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輝く夜と鍋とあなたと

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輝く夜と鍋とあなたと
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「ちょっと! なんでアンタ達がここにいるのよ!」
 ユベール トゥーナ(ゆべーる・とぅーな)が待ち合わせ場所に着くと、先に来ていたアグリ・アイフェス(あぐり・あいふぇす)白羽 凪(しろばね・なぎ)に噛みついた。
「ワタシを出し抜いて鴉と2人っきりだなんて許しませんわ」
「……うん……」
 アグリの言葉に凪もコクリと頷いた。
「せっかく、今日イベントがあるって……カマクラと鍋だったら鴉も絶対来てくれるって思ってメールしたのに……なんでいるのよ!」
「アホの考えていることなんてお見通しですわ」
 トゥーナとアグリから火花が散る。
「……本当は、メールをするところを見ちゃったから……」
「むぅっ……!」
 凪が真実を語ると、トゥーナはぷっくりと頬を膨らませた。
「いいじゃねえか。鍋は大勢の方が美味しいだろ?」
「そうだけど……むぅ……鴉が言うなら仕方ないわね」
 トゥーナは未練たらたらだったが、夜月 鴉(やづき・からす)に言われ渋々了承し、4人でカマクラに向かったのだった。

「お前ら……はぁ……」
 鴉がカレー鍋を作り終わると、トゥーナとアグリが鴉の隣にひっつき、離れない状態となっていた。
「べ、べつに……鴉が寒いだろうと思って隣にいてあげてるだけよ」
「それなら、ワタシがいますから大丈夫です」
 2人からまたも火花が散る。
「……ワタシは、鴉の前の席で……鴉と目が合うからここが良い……」
 顔を少し赤らめて凪が言うと、トゥーナとアグリは『しまった! そっちがあったか!』 という顔を一瞬したが、隣から動こうとはしない。
(ま、寒くないし、面倒だから良いけどな)
 鴉はそう考え、自分の分をよそう。
「食べないのか?」
 鴉に言われ、3人はそれぞれ自分で鍋をよそって食べ始めた。
「美味しいですわ! さすが鴉です。アホの子じゃこうはいきませんよね」
「うっさい! 料理が出来なくても、それがあたしだ! 文句あっか!」
「あります」
「な、なんでよ……」
 トゥーナの頬が膨れる。
「全てを消し炭に変えてしまうだなんて、もはや料理ではありません。材料が勿体なくて泣けてきます」
 アグリの言葉にあほ毛がしゅんっとなった。
「……」
 見兼ねて、凪がトゥーナの頭を撫でる。
「凪……!」
 撫でられて嬉しかったのか、ちょっとだけあほ毛が復活した。
「食べないと冷めるが?」
「た、食べる!」
「食べます!」
 急いで、2人は自分でよそった分を食べる。
 会話に加わっていなかった鴉と凪はすでにおかわりをしていた。

 鍋が終わると、鴉はいつの間にか、横になり、コタツで丸くなっていた。
「……かわいい」
 その寝顔を見て、トゥーナとアグリは声を揃え、凪は首を縦に振った。
「ワタシはこっちで寝ます」
「……ワタシはここ……」
 アグリと凪が鴉の横を取ってしまいトゥーナは入り損ねてしまった。
「あ、あたしは……」
「……ここ?……」
 トゥーナが困っていると凪が鴉のお腹をぽふぽふした。
 一瞬顔を赤くしたが、トゥーナは凪の方に体を置き、鴉の腹枕を実行した。
 鴉だけがちょっと苦しそうだが、なんとも幸せそうな顔で寝ているのであった。