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魔女のお宅のハロウィン

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魔女のお宅のハロウィン
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第1章 お菓子を貰いに行こう!

 イルミンスールの森の中に、古代シャンバラ時代から生きている魔女リーア・エルレン(りーあ・えるれん)が暮らす家がある。
 ログハウスに、落ち葉のじゅうたんが敷かれた広い庭。
 不思議で綺麗な池。
 自然に囲まれているこの場所にいると、穏やかな気持ちになれる。
 自然が溢れていてとても心地の良い場所だ。
 休息のために、ここに立ち寄る者も少なくはない。

 2024年の10月末、ここでハロウィンパーティが行われることになった。
 夜に開かれるお化けたちのパーティだ!

○     ○     ○


 ログハウスの方から甘い匂いが漂ってくる。
 甘い匂いに誘われるかのように、ログハウスに入っていく人々。
 でもなぜか、ログハウスから出てくるのは、子供のお化けばかり!
 子供の大半は……そう、リーアの薬で、子供化した若者たちだ。
「パッフェル、ハロウィンはね、おとなからたくさんおかしをもらうのがれ……れ……なんだっけ?」
 パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)と腕を組んで歩いていた円・シャウラ(まどか・しゃうら)が、ううーんと首をかしげる。
「おかしもらうのが……れいぎ? まどか、でかけに言ってた」
「そう、れいぎ! だかられいぎにならうべきさ!」
 円はコウモリの魔女。
 パッフェルはドレス風の魔女の服を着ている。
 2人とも幼児化しており、円は3歳くらいになっていて、パッフェルは円よりちょっとだけ年上に見える。
「おとな……いた」
「よし、しゅーげきだーーーー!」
「……うん……」
 円とパッフェルは籠を持って駆けて行って、大人達に突進。
「おかしくれないと、いたずらずるぞー」
「いたずら……するわ……」
 すちゃっと取り出したのは、水あめの入った水鉄砲。
「ええっ、それは困りますー。お菓子あげますね」
 手伝いに来ていた桜谷 鈴子(さくらたに・すずこ)が、紙袋の中からお菓子を取り出して、円とパッフェルが持つ籠の中に入れた。
「おれいはいわないよ、れいぎだからね」
「いわない、わ……」
 そして2人は颯爽とその場を去り、次の大人達の下に向かっていく。

