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【真ノ王】それは葦原の島に秘められた(前編)

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【真ノ王】それは葦原の島に秘められた(前編)

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〜終〜


 牙竜はオーソンの腕を拾い上げた。血が出ていない。義手でもなさそうだ。
 ローブの切れ端と共に、牙竜はそれに手を当て【サイコメトリ】した。漠然とした映像が、脳裏に浮かぶ。

 大勢の人間がいる……皆、顔は分からない……。
 男もいる……女もいる……祈りを捧げている……。
 人々が、黒装束を身につけ……面をつけている……。
 白い着物の女が……。

 そこで映像は途切れた。牙竜はこめかみを軽く揉んだ。
「何が見えたでありんすか?」
「……ある意味、嫌な物を」
「え?」
「黒装束の連中は、――ひょっとしたら、被害者かもしれない」


 ユリンとオーソンが砦から去ると、黒装束たちも皆、後に従った。仲間意識はあるらしく、捕えられた者以外、怪我人についてはちゃんと回収していったようだ。
 一雫 悲哀(ひとしずく・ひあい)は、その中の一人に「ナラカの蜘蛛糸」をつけた。そして、その後を辿って行った。
 オーソンとユリン、黒装束と機晶姫、剣の花嫁、そして六黒たちがいた。
 悲哀は木の陰に隠れた。
「パパ、見て! 『風靡』を手に入れたよ!!」
 ユリンがにこにこしながら、その剣を振り回した。褒めて欲しい、とその顔は言っている。どうやら、逃げた祥子はユリンに追いつかれたらしい。
(ふむ……)
 オーソンは自分が奪った「風靡」を、ユリンの持ち帰ったそれを見比べた。あれ? とユリンは首を傾げる。
(どちらが本物で、どちらが偽物か。……まあ、試してみればいいだろう)
「絶ーっ対、ボクのが本物だよ!」
と、ユリンは胸を張る。
 悲哀は機晶姫、剣の花嫁の顔をじっと観察した。一人でも連れ帰ることは出来ないだろうか……。
 悲哀は、気づかなかった。背後に、誰かが立っていたことに。
 薄れゆく意識の中、悲哀の目に映ったのは、見覚えのあるセーラー服だった……。

(続く)

担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございます。泉 楽です。「それは葦原の島に秘められた」前編をお届けします。

今回、砦の周囲や砦内では様々な戦闘がありました。
ユリンが最初に見えた頃から、最後にオーソンが撤退するまでの時間は二時間もかかっていません。同時刻に、あちこちで戦っていると思ってください。特に指定(ユリンと戦う、正面で戦う等)がなかった場合、戦闘場所はアクションを見た上で適当に割り振っています。
黒装束は、剣の花嫁及び機晶姫も同じ服装をしていたため、パートナー以外が判断するのは難しい状況でした。普通の黒装束は、何名か捕獲しました。機晶姫・剣の花嫁で元に戻った者は一名のみです。
平太は戦闘を避けたこともあり、ベルナデットとは出会えていません。また、ベルナデットが黒装束の中に混ざっていたかどうかは、まだ分かりません。

砦を襲ったPCさんで、個別に「捕まった」等の連絡がなければ、全員、ユリン、オーソンと共に逃亡したと思ってください。

裏リアクションを何名かの方に送っております。内容については、念のため、名前の出ている人以外には次回まで伏せておくようお願いします。もちろん、名前の出ている人同士であれば、それを元に作戦を立てることも、単に情報交換をすることも問題ありません。

物語はもちろん、このままで終わりません。後編では何が起きるのでしょうか。平太とベルナデットは、無事、逢えるのでしょうか?
皆さまのご参加を心待ちにしております。


NPC情報
オーソン:中性的な元ポータラカ人。外見は白い肌、腰より長い金髪、瞳は灰色(ただし作り物のようにも見える)。
テレパシーで会話をします。アールキングと組んだり、あれこれ悪事を企んでいるようですが、真の目的は不明。

ユリン:オーソンを「パパ」と呼ぶ少女。年齢は十四〜五歳。緑の髪、褐色の肌、青い目の持ち主で戦闘力は非常に高いです。