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温水プール爆破予告!?

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温水プール爆破予告!?
温水プール爆破予告!? 温水プール爆破予告!?

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(8)14:30 山葉裁判

 そう、ついに涼司が裁かれる時が来た。のぞきを働いた彼は容疑者としては十分すぎるくらい怪しい。裁判官はもちろん校長、警備には蒼学警察が何人かついてきている。
 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は特技の演説を披露するため、こほんと息を整えた。涼司は全身をぐるぐる巻き・口にはガムテープの状態でプールの中央に座らされている。
「犯人は愉快犯であるというのは、犯行声明と要求がないことより明らか! 愉快犯には自分の存在をアピールすることを目的とする者もいると聞きます」
 身振り手振りで涼司の罪を訴えかけるウィングから少し離れたところでは、花音が心配そうに見守っている。
「プールに仕掛けたというのは、周りに何もなく被害を抑える効果を期待したからではないでしょうか。それで得をする人物は一体だれか?皆さん、考えてみてください。結論から言いましょう。
 山葉涼司、この事件の犯人は君だ!!!」
 ジョゼット・オールビー(じょぜっと・おーるびー)も、そうだそうだとはやしたてた。
「ちゅーっす!……よ、よろしくですわーッ!!
 犯人はこの中にいる! あたしもそれが山葉涼司で決定だよッ」
 そういうと、ビシッと容疑者を指さした。
「『犯人は物語の当初に登場していなければならない』ってどっかの誰かが言ってた! どさくさで女子更衣室覗こうとしたんじゃん?むしろのぞき部だったんだよ!」


「異議あり!」


 犯人決定か? 傍聴席の心が一つになりかけた時、譲葉 大和(ゆずりは・やまと)がメガネをきらりと光らせて颯爽と登場した。
「俺、知ってしまったんです……。涼司さんの気持ち……」
 涼司を憐みのこもった目で見つめながら同情を誘うような声で訴えた。
「なっ、弁護士ですか」
 ウィングは突如現れたライバルに驚きながらも見守る姿勢でいる。
「俺は、涼司さんが険しい顔つきで叫んでいるのを聞いてしまいました。
『俺はあいつ(たぶん妹的存在だった女の子)に誓ったんだ!(中略)大切な…人だから!』そう言ってました! ……こんな良い人が犯人のわけが無い!」
 

「でも、花音さんがいないところでのぞきを働いていたもん!」
「りう、恥ずかしかったです縲怐v
 美羽と璃宇は女子更衣室での件を訴えた。花音は初めて聞いたらしく、本当なんですか? という視線を涼司に送っている。


「あ、自分、のぞき部が山葉さんを勧誘しているところを見ました。13時ごろだったかな?
 ええーっと、『しめしめ、上手くいったぜ』とか言ってた気も」
 輝月がニコニコと証言する。確かに時系列的には間違っていない。
「しょ、証拠というには力が弱いですね」
 大和は少し焦りながらも相手の矛盾を探していた。
「証拠ならこちらにございます。決定的なものではないかもしれませんが」
 そういうと、進士はハンカチに包んだ涼司のメガネを校長に渡した。
「確かに本人のものね、どこに落ちていたのかしら?」
 何か言いたそうなティミドールを無視して、進士はにこやかに対応している。
「のぞき部の方をお見かけしたので、ついて行ったところ落ちていたのですよ。ええと、シャワー室に向かって行きましたねぇ」
 ざわわ! 聴衆が動揺しているところにウィングがたたみかける。
「動機もあります……そう、確かに涼司さんにとって花音さんは『大切な人』なのかもしれない。しかし花音さんから見た涼司さんは『親友』なんじゃないんですか!?」
 衝撃の事実!! 
「そうだそうだ! 変態メガネは有罪だー!」
 ジョゼットは楽しそうに騒いでいる。


 そんなとき、ククク……と蛍光灯で明るい屋内にもかかわらず、暗いオーラをまとった寛太が現れた。「(むだに)くろい部」のビラをまきながら中央までやってくると、インドアな笑いを浮かべている。
「茶番は終わりだ愚民ども……。15時、この時を待ちわびていた……。真の犯人はこの僕さ、もう遅い、惨劇は始まってしまった……。のぞき部の勇者達よ、存分にのぞくがいい……ククク」
 校長は寛太のセリフを最後まで聞くことなく、蒼学警察に様子を見るように命令した。