校長室
【2022クリスマス】聖なる時に
リアクション公開中!
(いるわいるわいるわ、ごろごろいるわ。色んなタイプが! やっぱりこういうところにはいるわよね〜) 雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)は、ご機嫌だった。 高いお金をかけて、招待状を落札しただけあって。 素敵な演奏……はどうでもいいのだけど、会場に魅力的な男性が沢山いることに、大満足だった。 といっても、イケメンと遊ぶのは後でのお楽しみ♪で、今は別の魅力的な人とリナリエッタは一緒にいる。 「リナさん、何にやにや笑っていますの? ……大体考えていることわかりますけれど」 淡い笑みを浮かべて、リナリエッタを見ているのは桜谷 鈴子(さくらたに・すずこ)だ。 性格も育ちも違う2人だが、鈴子が白百合団を引退し、百合園を卒業してからも親しくしており、時々こうして一緒に出掛けることもあった。 「ふふ、鈴子さんが一緒だから、普段とは違ったイケメンからのお誘いも多くて困るわぁ」 「喜んでるくせに」 「うふふ」 談笑している2人の元に、男性が2人近づいてくる。 鈴子は、誠実そうな男性の手を。 リナリエッタは、陽気そうな男性の手を取って、ダンスを楽しんだ。 それからまた、2人でテーブル席の方に下がって、飲み物を飲みながら、鈴子はダンスと曲の観賞を、リナリエッタは、イケメンの観賞をしていく。 (ふーむ。やっぱり鈴子さんは、万遍なく観賞してるわよねぇ。一体どんな男性が好みなのかしら〜) リナリエッタは頃合いを見て、ハンドバッグを手に立ちあがる。 「鈴子さーん、ちょっと風に当たっていきましょうよぉ?」 「そういえば、バルコニーからは庭園が見られるのですね」 「そうそう、音楽を聞きながらお庭の観賞も乙ですわぁ」 リナリエッタは鈴子を連れて、庭園へと出る……。 「ああ、少し遅かったかしらぁ」 既に日が暮れかかっており、外は暗かった。計算済みだが。 「うーん、ちょっと暗いですねぇ……あ! 私キャンドル持ってるからつけますわねぇ!」 リナリエッタは鞄の中からアロマキャンドルを取り出した。 これもネットオークションで手に入れたものだ。 濃厚な甘いバニラの香りのアロマキャンドル缶――口コミによると、酔わせる効果のあるアロマらしい。 (ふふ、これで酔わせて鈴子さんの好みのイケメン像をチェックよ。レッツ合コン!) ダンスパーティが終わった後の合コンを夢見ながら、リナリエッタはキャンドルに火を点けた。 「これだけだと、あまり変わりませんね。リナさんのお姿が良く見えるようになったくらいで」 「そうですわねぇ。でも、明るい会場は、見えますね〜。素敵な方が沢山いますねぇ」 バルコニーから、リナリエッタと鈴子は会話をしながらパーティを観賞する。 甘い香りが漂っていた――。