リアクション
■□■ 端正な顔立ち、豪奢な衣装。 にも関わらず空色は工事現場で働いていた。 見た目より丈夫な空色は現場で重宝されていたが、 その躯体はすっかり薄汚れていた。 「おかしいよ!」 アイ・シャハル(あい・しゃはる)は憤っていた。 月の地祇として地上に降りて、まさに“一目惚れ”した空色。 その奴隷としか言えない状況にだ。 「そのアサカって奴、放っとけばいいじゃん。 働く必要ないだろ!」 「仕方ありません。私は朝霞に逆らえないようにプログラムされています。 それに、私がいなくなったら浅香さんは……だから逃げられないのです」 それにかつて妹や弟を護れなかった自分に幸せになる権利など。 空色はアイの言葉に悲しそうに首を振った。 でも、アイも首を振り返す。 「ダメだよ、僕もう決めたもん。ソラを助けるって。 絶対に幸せになってもらうって! 今、それが出来ないって言うなら過去に行く。ソラの今を変えてやる!」 この世界の色々な物をソラと一緒に見るために。 だが、過去に行く方法などあるのだろうか。 「あるよ!」 湯島 茜(ゆしま・あかね)が謎の乗り物と共に出現した。 「10年前に行きたいんでしょ? 連れて行ってあげるよ」 「そんな事出来るはずが……」 「いや、信じるしかないよ。分かった。一緒に行く!」 空色の制止を振り切り、ソラは茜の乗り物に乗り込んだ。 空を乗せた乗り物は過去へと―――消えた。 |
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