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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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リアクション

 
 
 
 親分の泣き所
 
 
 
 実家に帰って来はしたけれど……許嫁を殴って飛び出すようにパラミタ大陸に行った手前、どうも気まずい。
 そーっとそーっと……。
 橘 美咲(たちばな・みさき)は音を立てないように戸を引いた。
 誰にも見つからないように家に入ろうとしたのだけれど。
「うっ……」
 母屋まで続く庭先には、組員がずらりと並んでいる。これはもう、待ちかまえられていたとしか言いようがない。
 美咲がドン引きしているうちに、若頭のゲンさんがすすっと進み出て来て一礼した。
「お嬢、お待ちしておりやした」
「どうして私が帰ることが分かったの?」
「連絡をいただきやしたから」
 そう言ってゲンさんが懐からちらりと見せたのは、美咲の帰省を知らせるパートナーからの手紙だった。
「秘密にしておいてとお願いしたのに……」
 出鼻をくじかれて打ちひしがれているうちに、美咲はゲンさんに引っ張られるようにして父の前に連れて行かれた。
 ゲンさんも、アフロにスーツにサングラス、といういかにもな外見だが、美咲の父はもっと押し出しが効いている。
 顔に刀傷のある非常に強面な父親だ。
 が……。
「美咲……!」
 組員の前で父はひしっと美咲に抱きついて泣きだした。美咲にはとろけそうに甘い父親なのだ。
 組員の手前、親分が手放しで泣いていては格好がつかないだろうと美咲は父を懸命に宥める。
「お願いだから泣くのはやめて。もう許嫁の件で怒っていないから。私も悪いと思ってるから、ね? ……って、私の服で鼻水拭いたりしないで!」
 ああ、と美咲は父親の背を優しくぽんぽんと叩きながら天を見上げた。
 
 
 感動のご対面(主に父にとって)から始まった滞在は、母親の墓参りで終わりとなった。
 娘との別れを目前に、もう涙ぐんでいる父親を安心させようと美咲は次々に言葉を重ねる。
「また来るから」
「手紙も書くから」
 そのたび父親は頷いてくれたけれど。
「だから小型の結界装置を買ってパラミタに行こうなんて考えるのは止めて!」
 美咲の最大のお願いからは微妙に視線を逸らす。
「やっぱりそういうこと、考えてたのね。もう〜、絶対に止めてよね」
 自分の懸念が図星をついていたことを確信しつつ、美咲は重々父親に言い含めるのだった。