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マレーナさんと僕(2回目/全3回)

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マレーナさんと僕(2回目/全3回)

リアクション

1.ある日のマレーナさん

 2月・某日――。
 ある晴れた朝のことだった。
 
 夜露死苦荘・管理人のマレーナ・サエフ(まれーな・さえふ)は、下宿からやや離れた荒野の絶壁の上に来ていた。
 そこは緩やかな坂を上がりきったところにあり、シャンバラ荒野を一望できる。
 
「ここから、あなたは永遠に私達を見守り続けるのですね?
 ドージェ様」
 
 マレーナはそっと跪く。
 小さな石碑には、真新しい文字が刻まれていた。
 
『シャンバラと共に生き、荒野に散った男。
 ドージェ・カイラス、ここに眠る』

 風が吹いて、少女の銀色の柔らかな髪をたなびかせる。
「私、もう荒野をさすらう事は有りません。
 さる下宿の管理人になりましたの。
 それから妙な縁で、妙な青年と、また御一緒させて頂くことになりましたわ……」
 
 すうっと両眼を細める。
 
後田 キヨシ(うしろだ・きよし)――」
 青年の名を呟く。
 ふふっと笑みを漏らした。
「いつだったか。
 気まぐれに私がお守り致しました、気弱な青年ですわ。
 覚えていらして? ドージェ様?」