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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかのじゅせいらん! 後編

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■□■6■□■ アルバ・フレスカ、捕縛

またも復活したアルバ・フレスカが、ハサミを振りかざして迫る。
「静香校長を宦官に!」
プロフェッサー・ポシブルも、
閃いた様子で言う。
「これって、どさくさにまぎれて静香たんにあんなことやこんなことをするチャンスだよね?
イッツ・ポシブル!」

「悪い事する子はメッ!なんだよ」
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)がロープを持ってアルバ・フレスカに迫る。
「さあ、今のうちに捕まえるのじゃ!」
ミア・マハ(みあ・まは)が、
アシッドミストで、静香の服を溶かす。
「きゃあああああああ!?」
「イッツ・ポシブル!」
ポシブルが激写する。
「し、静香校長……」
アルバ・フレスカも、動揺して見つめてしまう。
「って、ボクの服も溶けてるんだよー!?」
レキが慌てる。
「ミア、さっきの遺伝子提供ときのこと、根に持ってるの?」
「別に【胸が大きい】【動物好き】の子のことなど気にしておらんわ!」
(やっぱり嫉妬してたんだ)
レキは、急いで服の裾を引っ張る。
「カロチンビィィィム!」
葦原 めい(あしわら・めい)が、アルバ・フレスカに向かって銃を撃つ。
めいと、八薙 かりん(やなぎ・かりん)も、
卵子提供を行って、
【外見特徴:胸が小さい】
【性格:陽気】
な小ラズィーヤと、
【外見特徴:髪がキレイ】
【性格:慎重】
な小ラズィーヤの遺伝上の母になっている。

佐野 和輝(さの・かずき)は、静香の行動を全力で支援するため、
護衛を行っていた。
「大丈夫か、桜井」
「ありがとう」
和輝は、静香に上着を渡す。
「そういえば、和輝さんは、どうして、僕のことを……」
「親ゆ……“友人”だから……では駄目か?」
「え?」
「いや、なんでもない」
和輝は、静香に照れた顔を見せないようにした。
小学生時代の友人だったなどと、静香は気づいていない。

和輝は、銃で建物の一部を破壊して、アルバ・フレスカを巻き込ませる。
「うわああああ」
「あっ、申し訳ない。そこは脆くなっていたようですねぇ」
そう、棒読み口調で言う。
(アイツにとっては友人の一人でしかなかっただろうが、
当時の俺にはかけがえのない友人だったんだ)
だからこそ、別の世界で和輝は、
十嬢侍になり、【自分の大切な存在を幸せにする】ことを望んだのだ。

そのような事情は知らないが、
アニス・パラス(あにす・ぱらす)も、
アイシャのフィギュアに「ごめんね」と謝った後、
アルバ・フレスカの頭に振り下ろす。
「アイシャお姉ちゃんが望んでないんだから、邪魔しちゃうよー♪」
「って、そんなことするのも望んでませんよ! わー!」
「げしげしげしー」

「くっ!」
逃げようとして転んだアルバ・フレスカを、レキが亀甲縛りにする。
「なんでそんな縛り方を?」
「乙女の秘密だよ」
めいの疑問に、レキが答える。

「大丈夫?
これで最後だよね」
ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)が、新手に警戒しながら言う。
ミルディアも、
髪の遺伝子提供を行って、
【外見特徴:炎の様に赤い髪】
【性格:やんちゃ・熱血】
な小ラズィーヤの母になっていた。
「それにしても、プロフェッサーを守るつもりだったんだけどなあ。
そういえば、あたしも事件に巻き込まれたことあったような」
ともかく、機械を守ることはできたので、
ミルディアはよしとすることにした。

「ポシブルちゃん、

『めー』

なんです!」
ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)が、
咆哮でポシブルをお仕置きする。
「ウワアアアアア」
「きゃあああああああああ!?」
「うわあああああああああ!?」
レキとミアも巻き込まれてしまった。

「あれ?
とにかく、悪いことしたらめーなんですよ!」
ヴァーナーが腰に手を当てて言う。
「うう、ヴァーナーたんはかわいいのに、
なんとなく逆らっちゃいけない気がするよ!」
それは、
ヴァーナーが、別の世界で十嬢侍になり、
【みんなを仲良くする】のが夢の小ラズィーヤの教育係となったからなのだが。

一方、めいは、縛られたままのアルバ・フレスカに言う。
「魔導受精を使えば、想いのこもったアイテムで宦官でも子供を作れるよ。
父親として、娘を抱きしめてみたくはない?
権力争いに明け暮れるより、よっぽど幸せになれるよ」
「それじゃ最強の契約者にならないじゃないですか!」
アルバ・フレスカは反論する。

(小ラズィーヤの話を聞いて確信しました。
彼女もまた、パラレルな未来の一つから来たのだと。
私達の世界のシャンバラはいずれ戦争で滅びる運命ですので。
少子化がどうこうという話はおかしいのです。
別の平行世界でなら有り得るでしょうけど)
その一方で、めいのパートナーのかりんはこう考えていた。

「同じ男の娘として、アルバ・フレスカさんのやり方はよくないと思います」
ユーリ・ユリン(ゆーり・ゆりん)が言う。
ユーリは、いつもメイド服を着ている、自称「ぼーいずめいど」である。
「なんとか話し合いで解決できないでしょうか」
ユーリも、他の世界では十嬢侍になり、
【誰とでも仲良くできるような優しい子に……!】と願って教育している。
「静香校長は1万年に1度の逸材ですよ?
今、宦官にしないで、どうするんですか!」
「え、でもでも……」
「アルバ・フレスカちゃん、ユーリちゃんとなかよくしないと
『めー』です!」
「ギャー!?」
「きゃー!?」
「あ、あれ?」
ヴァーナーは、咆哮でアルバ・フレスカごと、ユーリもぶっ飛ばしてしまった。

そこへ、
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)を伴って
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)が現れた。
クリスティーは、静香の文通相手であったが、
その手紙を元に遺伝子提供を行っている。
その結果、【凛々しい】外見の小ラズィーヤが生まれていた。


「これを!」
クリスティーの掲げたものを見て、アルバ・フレスカが動揺する。
「ま、まさか!」
「宦官は、切り取った後、保管しておいた『身体の一部』を、
死後、墓に一緒に入れないと、男に生まれ変われないと言われているそうだね」
クリスティーの口調は厳しいものだった。
このことを、アルバ・フレスカが信じているかどうかが重要だったが、
この様子から見て、それは間違いなかった。
「今回は引くんだ。
その引き換えにこれは返そう」
「返してくださいっ!」
激昂したアルバ・フレスカが、ロープを解いて、
クリスティーに襲い掛かる。