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A Mad Tea Party

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A Mad Tea Party
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リアクション

「それなら僕じゃなく女王陛下に聞くべきだ。
 この世界の全ては僕じゃなくて、彼女のものなんだから――」
 ハインリヒが言ったのはそんな言葉で、示されたのは赤いレンガの路だった。
 ただどんどん奥へ進むに連れて、ピンク色だった空はどんより暗い色に代わり、花の声も、お菓子の匂いも消えてしまう。
「本当に此処であっているのかしら」
 さゆみが不安げに呟くと、彼女の目の前に何の前触れも無く逆さまの顔が現れた。
「合ってるよ」
「きゃあああああああ!!」
 突拍子もない展開にもの凄い悲鳴を上げて腰を抜かしてしまった彼女を、アデリーヌが助け起こす。
「大丈夫ですわさゆみ、今のはただの喋る猫――」
 言ってしまって自分の言葉に驚いて、アデリーヌはそちらをもう一度振り返った。
 木の枝からくるりと降りた黒くて大きな猫が、アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)によく似た猫が……
「お、襲われてますわ!!」

 それは予想外の展開だった。
「きゃああ猫さん! 黒猫さん! アレクが黒猫さん!!」
 殆ど馬乗りになった猫大好きジゼルに羽交締めにされてすりすりされ混乱する猫の手を取って、ノーンは
「肉球ある? 触っても良い?」ともふもふした手袋を外そうとする。
 その間も歌菜は興奮した様子でしきりにシャッターをきりまくって
「これは、写真を、撮らずには、いられないッ!」と興奮気味だ。
「アレックスにゃんこさん
 お似合いですしジゼルさん大喜びなのですー!」
 フレンディスは親友が喜んでいるので、自分も嬉しいと笑顔満開だ。
 アレクと言えば無表情が張り付いた感情の起伏が薄く感じられる男なのだが、女性陣の勢いにのまれて流石に焦った様子を見せている。
「さゆみ、アデリーヌ……助け…………」
 助けを求められても、さゆみとアデリーヌにあの勢いを止めるなど出来よう筈も無い。
「落ち着いたら路を教えて下さいませ」
 アデリーヌは優雅に微笑んで、さゆみと二人木の根にへ腰掛けるのだった。