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バトルフェスティバル・ウィンターパーティ編

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バトルフェスティバル・ウィンターパーティ編

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激闘! 格闘羽子板大会1

 ついに、この競技が行われるのか……ヴィスタは深々と溜め息を吐く。和装を愛する校長のため、和装を引き立てる競技にしようと直が言い出したまでは良かったのだが、日本の物だからと任せたのがいけなかったのか末恐ろしい競技に仕上がった。
 自分の知識では、羽根突きとは羽子板を用いたバトミントンのような競技。羽根を落としてしまった方が負けで、顔に墨を塗られたりする……という物だったはず。羽子板は競技用から飾り用まで様々な物があるので、大きさやデザインは一定の範囲で参加者に決められるようにした。それはいい。
「これは羽根……だよな?」
 本来、羽子板と違って羽根は一定の大きさのはず。それがどうだ、目の前には木製の小球に飾り羽がついたものも確かにあるが、別の競技に使うんじゃないかと思う5cmくらいのもの、棘の付いた物と大小様々な球体と思しき物にまで飾り羽根がついている。
(そういや、墨の瓶がみあたらねぇな)
 墨には厄除けや殺菌効果があると考えられていたほどだし、自分でさえ知っているそれを用意していないのはおかしいと感じて、ヴィスタは道具を置いてある場所を探し始める。
「どうしたの、なにかトラブルでもあった?」
「いや、墨の瓶がみあたらねぇなと思って」
「ああ……必要ないよ。これは普通の羽根突き大会じゃない、そういう意味を込めてワザと羽子板大会としたんだから」
 用意していた羽根を手に、大きめのテニスコートへ向かう。コートの外周も細かい目のフェンスで覆われており、ギャラリーは出来るだけ安全な場所で見るようにアナウンスがかかる。これだけ離れていて、フェンスまで挟んでいるのだから羽根は飛んでこないだろうに、どうしてここまで注意を促すのか。参加者の応援に駆けつけている者には理解が出来なかった。
 パートナーたちと参加するルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、第一試合は不戦勝となってしまったもののダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)夏侯 淵(かこう・えん)がばらけて対戦出来ることを嬉しく思っていた。今回は参加せず応援役なカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)も、競技用に和装へ身を包んだ3人を物珍しげに眺める。
「わざわざめかし込んで闘うのか、動きにくそうだな」
「いや、着慣れないものだがそうでもない」
 な、と淵に目線をやり難なくウォーミングアップをする様子を少し悔しげに見るのは対戦相手であるサトゥルヌス・ルーンティア(さとぅぬるす・るーんてぃあ)、そして羨望の眼差しを送るのはダリルたちと同じ学校の橘 カオル(たちばな・かおる)だ。和服は全て、試合用に貸し出している物。デザインは限りなく希望の物を用意しているのだが、どうやら素材が普通の和服と異なるようだった。それを1番体感しているのは、大会参加者ではないレミ・フラットパイン(れみ・ふらっとぱいん)
「う、動けないよぉー……」
 同じ競技に出る樹月 刀真(きづき・とうま)鈴木 周(すずき・しゅう)が何かを賭けて対戦しようかと話が盛り上がっている頃、レミと漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)も広い会場で友達に会えたことを喜んでいた。けれども、レミが和服を着ていないことから玉藻 前(たまもの・まえ)に着付けをお願いしたのだが、どうやら羽根突きの会場で貸し出している物はとてつもなく重かったらしい。彼女が途中で重い苦しいと言うのは着物に着慣れていないせいかとも思ったが、貸し出しているのは競技参加者への特注品ばかり。普通に着こなせる物ではなかったのだ。
「レミー、ごめーん! 玉ちゃん、助けてあげて」
「玉ちゃんと呼ぶなと……まぁ良い、事前に確認しなかった我も罪であろう」
 着付けをするために触っていたのだから、着物の異変にはいち早く気がついていた。なのに、心のどこかで着付けを面倒だと思っていたからか誰にも相談せず黙々と着付けを続けてしまったのが悪かったと反省し、手早く帯を解く。ゴトリ、と鈍い音を立てて更衣室の床に落ちた振り袖に冷や汗が伝いつつ、やっと解放されたレミは安堵の息を吐く。
