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【2020修学旅行】剣の花嫁頂上決戦

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【2020修学旅行】剣の花嫁頂上決戦

リアクション

■□■3■□■ エメネア

一方そのころ、エメネアは。

「エメネアちゃん!
エコバッグはるるにこそふさわしいんだよ!」
ネクロマンサーになった立川 るる(たちかわ・るる)に詰め寄られていた。
「なんでるるがネクロマンサーになったかは、
しずかがかんがん!を参照してね!
って、それはともかく!」
「ど、どうしたんですかー?」
「だってるるはバレンタインの頃からエコバッグに注目してたし、
購買に並んだ時も即ゲットして常に愛用してるし。
エメネアちゃんにはスーパーのレジ袋の方がお似合いだよ!」
「そんなことないですっ!
パラミタの自然に優しくするために、私だってエコバッグを使っているんですよー!」
「そういえばエメネアちゃんって、
るると髪型とか瞳の色とか、背格好が似てるよね。
大してスペック変わらないってことは、
剣の花嫁じゃないるるにだって問題なくエコバッグ型光条兵器が使えるってことだよね。
確かポータラ科の先生も、ちゃんと使えるって言ってたし」
「ポータラ科? そんなのキャラクエにも出てこない設定ですよ?」
「え? ポータラ科? イルミンスール魔法学校にある学科だよ、超技術研究が専門の」
「そんなのありませんってば」
「ポータラ科の用務員のおじさんは、光る種モミも光条兵器の一種だって言ってたよ。
光る種モミはるるもゴアドーに探しに行ったなぁ。
あの時なかなか見つからなくて、五回も探索しちゃったよ。
そういえばその時、エメネアちゃんてば人の足元見て、毎回福袋代せびってきたでしょう。
……許せん」
「ええっ、あれは合法的な取引ですよ!」
「とにかくそのエコバッグ型光条兵器をるるに寄越せーっ!!」
「ひえーっ、これは私のですーっ!」
ネクロマンサー的性格になっている、るるは、
エメネアとバーゲンのセール品を奪い合うように、エコバッグ型光条兵器を引っ張り合い始めた。
「だいたい、るるさん、剣の花嫁のパートナーいるんですか!
他のシナリオでは使えませんよ!」
「そんな細かいことはどうでもいいでしょ!」
「パラ実生っぽいこと言わないでくださいーっ!」
「待て、ゴアドー、オレが守ってやろう」
そこに、ジャジラッド・ボゴル(じゃじらっど・ぼごる)が現れて言う。
「ゴアドーは地味キャラだと思ってたが、
自己主張するときはするんだな。
だが、基本的にはノーマークのはず。
光条兵器を貰っても使えないし、
もし最後の二人になったらオレは自分で自分を殴って気絶するから、
オレと共闘しないか?
バーゲンの荷物持ちをしてやってもいいぜ」
「えっ、そうですか!?」
「ちょ、ずるいよエメネアちゃん!
悪役として活躍してるジャジラッドさんにも、
ネクロマンサーなるるは負けないよ!」
「いでよ、ゴーストイコン!」
ジャジラッドは、天に向かって両手をつきだして叫ぶ。
すると、紙が落ちてくる。
「グランドシナリオ『戦乱の絆』以外では使用できませんだと?」
ジャジラッドが紙を拾って読んでいると、るるとエメネアはなおも争い続ける。
「エコバッグはるるのアイテムだよ!」
「購買で買えばいいじゃないですか! 剣の花嫁がパートナーじゃないと意味ないですよ!」
「やだ、なんか特別感がほしいもん!」
「わかりました、じゃあ、るるさんは『影武者エメネア』に任命します。
エコバッグが持ちたかったらバーゲンの荷物持ち要員をするといいですよー!」
「わーいやったあ……って、あれ?」

★☆★

そうこうしていると。
笹野 朔夜(ささの・さくや)がやってきて言う。
朔夜はこの状況を仮想空間での体験だと思い込んでいるので、のんきであった。
「エメネアさん、落ち着いてください。
ティセラさんに対して怒らないであげてください。
そもそも、育てていたキメラが変な名前だったなんて、
それくらいでエメネアさんへの皆さんの評価が大きく変わるとは思えません。
少なくとも僕は変わらず、明るく元気で周りの人を笑顔にさせられるステキな方だと思いますし、
他の方もきっと似たような感想をお持ちだと思うんです」
「そうか?
チンパンコはかなり強烈なインパクトだと思うんだが」
ジャジラッドの発言は聞こえなかったのか、朔夜は続ける。
「それに、ティセラさんだってキメラさんのお名前を存じ上げなかったのかもしれませんし、
仮に知っていたとしてもエメネアさんの身を案じて
単純に戦力になりそうな子を選んだ結果かもしれません。
亡くしてからその人の大切さに気づいても遅いのですから、
きちんと話し合って、それでもどうしてもわかりあえないのなら
戦いで解決したら良いと思うんですよね」
笹野 冬月(ささの・ふゆつき)も、一緒にエメネアを説得する。
「だいたい、こんな状況で争っている場合じゃないだろう。
それに、そもそもキメラの名前なんて気づかない方が悪いだろう。
人を疑うことを覚えたらどうだ?
それに、お前、運動苦手そうなのにティセラに勝てないだろう」
「ううー……」
エメネアは涙目になるが。
「剣の花嫁が50人いるかいないかの中で1番になってどうする気だ。
だいたい、帰れる保証もないんだぞ」
冬月はどんどんいろんなことを言いまくるが、実際にはエメネアを心配しての行動であった。
朔夜と冬月の説得に、エメネアは気持ちを動かされる。

「うう、でも、でも……。ティセラはやっぱり悪い人なんですーっ」
エメネアはそう言うなり、ダッシュで逃げたが。
その後頭部にいきなり雪玉が当たって気絶した。
「きゅう……」
「やった、これでるるのエコバッグだね!」
そう言ってる、るるの後頭部にも雪玉が当たる。
「あはははは、お星様がいっぱーい」
るるも気絶した。

「あれー、なかなかポータラカ人見つからないなあ」
五月葉 終夏(さつきば・おりが)が、
そこらじゅうに雪玉を投げて、当たった場所にポータラカ人がいると考えての行動であった。
エメネアとるるに当たったことは気づいていない。
「ねえ、山葉君も手伝ってくれないかな」
「いや、その方法はあまり意味ないと思うが……」
花音を引きずってきていた山葉は言う。
「そうかなあ。何事もやってみなけりゃわからないよ?」
(そういえば、山葉君、いきなりマッチョ化したのって、
ポータラカ人の改造手術を受けたからかもしれないよね。
ポータラカ人に会ったら、そのことも聞いてみないとね)
そんなことを考えつつ、雪玉を投げ続ける終夏であった。