「「とりっく、おあ、とりーと!」」
 小さなミイラの女の子と、小さな天使の女の子……の姿の男の子が、大人達にお菓子を貰って回っている。
「はいどうぞ」
 手伝いに訪れていた錦織 百合子(にしきおり・ゆりこ)が、微笑みを浮かべながら、2人にお菓子をくれた。
「ありがとー」
「ありがとぉ」
 3、4歳のミイラと天使の姿をしたロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)桜井 静香(さくらい・しずか)は、とても嬉しそうに微笑んでお菓子を受け取って。
「そうだ、かわりにおかしあげますね。くばるのへったら、たいへんですからね!」
 ロザリンドは代わりに自分が作ってきたお菓子を、百合子に渡した。
「ありがとう、他の子にプレゼントさせてもらいますね」
「はいー」
「ええっと……おなかをこわすようなざいりょうは、はいってないはずです」
 ロザリンドは嬉しそうに返事をして、静香は少し控え目な声でそう言って、ぺこっと頭を下げると、次の大人のところへ向おうとした。
「わぁ、ミイラがいる!」
 横から声をかけられて、ロザリンドは立ち止まる。
「はい、ミイラです」
 答えて相手を見ると、自分を指差しているのは友人の円だった。
「って、ロザリンじゃん! なにしてんのー?」
「おかしもらってまわってます。こうかんもしてます、ねー、しずかさん」
「うん。たくさんもらったよ」
 ロザリンドと静香の籠には沢山お菓子が入っていた。
「まどかさんも、こうかんしてたべましょう」
「いいよー。たくさんあるし、こうかんしよ!」
 円とパッフェルの籠にも沢山お菓子が入っていた。
「はい、どうぞ〜」
「って……これ、もしかしてロザリンがつくったの?」
 小さな袋の中に、いびつな塊が入っていた。
「そうです。よくわかりましたね、まどかさんえらいです。たべてくださいね」
「う、うーん。じゃ、じゃぁすこしだけ」
「しずかさんも、ぱっふぇるさんもどうぞ。これはリーアさんからもらったどーなつです。……あ」
 4つに割ろうとしたが、大きさが違ってしまった。
「ええっと……おいしそうです……」
 しばらく考えた後、大きな方を2つに分けて、パッフェルと円に。
 小さな方の端をちょこっとだけ割ってそれを自分のものとして、大きな方を静香に差し出した。
「はい、しずかさん」
「……ありがとう、ロザリンドさん」
 静香は喜んでドーナツを食べる。
「しずかさん、おいしいですか? まどかさん、こぼしたりしないようにね」
 ロザリンドはちょっとお姉さんぶって、皆の世話をやこうとする。
「ドーナツ、すごくおいしかったよ。おおきいの、ありがとねっ。ぼくからは……これどうぞ」
 静香は籠の中から取出したお菓子……指輪キャンディをロザリンドの指につけた。
「ふふ……」
「えへへ……」
 そしてミイラと天使の2人は幸せそうに微笑み合う。
「う、うううう……ドーナツはおいしかったけど、これにがいよ……」
 円は、ロザリンドがくれたかりんとうのような苦い何かを食べていた。
「まどか、だいじょうぶ? みずようかんたべる?」
「うん、くちなおしのおかしちょーだい」
 円が涙目で言うと、パッフェルは鞄の中から自分が作ってきたお菓子を取り出して、円に渡した。
「……うん、おいしい」
 途端、円の顔にも幸せそうな笑みが広がった。
「やっぱりパッフェルのおかしが、いちばんおいしーや」
「ありがとう、まどか」
 そして二人も幸せそうに微笑み合った。
 その隙に……。
「いちばんではないかもしれませんが、わたしのおかしはおかわりたくさんありますからね!」
「え、あああああ……っ」
 ロザリンドが円の籠に入っていたお菓子と自分のお菓子をごっそり取り替えた。
「こっ、これは……ボクたちもやるしかないね、おかしこうかん」
「……うん、まどか、がんばろう」
 円とパッフェルは決意を固めて、ロザリンドのお菓子を捌くために、大人の襲撃を再開するのだった。

 そうして、ハロウィン会場に苦いお菓子がばらまかれていった。
「ぎゃああああ、にがーーーーーい」
「やーーーー、からーーーーい」
「くちのなか、いたいよぉぉぉぉぉぉぉ!」
 じきに子供達の阿鼻叫喚な声が響きだしたが……。
「しずかさん、わ、わたしからも……しずかさんに」
 そんなことに気付きもせず。
「ありがとう……。ペア、りんぐだね」
 ロザリンドは貰ってきた指輪キャンディを静香の指に嵌め、2人はほんわり微笑み合っていた。

