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第1回 ヤマハGP~空京・秋の陣~

リアクション公開中!

第1回 ヤマハGP~空京・秋の陣~
第1回 ヤマハGP~空京・秋の陣~ 第1回 ヤマハGP~空京・秋の陣~

リアクション

 6.最後のストレート!
 
 
 商店街の急こう配の坂道を抜け、短い直線に出る。
 遠くに「GOAL!」のアーチと、花音の姿。
 チェッカーフラッグを構えて、勝者を待っている。
 
 集団は坂道を下り、ゴールへとまっすぐに向かってくる!!
 
 ■
 
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は小型飛空艇オイレでの参戦だ。
 策敵と殺気看破を使って用心深く進んできたが、ここで勝負に出た。
「セイニィの要領で、行きます!
『妨害』で、競争相手を一気に抹殺です!」
 軽身功で、オイレから相手の乗り物に一瞬飛び移り、鳳凰の拳を叩き込んでから移動する、という作戦だ!
 だが、神崎 輝、シエル・セアーズ、天貴 彩華&天貴 彩羽に挑もうとするも、ことごとくひょいっとかわされてしまった。
「くっ! 『殺気看破』、ですか!
 無い奴を選んでいくしかないですね!」
 トマス・ファーニナル目掛けて、飛び移る。
 スキルを使ってなかったトマスは、鳳凰の拳の一撃で沈んだ。
「わー、何すんだ! 君!」
「悪く思わないで下さいな。
 俺も、なりふり構っていられないんです」
 唯斗を応援していたエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)紫月 睡蓮(しづき・すいれん)は歓声を上げる。
 だが、彼は「判定」で失格になった。
「2つの乗り物に乗った」ことが、ルール違反と取られたようだ。
 次回の活躍を期待しよう!
 
 彼の脇で、ふうっと幽霊のように現れた機影が!
 アシュレイ・ビジョルド(あしゅれい・びじょるど)の小型飛空艇だ。
 ゴール近くまでずっと、光学迷彩で目立たないようにしていたようだ。
「優勝は私がもらいました!
 行って下さい! 人面甲羅さん!!」
「わかっておるぞ、アシュレイ。
 レースのために作られたワシじゃからな」
 赤い 人面甲羅(あかい・じんめんごうら)は隠れ身を外し、不気味な魔鎧の正体を晒した。
「この赤い甲羅の追撃から逃れる事は出来ぬ!
 覚悟するのだな!」
 防御の体勢を取る。
 その姿は「巨大な亀の甲羅」のようだ。
 アシュレイはそれを、遠心力を利用して先頭集団に投げつけた。
「これで邪魔者はきれいサッパリなくなっちゃいなさいっ! です」
 
 せいっ!
 ギュルルルンッ!
 
 人面甲羅は高速で回転しつつ、執拗にレッサーワイバーンを追いかける。
 が――。
「ふっ、甘いな!」
 涼介は「殺気看破」で既に察知している。
「私の『天のいかづち』で、地に落とすまでのことだ!!」
 ……人面甲羅はアシュレイ共々、雷の一撃で脱落してしまったとさ。残念!
 
 似た様な事を考え付く奴はいる者で。
 ラストの急こう配の下り坂で、箒が現れる。
「光る箒」で参戦のザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)だ。
 そのままバーストダッシュで飛び降りて、加速してゴールに突撃する!
「慣性の法則に従って、自分の優勝が決まるのです!
 ニュートン万歳! ですね!!」
 しかしこれはゴールに着いた途端、判定員により「失格」が言い渡されてしまった。
 最後まで乗り物に搭乗しなかったことが、「乗り物によるレース」という公約に違反したようだ。
 
 他の選手達も、続々と最後の追い込みに入る。

 天貴 彩華は天貴 彩羽指示の元、小型飛空艇を操る。
「彩羽〜、いくよぉ〜。
 ゴールまで突っ走るですぅ〜!!」
 
 アリアはトナカイのスズちゃんを駆りたてている。
「スズちゃん!
 インコースを押さえて、ゴー!」
 
 その後方で、ミルフィと有栖は共にバーストダッシュを発動!
 彼らの脇をすり抜けて、レッサーワイバーンが風のように追い上げる。
 寝坊で遅れたトライブ選手、ここでようやく先頭集団に追いついたぞ!
 ぐんぐん他の選手達を抜き去り、霧雨 透乃(きりさめ・とうの)の小型飛空艇に追いつかんばかりの勢いだ。
 
「そうはさせないです!」
 おっと! 飛空艇が大きく斜行してきたぞ
 緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)の小型飛空艇オイレだ。
「透乃ちゃんの優勝のため!!」
 陽子は機体ごと勢いよく体当たり。
 これでトライブ選手はレッサーワイバーンを潰され、陽子もろとも試合続行不能となった。
「くぅ、まだ俺はスロウィだったか!」
 ……そのまま風のごとく逃げ去ろうとしたところで、役員達に更迭されたのだった。合掌。
 
 選手達は次々とゴールを目指す。
 先頭は、レッサーワイバーンの本郷涼介とヘリファルテの霧雨透乃の2名に絞られた。
 
「くっ。『妨害』したり除去したりで、ロスタイムが多かったということか!」
 涼介は唇を噛んで、手綱をしっかりと操作する。
「陽子ちゃんのためにも!
 ここは、絶対に負けられないよね!!」
 透乃はこれ以上ないくらい、加速に力を注ぎこむ。
 両者とも姿勢を低くし、空気抵抗を少なくさせて臨む。
 
 GOAL!!
 チェッカーフラッグが振られた!
 
 はたして、「第1回 ヤマハGP」の栄冠をつかむのは……誰だ!?