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リアクション
第14章 AfteWorld_心新たに…
初めてイルミンスール魔法学校で祓魔師の育成が始まり、最高難易度の任務が一区切りついた頃。
ある者は新たな任務を担い、またある者は祓魔師を一から育てる講師になった。
そしてまたある者たちは…。
授業開始を告げるベルが鳴り、何人か生徒が教室に入ってきた。
「今日の授業、お願いしますね」
ポニーテイルに髪を結った生徒が、元気よく講師に挨拶しエクソシストの免許を見せた。
「おはよう」
彼はそう言い、教室へと入った。
「もう具合は大丈夫ですか?」
「あぁ、平気だよ。心配かけたようだね」
「本当よ、もう。皆、すっごく心配してたんだからね!」
黄色のツインテールの少女が免許をふりながら言う。
「み、美羽さんっ」
「ベアトリーチェだってそうだったでしょ?」
「まぁまぁ。ずいぶんと女の子に心配かけていけない先生ですぅ〜」
二時間目の様子を見に来たエリザベートが、くすくすと笑う。
「えっと、校長…」
「うん?私ならご心配いりませんよ〜♪元気じゃないと、校長はやっていられませんからぁ〜」
「そう…」
あの一件で酷く沈んでいるかと思ったが、気にしすぎだったようだ。
もちろん精一杯の笑顔を見せているだけのことだというとも理解している。
「ラスコットさん。お体はもうよいのですねぇ?」
実の所彼は、帰還してから丸二週間も寝込んでいた。
復帰してくれるように、ここにいるのはエリザベートからの頼みでもあった。
1つのしくじりで、全責任を感じないよう説得したのだ。
拾った子供の暴走を止められなかった自分にも責任はある。
だから、いつまでも泣いていられないし、悔やんでも時間の修正はできない。
前だけを見て進んで行くしかない。
それを彼にも分かってもらおうと、ある場所に通ったのだった。
「まぁ、動けなくはないよ」
「ラスコット先生ー!」
「ん?真宵、まだ授業を受ける気かい?」
「助けたんだから、年齢こっそりでいいので教えてくださーい」
まさか、とかぶりを振り、こりずに年齢を聞きだそうとする。
「いやぁ、ここだと…」
「恥ずかしがることはありません。全身で、真宵の気持ちを受け取るのですよ!」
「ちょ、ちょっと、そんなんじゃないってばっ」
降って湧いたかのように現れたテスタメントに、誤解を招くことを言い散らされ、慌てて手で口を塞いでやる。
「そうなんだよね。真宵って時々、大胆すぎるんだよ」
「そ、そうじゃなくって、だからっ」
「年ねぇ…。んー、18…?」
「うそはやめてください、ずうずうしいですぅ〜!!」
大切な生徒が固まっている様子を見て、ぷんすかエリザベートが怒る。
「冗談だってば。えっと…」
じっと注目され視線を逸らしつつ、真宵の傍へ寄り彼女の耳元で…と答えた。
「ひゃわ…っ」
「おや、真宵。顔が赤いですよ?」
「だって、いきなりっ」
「ほうほう。ついに愛の告白でも受けましたか?」
「だ、誰がっ。さっさと帰るわよ、テスタメント!」
勘違いしっぱなしのパートナーにぶちぎれ、彼女をげしげし蹴りながら教室から離れていった。
「で、おいくつでしたっけ〜」
「うーん。男に年聞いちゃいけないって、よく言うじゃないか」
「それ…女の人ですよぉー…」
冗談がすぎると言い、疲れたようにため息をついた。
ひと騒動が終わり、よやく授業に入ったはいいが…。
すでに半分ほど時間がすぎていた。
「いやぁ、もうこんな時間だね。休み時間にしようか?」
「先生、真面目に授業してくださいよぉ〜」
「もう冗談なのになぁ♪」
へらっと笑い、今日の教材を美羽とベアトリーチェに配る。
「あれ、他には生徒がいないのね?」
「そっちは新任の人が受け持つことになったんだよ。こっちは高位の魔性に対する説明だね」
上級者しか受け持たなくなったと告げ、ラスコットは授業を始めた。
「実は他にも、即死に繋がる手強い魔性がいてね。その説明かな」
「そうなんですぅ〜。見たものを呪うという厄介な特性があるんですよぉ〜」
「アンクウといってね。見た目はまぁ、小さい子供みたいな感じかな。かわいいものが好きらしくってさ、人に寄っていってしまうものだから、相手と目が合うと…ってことだね」
「見ちゃいけないってこと!?」
スペルブック使いだから直視する術はない。
魔性が姿を見せてきたらどう対処すればよいのかと考え込む。
「基本的にクリエイターや、サモナーといった上級のクローリス使いがいれば、呪術対策はできるね」
「ふむふむ…。宝石使いのサポートはいる?」
「うん。万が一のことも考えて、時の宝石は必要だろうね」
もちろん特性に特化した支援は必要だと教えた。
そして丁度それを言いきった瞬間…。
授業終了を告げるベルが鳴ってしまった。
「あー、もう終わり?」
「また3日後だね」
「その日、連休だと思うよ」
「何それ、おいしいのかな?」
「あ…うん」
連休なんて単語は知らないという態度で言い、メガネの奥に光る目から逃れることはできなかった。
「まぁ、スープでも飲みましょう」
ベアトリーチェはスープを注いだ器をテーブルに並べ、講師にはタバスコを忘れず添えておいた。
「お、気がきくね」
「偏食はいけません〜!ベアトリーチェさん、先生を甘やかさないでほしですぅ〜」
「え、でも…」
「まーいいじゃん、美味しければ何でもさ」
丸ごと1本スープの中にかけ、器の中から辛い香りが漂う。
「に、匂いが、もうっ」
不快そうにエリザベートが離れ、スープを持って後ろの席にいってしまった。
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