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【光へ続く点と線】遥か古代に罪は降りて (第2回/全3回)

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【光へ続く点と線】遥か古代に罪は降りて (第2回/全3回)

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暴走!

 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)星怪球 バグベアード(せいかいきゅう・ばぐべあーど)とともに星心合体ベアド・ハーティオンでアイールからずっと巨大イレイザーの護衛としてついてきていた。ラブ・リトル(らぶ・りとる)夢宮 未来(ゆめみや・みらい)は成り行き上、巨大イレイザー内でお留守番である。
「この校舎は今度は何処に向かおうとしているのか……。
 あれはイレイザー! ……それにあの反応は……インテグラルビショップか!
 どうやらイコンと戦っているようだが一体。その上校舎もイレイザーと戦い始めているッ?!」
「ミッズノナカー♪ ミッズノナカー♪
 水陸両用キャタピラ ツケテテ 良カッタナー、ト。ナー、ハーティオン」
バグベアードが暢気に言う。
 校舎内のラブはハーティオンにむかい、テレパシーで実況中継を行っていた。
『はろはろ〜ん♪
 蒼空学園のNo1アイドルのラブちゃんよ〜♪
 いや〜。 まさか分校校舎が水中にいくとはね〜……。
 乗せてもらえたのはありがたいんだけど……。
 ……ま、外でイレイザーに晒されるよりは百倍マシだけどおお?!』
バグベアードの拾った彼の『娘』未来も負けずと、自分達のいる校舎の壁の水漏れ箇所を修理しながらテレパシーでアナウンスを行う。
『蒼空学園の夢宮未来です!
 今回はラブちゃんと一緒にパラ実校舎に乗せてもらってます!
 あたしはラブちゃんに言われて校舎の水漏れを板で塞いでます!
 呼吸は出来ても、『やっぱ水が漏れてるのは精神的にイヤー!!』ってラブちゃんが言うので!」
 さっきチラっと聞いたんですが、なんと、イレイザーと校舎の目標は古代遺跡!
 そしてその古代遺跡にはスポーンさん達が平和的に生活してるのだそうですっ!
 そしてこの校舎は仲間のいるあの遺跡を護ろうとしているとか!』
『それってとんでもない重要情報じゃないの!
 ちょっとハーティオン! 気合入れてあたしの乗ってる校舎守りなさいよ!
 なんかこの校舎あの遺跡守る為に敵に突っ込んでるみたいだし!』
ラブがテレパシーで喚く。
『何だと?! 敵の狙いはあの遺跡なのか!
 ならば、パラ実校舎はあの遺跡を守る為に……!
 しかも遺跡では心優しきスポーン達が平和に穏やかに暮らしているという言うのか!!』
『いや!そんな事まで言ってないし! ……まーたあいつ訳の判らない暴走してるわ〜』
ならばパラ実校舎を、そして心優しきスポーン達の生活を守る為、私も力を尽くそう!』
『おとーさんならびにハーティオンさん、パラ実の皆さん、ここまでの中継は蒼空学園の夢宮未来でした!』
未来はテレパシーで聴くことのできる関係者全員に念話を送っていたらしい。
バグベアードが考え込む様子で言う。
「未来モ乗セテモラッテルシ、アノ校舎ニ付キ合ウノハ構ワンノダガ……。
 コノママイツマデモ振リ回サレル訳ニモ イカンダロウ。ココハ一ツ、コノ校舎ト意思疎通スルベキダト思ウノダ」
「むっ?! だが一体どうやって?」
「フフフ、偉大ナル我輩ニ任セロ。作戦ガアルノダ……」
ベアド・ハーティオンの後頭部にある触手がシュルシュルと伸びて、戦闘の構えを取る巨大イレイザーの指先にチョイと触れる。
「……アレ? オカシーナ。以前ミタ映画デハ、ココデピキーント指先ガ光ッテ分カリ合エルノダガ……?」
考え込むバグベアード。だがそのころ、最奥部ではアピスもまた今の接触について何か考え込む様子で触覚を震わせていた。少し間があって、ハーティオンは校舎がぐるりと向きを変え、残る一体のビショップに向き直るのを見た。
