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ゆきやこんこんはいきんぐ

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ゆきやこんこんはいきんぐ

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○12月20日
吹雪は今朝もやみません。朝ご飯はコーヒーだけです。お腹減ったな。食料残してる人に少し分けてくれませんかって聞いたら断られてしまいました。自分のせいだもの、しかたないよね。
―――――――――
吹雪は一向にやむ気配を見せなかった。隊員たちの体力は徐々に奪われ、焦燥感だけが募っていった。
「こんなところにいつまでもいたら凍死しちまうぜ」
 と、パートナーである狼の姿をした獣人、蘭堂 一媛(らんどう・いちひめ)にソリの手綱を固定していたのは、トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)だった。
「お前が引っ張ればどんな悪天候でもあっという間に楽勝で帰れるんだろ?」
「ふむ。おぬしが振り落とされぬようにしっかり捕まっていられればな」
「へっ、俺を誰だと思ってやがる?」
 トライブがソリに乗り込んだとき、
「単独行動はやめてもらいましょうか」
 と、彼らを呼び止めるものがいた。御茶ノ水 千代(おちゃのみず・ちよ)だ。
「勝手な行動は部隊全体を危険にさらします」
「俺は蒼空学園の生徒だぜ。シャンバラのあんたにつべこべ言われる筋合いはないな」
「でもこれは教導団主体の訓練です」
「もう訓練がどうとか言ってる状態じゃないんじゃないのか?」
 しばし無言でにらみ合うふたり。
 言葉を切り出したのは千代だった。
「ならこうしましょう。教導団は救援を求めるため、連絡要員を一名下山させます。その者と行動を共にしてください」
「いやだね」
「何故です?」
「それぞれ別ルートをとれば、どっちかが生き残れる可能性が上がるだろ?」
「……だ、そうです。指揮官殿」
 千代は遅れてやってきたスキー板を背負った騎狼部隊指揮官、イレブン・オーヴィル(いれぶん・おーう゛ぃる)を振り返った。
「いい覚悟だ。少年、名前は何という?」
「トライブ・ロックスター。覚えておいて損はない名前だぜ」
「了解した。ふもとで会おう」
 イレブンはトライブに敬礼すると、ゴーグルをはめ、スキーを履いて吹雪の壁の中に消えていった。
「んじゃ、俺らも行こうぜ」
 トライブと一媛も後を追うように下山していった。

―――――――――
凍傷と衰弱がひどいので、わたしは病院にうつされました。みんなに迷惑かけちゃうな。こんなつもりじゃなかったんだけどな。