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激熱…夏の陣!東西ロケット花火戦争

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激熱…夏の陣!東西ロケット花火戦争

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第7章 我らの華々しく散る生き様

 裏切り者がでないか基地周辺で、マーゼン・クロッシュナー(まーぜん・くろっしゅなー)が監視の目を光らせている。
「ここも以上はなさそうですな・・・」
 もう一度周辺を注意深く見回し、その場から離れていく。
「(警戒体勢が厳しいようでござるな)」
 隠れ身の術で椿 薫(つばき・かおる)は身を隠しながら、相手が離れていくのを見計らってトラップを仕掛ける場所を探す。
「一箇所に仕掛けるのではなく、数箇所に設置したほうがいいでござろうな」
 西軍が通りそうな位置にトラップをセットしていく。
「これくらいでいいでござろうか。そろそろ戻って仕掛けた位置を東軍の方たちに知らせないと・・・」
 見つからないように、引き上げていった。



「どっちも手抜かないよなー・・・」
 タバスコを染み込ませた新聞紙剣を片手に、望遠鏡を覗き込みながら鈴木 周(すずき・しゅう)が呟く。
 砲撃を防御する度に傷を負う周に、レミ・フラットパイン(れみ・ふらっとぱいん)がヒールをかけているが、だいぶ服がボロボロになってしまっている。
「―・・・ん?何だかもの凄いスピードで誰かがこっちに・・・!?」
 周の視界の先には、全速力でこちら側へ向かう西軍の乃羽の姿があった。
「いっくよー、やぁああー!」
 乃羽は仕込み竹箒を砲台に向かって振りかざす。
「そう簡単に破壊させてたまるかっ」
 周は乃羽へ新聞紙剣を振り回した。
「きゃぁっ」
 とっさに両腕で顔を隠すが、タバスコがかかってしまった。
「あれっ女の子!?」
 乃羽の悲鳴を聞き、周は攻撃の手を止める。
「お嬢さんには争いなんか似合わないぜ。さぁ俺と一緒に愛を語り合おう!」
「―・・・・・・。(えーっと・・・こういう場合は・・・)」
 熊と出合ったら倒れたフリをする要領で、乃羽はふっと気を失ったフリをして地面に倒れ込む。
「えぇええっ!?お嬢さんどうしたんだ!あっ・・・そうか、俺のステキオーラのせいなんだな。なんて罪なんだー・・・」
 周は都合のよすぎるポジティブな方向として空想した。
「負傷者を発見したであります!」
「急いで運ばなきゃ」
 真紀とサイモンの2人が乃羽をタンカーの上に乗せてやる。
「ちょっと待てよ!そのお嬢さんと俺は今から愛を語り合うんだぜ」
「さようでありますか」
「はいはい、どいてね。運ぶよー」
 2人に軽く往なされ、周はポツンと取り残された。
「やるからにはあたし勝ちたいんだよね」
 事の一部始終を見ていたレミが、周に向かって言う。
「そっ・・・そうだよな」
 レミの気配に気づき、周は一瞬ビクッと身を震わせた。
「周くん真面目にやってるよね?」
「あぁ・・・もちろんだぜ」
「そうなの・・・へぇー・・・ナンパすることが真面目なのかな」
 怒りのオーラを纏ったレミは、笑顔の表情のまま周の方へ一歩詰め寄る。
「あたりまえじゃないか、あは・・・あっははは。―・・・なっ何するんだ!」
 無言で放つレミの花火を周は間髪避けた。
「次・・・不真面目なことしたら・・・どうなるかわかったよね?」
 レミの言葉の圧力に対して、周は頬に冷や汗を浮かべて頷く。



「いいな・・・カッコイイよなー・・・」
 西軍の基地でコウジは超兵器リヤカチューシャを、自軍の勝利のためにイリーナたちが東軍側へ運んでいる様子を見つめる。
「さぁっ、我が軍の勝機のために!」
 野武が先頭をきって軍用バイクを走らせる。
「結構な重量あるな・・・」
「イリーナもうひと頑張りであります!」
 1台のリヤカチューシャをイリーナとトゥルペが一緒に運ぶ。
「後600mくらいで到達できそうですぅ」
 リヤカチューシャを引きながら、伽羅は望遠鏡から距離を測定した。
「行くでござるよー!」
 うんちょう タン(うんちょう・たん)が後ろから押し、加速をつける。
 2台引いている金烏は、やや後方で息をきらせていた。
「慎重に進むとなるとそれなりに時間がかかるでありますな・・・とっ・・・あぁああ!?」
 金烏が地面に転がった石につまずいたのと同時に、椿が仕掛けた時限式の花火が地中から発射する。
 間髪避けるが他のトラップも発動していく。
「急いで走り抜けるんだ!」
 イリーナたちはリヤカチューシャを力いっぱい引きながら、必死に戦場を駆けていった。



「はぁっ・・・はぁ・・・ここまで来ればもうトラップはないだろうな・・・」
 全速力で走った影響で、イリーナたちは全身から汗が溢れ出した。
「よし、敵地に着いたぞ」
「どうやら直接乗り込んできたみたいね」
 御影 春華(みかげ・はるか)は望遠鏡を覗き、その先には野武たちの姿があった。
「拙者は他にも仕掛けたトラップがあるゆえ、皆に知らせなければ。ここは春華殿に任せたでござる」
「分かったわ任せて」
 ランスを片手に春華は薙刀を片手に、野武たちに接近する。
「今こそ我輩の作った兵器の力を見せてやろう!」
 野武はバイクから降りて、手にしているスイッチを押す。
 リヤカチューシャに付属している鉄の筒から、着火されたロケット花火が数本飛び出す。
 爆煙に紛れてイリーナは素早く東軍基地へ潜入した。
 野武たち残った4人でリヤカチューシャで、東軍側へ砲撃を始めた。
 花火は地面に突き刺さり、火の手が上がった。
「これ以上、連中に好き勝手させられないわ」
 岩の上から飛び降り、春華は薙刀で花火をバラバラに斬り刻む。
「またつまらない物を斬ってしまったようね・・・」
 カラランと音を立てて、花火に付属していた鉄棒が地面に転がり落ちる。