「皆! 私がインテグラルビッショップの足を止める! その間に集中攻撃で止めを刺してくれ!」
キロス、彩羽が即座に協力を申し出る。アルテミスもキロスが立ち向かうというのであれば否も応もない。リネンと北都は万一の事態に備え、後方に控える。
「いやな予感がするのよね」
リネンが呟く。
『オオオッ!』
『コスモッ!ハアァァト!!ブラスター!!』
星心合体ベアド・ハーティオンの胸のクリスタルに全パワーを溜め、そこから強力な光線(※ユグドラシルの猛き枝である)をインテグラルビショップに向けて放つ。ハート・クリスタルが『愛の心』に光り輝き(※雰囲気だけで実際のパワーはないのであるが)ヴィサルガ・イヴァによる覚醒が引き出される。その凄まじいパワーに、ビショップの動きが鈍る。彩羽のマスティマがヴィサルガ・プラナヴァハを発動し、覚醒の輝きを帯びた。アルテミスのナイトがデュランダルを構える。
「受けてください! この聖剣デュランダルの輝きをっ!」
マスティマの覚醒のパワーを帯びたギロチンアームがビショップの足元を狙って繰り出され、アルテミスのデュランダルも同じ箇所を攻撃する。キロス機が前に出る。それを見た蓮華が、収容された要塞からヘクトルに通信を入れる。
「ヘクトル副司令、キロスさんにリミッター解除許可をっ!
 暴走を恐れるより、彼を信じましょう キロスさんは、貴方の弟さんは……強い!」
キロスが先ほどのビショップへの一撃を思い返し、斧を振り回しながら突っ込んでゆく。だがヘクトルが何か答える前に異変が起きた。
「うおおおおおーーーーッ!! これでも食らいやがれッ!!」
キロスが叫ぶと同時に、キロスのナイトの、ハデスがヴィサルガをくくりつけたあたりを中心に淡い光を帯びたのだ。そのまま斧を振り回してまっすぐビショップめがけて突っ込んでゆき、その胴体に深々と斧をめり込ませた。同時に巨大イレイザーがその巨大なあぎとを開き、ビショップの頭部めがけてビームを放った。頭部はすぐに蒸発し、そのままビショップは湖底に沈んでいく。その胴から斧を引き抜いたキロスのナイトが、すぐそばにいた彩羽の機体めがけて斧を振るう。マスティマはその高い機動性を生かして素早く避ける。
「な……一体何が起きているのでござるかっ?!」
スベシアが叫んだ。
彩羽が呻き、周囲の僚機にその旨を緊急通信で告げる。
「キロスさんのナイトが……暴走したようです」
キロス自身、ナイトのコントロールを完全に失い、あせりと苛立ちに支配されていた。
「クソッ! 何だっていうんだ! 言うことを聞きやがれ―――このッ!!!」
だがキロスの意思は全くナイトに届かなかった。破壊の衝動だけが支配する。周囲の目に付いたものに斧を打ち下ろそうとするのみだ。マスティマが覚醒の余波の残るギロチンアームで、足を払う。キロスのナイトがひざをやられて大きくよろめく。だがそれでもぐらつきながら、なおも斧を振り回す。
「こうなることを懸念してたのよ……ヘイリー、これ使ったらもうエーデルは力を使い果たすわ。
 回収をお願いね」
「やれやれ……お守りはリネン一人にさせてほしいんだけど。わかったよ、まかせて」
リネンが電磁ネットをキロスのナイトめがけて投擲する。頭部を包みこむと同時に、対INT用スタングレネードを打ち込む。高圧電流に苦しむナイト。
「押さえ込むだけじゃダメだ。破壊しないと。アクリト教授に止め方聞いておいて良かったよ」
北都が胴体部分にウィッチクラフトピストルで集中攻撃を行ない、さらにファイナルイコンソードで猛烈な一撃を与えてケンタウロスの下半身を半分切り離すと、さしものナイトも深手を負って動かなくなった。
「イコンで腹パンする事になるとは思わなかったよ」
ヘリワードがすぐさまナイトの残骸から意識不明のキロス――ナイトとは一体化するため、ダメージを受けると搭乗者も意識を通じて痛覚などを共有し、相応のメンタルダメージを受けるのだ――を引きずり出し、最寄の軌道要塞へと運搬する。
「やれやれ、どうなることかと思ったでござる」
スベシアが額の汗をぬぐった。