠りについた。
 そして、その表情はとても安らかであった。