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2024年ジューンブライド

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 空京、とある教会の鐘が鳴っている。
 この教会では小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)の結婚式が行われる。
「今日は本当におめでとうございます」
 美羽とコハクの結婚式の手配や準備を進めてきてくれていたベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)は、何より誰より先に、二人に祝福の言葉をかけにきた。
「ベア、本当にありがとう!」
「今日のためにいろいろと準備してくれて、ありがとう」
 純白のミニ丈ドレスを着た美羽と、タキシード姿のコハク。
 二人に笑顔を見せると、ベアトリーチェも参列者たちの間に混じっていった。
「それじゃあ、行こう!」
 美羽に促されて、コハクたちは式場の中に入っていった。
「おめでとう!」
「おめでとうございますー!!」
 二人を祝福する音楽と、美羽たちの友達が二人を出迎えた。
 緊張した面持ちのコハクの腕に抱きついて歩く美羽は、幸せいっぱいに笑顔を浮かべている。
「美羽ちゃん、ドレスすっごく似合ってるねぇー」
「そうだね。僕も、美羽だからこそ、あの丈のドレスが似合うんだと思うよ」
 美羽とコハクが歩いていくと、参列している美羽の友人たちが口々に幸せそうな二人に祝福の言葉を掛けていく。
「それでは、誓いの言葉に移ります」
 神父の前に立った美羽とコハクは、誓約を行う。
「コハクさん。あなたは神の教えに従って夫として務めを果たし、常にこれを愛し、敬い、慰め、健康な時も病める時も、富めるときも貧しい時も、命のある続く限り固く節操を守る事を誓いますか」
「誓います」
 そう答えるコハクの顔には緊張が出ている。言葉も心なしか震えているようだ。
「コハクさん。あなたは神の教えに従って夫として務めを果たし、常にこれを愛し、敬い、慰め、健康な時も病める時も、富めるときも貧しい時も、命のある続く限り固く節操を守る事を誓いますか」
「誓います!」
 元気よく答える美羽。コハクは少し美羽の言葉で緊張が解れてきたようだ。
 参列者も、その元気を貰ったように二人を笑顔で見守った。
「指輪の交換を行って下さい」
 コハクは美羽の手を取った。緊張でどこかぎこちないながらも、コハクは美羽の薬指に指輪をはめる。
 美羽もコハクの手を取り、指輪を嵌める。
 これが、二人の結婚の証。そう思うと、自然と美羽は今まで以上に幸せな気持ちになった。
「みんな、ありがとう! 私、幸せになるね」
 美羽は祝福してくれている参列者の皆に手を振る。
「では、誓いのキスを」
 今まで以上に緊張で固くなるコハク。美羽も照れたように頬を赤らめる。
 けれど、美羽のはにかんだ笑顔も、カチコチなコハクの表情も、幸せからくるもの。
 自然と二人とも笑顔になって、美羽とコハクはどちらともなくキスをした。


 披露宴に移るころには、コハクの表情からはだいぶ緊張が解けてきていた。
「それでは、まずケーキ入刀です」
「うわあ……すごい」
 豪奢なウェディングケーキの前で、美羽とコハクは目を輝かせる。
「こちらのケーキは、ベアトリーチェさんが作った特製のウェディングケーキです!」
 突然のサプライズに美羽とコハクは喜びと驚きの混じった歓声を上げた。
 料理が得意なベアトリーチェは、サプライズで二人のために心を込めたウェディングケーキを作っていたのだ。
「ありがとう、ベア!」
 抱きついてくる美羽をベアトリーチェは笑顔で抱きとめる。
「おめでとうございます、美羽さん。コハクくんと、どうか末長くお幸せに」
 祝福の言葉を受けて、美羽とコハクはナイフに手を添えた。
 ケーキ入刀が行われると、式場中から一層大きな歓声が巻き起こった。
「幸せになろうね、美羽」
「うん!」
 美羽とコハクは、ベアトリーチェをはじめとして大勢の友人たちに祝福されて、夫婦となったのだった。