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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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6)

宮殿都市アディティラーヤの和洋菓子ペンギン亭「ぺんぺん」にて。
桐生 円(きりゅう・まどか)は、
婚約者のパッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)を誘って、
デートにやってきていた

「ペンギンの従業員が多くて楽しいよ!」
「ペンギン……かわいいわ。楽しみね」

そう、会話していた2人だったが。

当日はバレンタインデーである。
和洋菓子ペンギン亭「ぺんぺん」は、大勢のお客さんでにぎわっていた。

「ごめん、パッフェル!
凄く大変そうだから、お店の手伝いしてください!」
「ええ、わかったわ」
パッフェルはエプロンを身に着けると、さっそく、店の切り盛りを開始する。

家事や料理の得意なパッフェルにとって、
お店の切り盛りも、そう難しいことではなかった。
ペンギン達の見よう見まねで、
お茶を用意して、給仕を行う。

「いらっしゃーせー」
ガソリンスタンドの店員のように、円が接客する。
「いちばんはいりやーっす!」
口調は微妙だが、円はスムーズに接客を行っている。

ふと、パッフェルを見ると、
無口なので、円のように元気に挨拶はできないようだが、
笑顔で接客を行っている。

(エプロン姿のパッフェルもかわいいな)
円はふと、そんなことを思う。

そうこうしているうちに、
お店のラッシュの時間帯は過ぎて、
閉店時間となった。

「段取りが悪くてごめんね。バレンタインの時期だし失敗したかも。
予定通りにはいかないもんだね」
しょんぼりする円に、パッフェルが笑顔を向ける。
「ううん、円と一緒に過ごせるから……。
とってもうれしい」
その笑顔を見て、円は安堵した。

「これ、ボクが作ったんだ。
ペンギンに持ってきてもらおうと思ったんだけど……」
「円の手作り……うれしい」
チョコレートケーキを受け取り、パッフェルは、笑顔でうなすいた。
「あと、これ、お手紙。恥ずかしいから、後で読んでね」
「ええ、私も、後で、お手紙、書くわ」
パッフェルは、チョコレートケーキの箱を開け、円に言った。
「すごくおいしそう……ありがとう」
形は整っていないが、円の愛情が伝わってくる。
「ありがとう、パッフェル。
大好きだよ、いつもありがとう!」
円は、パッフェルに抱きつくと、優しくキスをした。
パッフェルも、円を抱きしめ、
チョコレートより甘いキスを、2人は味わったのだった。