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月冴祭の夜 ~愛の意味、教えてください~

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月冴祭の夜 ~愛の意味、教えてください~

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 ■ 小舟に揺られて ■



 ニルヴァーナに中秋の名月を見に行こう。
 風祭 隼人(かざまつり・はやと)がそう誘うと、ルミーナ・レバレッジ(るみーな・ればれっじ)は思わぬことを聞いたような表情になった。
 それから、ああと頷く。
「ニルヴァーナには地球と同じように、月を見る風習があるのですね」
「パラミタには無いのか?」
 隼人が意外に思って尋ねると、ルミーナはええと答える。
「月は……あまり見上げたりはしませんわね」
「じゃあ気が進まないか」
 残念だが、月見の風習がないなら仕方がないかと隼人が諦めかけると、ルミーナは首を振った。
「いいえ。隼人さんとでしたら、月を見上げるのも良いかと思いますわ」
「そうか。なら行ってみようぜ」
「はい」
 こうして隼人は、これがはじめての月見となるルミーナと共に、ニルヴァーナへと向かったのだった。


 月見のために作られた池には、たくさんの舟が浮かんでいた。
 池が広いので、まったく混み合ってはいない。
「揺れるから気をつけろ」
 隼人は小舟に乗り移ろうとするルミーナの手を取った。
「ありがとうございますわ。ふふ、紳士でいらっしゃるのですね」
 素直に隼人に手を預け、ルミーナは小舟に乗った。

「綺麗な月だな……」
 隼人が見上げる月を、ルミーナも見上げる。
「そうですわね。こうして月を見ることはそうありませんから、なんだか不思議な感じですわ」

 風に揺られる小舟の上で、2人はそっと寄り添って、夜空に照り映える円い月を飽きず眺めるのだった。