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第5章 お屋敷をクリーンにお掃除

「かなり散らかってしまいましたね。お掃除・お掃除・らんらんら〜ん♪」
 シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)は割れた花瓶を箒で片付けていく。
「お掃除・お掃除・きゅっきゅっきゅ♪」
 歌いながらモップで床を丁寧に拭いた。
「ゴミ袋がいっぱいありますね、後で出しにいかないと・・・」
「大変そうだな手伝おうか?」
「それじゃあ私も・・・みんなで片付けるとするか」
 夜薙 綾香(やなぎ・あやか)とイリーナが掃除の手伝いをしにきた。
「この際だからてっていてきに掃除していこう」
 階段の手摺やドアノブを雑巾を使い、綾香は汚れを見逃さないように拭き取る。
「水もう替えたほうがいいですね」
「こっちは私が持っていこう」
 汚れた水を替えようと、シーリルとイリーナは一緒に流し台の方へ向かった。
「ちょっと時期早いですけど大掃除な気分ですよね」
「たしかにな・・・」
「よいしょっ・・・と・・・・・・」
「持とうか?」
 重そうに水の入ったバケツの取っ手を掴むシーリルに、持ってあげようとする。
「これくらい大丈夫ですよ」
「そうか・・・」
「あれ、2つも持って大丈夫?」
 水を替えにきた綾香が声をかけてきた。
「これくらい・・・あっ!」
「そっち後で持って行ってあげるよ」
「それじゃあ・・・お願いしますね」
 シーリルは綾香にニコッと微笑みかける。
「ゴミ出し行ってきまーす。ほらフィーニも!」
 瑠菜とフィーニは台車にゴミ袋を乗せ、外へ出しに行った。
「あれ?ルーメイなんでぐったりしてるの?」
 床の上にへたり込んでいるフェリックスに卓也が声をかけるが、疲れすぎてへばっている彼から返事は返ってこない。
「(あぁオメガ嬢の労りが欲しい・・・キスの一つでもねだりたいくらいだ)」
 心の中で呟きグッタリしている。
「(―・・・あっ!ハロウィンの夢・・・どうせならそれを願えばよかった・・・・・・)」
 疲れたり悔やんだりしているフェリックスの百面相に、卓也は不思議そうに首を傾げた。



 生徒たちが苦労して捕まえたミニミニのケースの前に変熊がひっそり現れ、誰も室内にいないことを確認すると中へと入っていった。
 ミニミニたちは洪水や雷を起こした影響で、徐々に元のサイズに近づいていた。
「なぁ、お願いでござるよぅ。逃がしてやる代わりにその立派な目の中に1回だけ!1回だけでいいから入れさせておくれよぅ!!」
 鼻息を荒くしケースに手をかける。
「はぁああ?ざけんなイヤだね、寝言は寝て言え!!」
「きぃーっ!純粋なアタシの心をもてあそんだのねっ!」
 まだ凶暴化しているミニミニにあっさり断られた変熊はマントの端を咬み涙に濡れ、悔しげな顔をし地団駄を踏む。
「・・・お、おのれミニミニ!こうなれば力ずくで挿入してやる!!」
「―・・・!変熊・・・やめろー!!」
 怪しげな行動をしようとしている変熊のマントを掴み、部屋を掃除しようと偶然ドアを開けたイリーナが気づき、彼を力づくで阻止する。
「やだっぃやだぁ離せぇええっ」
「せっかく片付いたのに、大惨事を起こす気か!」
 ズルズルと引きずり変熊を部屋の外へ出した。
「それじゃあ拙者と風神の術をもう一度・・・」
「なっ・・・ケースから出すな!」
 ケースの蓋を外そうとしているナーシュをぽんっと部屋から出す。
「こいつと一緒にいると・・・苦労するぜ」
 ミーミにぼそりとケロ右衛門が呟く。