○     ○     ○


「はーい、お菓子どうぞ。ここで悪戯はだめよ〜」
 ログハウスのキッチンで、リーアは訪れた子供達にお菓子を配っていた。
「ありがと〜」
「どーいたしまして、むぎゅっ」
 サービスサービスと、リーアは子供達1人1人をむぎゅっと抱きしめてあげていた。
 と、そこへ。
「お久しぶりでございますよー!」
 バタバタと駆け込んできた、少女がリーアに飛びついてきた。
「んー? 壱与じゃない。よく私だとわかったわね」
「声でわかりますでございます……うう、自分だけずるいでございます……」
 壱与――リーアの友人である邪馬壹之 壹與比売(やまとの・ゐよひめ)は、薬でぼんきゅぼーんと化しているリーア抱き着いてすりすりすりすり。
 壱与は外見13歳の英霊で、普段のリーア同様成熟した女性の体形とは程遠い体型をしている。自分もぼんきゅぼーんになりたかったというより、リーアとお揃いが良いという気持ちであった。
「確かに久しぶりよね、よしよし」
 熟女化したリーアは、壱与を子供を撫でるように撫でて、椅子に座らせた。
「お久しぶりでございます……」
 ふらふらと、清良川 エリス(きよらかわ・えりす)もキッチンへと入ってきた。
 エリスは中学生くらいの外見だが、幼児化している子供には大人とみなされているようで、沢山からまれ、既にへとへとになっていた。
「う、うち、わた、私はこないなのあまり得意やあらへんからここにいさせて貰います。お菓子作りなら手伝えます」
「エリスも久しぶりね、はいどうぞ」
 リーアは壱与とエリスに、普通の飲み物を淹れてあげた。
「リーア、これお土産でございます」
「ありがとー。子供達に取られないように、隠しておくわ。……地球のお土産ね」
 壱与がリーアに渡したのは、京都土産の生八つ橋だった。
「はい、エリスと共に日本へ行って大変でございました。何故かついでにお見合いさせられそうに……このわたくしに対して無礼でございますよね」
「あらまあ……。それは大変だったわね」
 リーアも少し休憩をしようと、椅子に座って2人と話を始めた。
「あう……壱与様その話しは勘弁しておくれやす」
 エリスはなんだか決まり悪そうな顔をしている。
「流されて全てに頷いて了承し、相手方からも全てお付き合いをお願いされて混乱を起こしたりしておマヌケでございましたよ」
「日本って一夫一婦制よね?」
「うう……」
 エリスは俯いてしゅんとしている。
「そうでございます。婚前交渉まで迫られたのに流され頷き、半泣きで助けを求めたりと世話が焼けすぎでございました!」
「それはまた……自分も苦労したでしょうけど、相手もとても可哀相ね」
「ええ!」
 ごくごく、壱与は勢いに任せてジュースを飲み、息をつく。
「……何も入ってなかったでございますね?」
「ふふ、何も入れなかったわ」
「以前は一緒に子供になって遊んだ記憶がございますね」
「そうねー」
 にこにこ、リーアと壱与は微笑み合うと、一緒にお菓子作りを再開した。
「トッピングするでございますよ。こっち(大人になる薬)とこっち(元に戻る薬)を半分ずつで……」
 小声でリーアに薬の効果や種類を聞いて、壱与はわくわくお菓子に振りかけた。
 そして出来上がったお菓子は勿論。
「さ、味見をするでございますよ」
 エリスの口へ押し込んだ。
「え? はい……んん? わわわわわっ!」
 エリスの身体は大きくなって元に戻って――でも、胸だけは戻らなかった。元々大きかった胸が更に飛び出た、ロリ巨乳少女と化したのだった。
「……殿方が好きそうな姿になりましたでございますね。お菓子を配りに回ると良いでございます」
「ふふふ、外にはおっぱい好きのミニギャングたちが沢山いるから、気を付けてね」
「え、ええええええ!? こないなの得意やあらへんて……」
「克服するためにも(わたくしがリーアと二人きりになるためにも)行ってくるでございますよ!」
 壱与はお菓子を沢山持たせて、エリスを勝手口から外へと追い出した。
「ふええええええええっ」
 すぐに、子供達に囲まれて慌てふためく彼女の声が聞こえてきた。
「ひゃあああああ、悪さは、やめておくれやすぅぅぅぅ〜っ」
「……さて、そろそろスポンジケーキが冷えたころだから、デコレーションしましょ♪」
「わたくしもお手伝い致します。配るのも手伝うでございますよー!」」
 エリスの声をBGMに、仲良しな2人は楽しくお話しをしながら、悪戯なお菓子を作っていく。