「こんなの着て闘うなんて、周くん大丈夫かなぁ……ほ、ほら! 汚したりしたら大変じゃない?」
 隣の部屋で着替えているはずのパートナーのことを思い出し、ほんの少しだけ心配になる。いつもなら、こういうパーティは絶好のナンパ日和だと言って連れて行ってはくれない。必死に撒こうと逃げ回るのに、今回は誘ってくれたのだ。
(だから、少しだけなら心配してあげてもいいかなというか……午後からになるなら、お弁当作ってあげれば良かったかなぁ)
 そんな差し入れなどされれば全速力で逃げ出すだろうが、やはり普段と違って誠実な態度はレミにとって好感触だったようだ。
 さて、そんな騒動が更衣室で行われている中、試合は進んで行く。第一コートでのダリル対サトゥルヌスの試合は、女性がするものとして認識されていた羽根突きの雰囲気を変えるに相応しい袴姿と赤色の着流しで激しく打ち合っている。
 サトゥルヌスがシンプルな30cmの羽子板で打ち返すのは、3cmほどの羽根としては大きめの物。探り合いをすることもなく初めから全力で闘う2人に観客も盛り上がる。リズムを崩すように緩急をつけ始めたサトゥルヌスの攻撃は、打ち返しにくそうな場所を狙っているにも関わらず全て返されてしまう。
(このままじゃ、試合は長引くだけ……決定的な一撃を決めないと!)
 ダリルの方が体力には自信があるのか、重たい袴姿でも難なく動ける上に用意した羽子板もテニスラケットの長さにしてあるので振り回しやすく拾いやすい。体格差も相まって、サトゥルヌスには一見不利な状況だ。
「でも、これなら……っ!」
 ぐっと渾身の力を込めて羽子板を握る姿にダリルも構える。が、気迫とは違って打ち出されたのは緩い羽根で思わずタイミングがずれてしまった。
「しかし、今からでも行ける!」
 打ち返せる方向は狙えなくとも、相手まで打ち返すことは出来るはず。ゴムをつけた足袋底のおかげで滑ること無く駆け出せる。
「甘いッ!」
 ――バンッ!!
 緩い羽根からは想像も出来ない衝撃に、思わず羽子板を落とす。何が起こったのかと驚きの眼差しでコートで煙を上げている羽子板を見れば、薄い鉄板の天地を木板でサンド構造とし、衝撃耐久性を増していたはずのダリルの羽子板に凹みが生じている。しかし、そんな技を仕込んだ記憶のないサトゥルヌスも呆然としている。
「羽根の耐久力は、大きさによって違う。3本先取にしたのも、5種類の中身に翻弄されることなく戦い続けられるかが決め手になるんだ」
 羽根が限界を超えれば爆発する。そうすれば様々な中身が飛び出すという仕組みだ。今回は中くらいの大きさの火薬だっただけに衝撃波も小さく済んだが、大きな物になってはそれ相応の威力を発揮するだろう。
 もちろん体力や優れた羽子板を作った方が有利なのは変わらない。けれど、強い精神力と運を味方につけた者が最終的に勝利を手に入れることが出来る。何やら怪しげな告知をしていたのはこのためだったのかと、ダリルは少し痺れる手首を回して羽子板を拾い上げる。
「なるほど、一瞬の油断も出来ないわけか。これは、ルカと闘うのが楽しみだ」
「……それは、僕に勝ったらだよ」
 不利な自分でも1本取ることが出来た。それが自信に繋がったのか、サトゥルヌスは真っ直ぐとダリルを見据える。
「もちろんだ。正々堂々、最後まで戦い抜こう」
 こうして、再び打ち合う2人だが、隣の第二コートでは悲鳴が上がっている。淵とカオルは学舎を同じとする者同士だが、シャンバラ教導団は個人戦に出る者が多く、他の学舎では白黒つけたかったのか相手を指名する者もいて、こうして対戦することとなった。
 寝正月で終わるわけにはと、真っ向から勝負を受けるつもりだったカオルだが、衣装にはカジュアルで動きやすそうな武者袴を選び一見は淵と似たような姿。だが、寒さに弱かったのか中の着物はそれなりに冬用の物を選んでしまい、ただでさえ重い着物が足を地面に縫い付けるようにのしかかる。羽子板が50cmくらい長さとは言え、よたよたと歩くのが精一杯で上手く返すことが出来ないようだ。
「おまえは俺を馬鹿にしているのか……?」
 同じ学舎の生徒として、そしてルカルカの知り合いとして期待していただけに、目の前に広がる結果は手加減でもされているのかと思ったのだろう。コートには墨が飛び散り、先ほどは触れるだけでもヒリヒリする唐辛子エキスを手に被った。そのおかげで、木材に描かれた浅葱色の髪を2つに結わえた電脳世界のアイドルらしき絵は返り血を浴びたようになってしまっている。
「いやー、さすがルカルカのパートナー。鍛え方が違うな」
 それまでは左右にふらふらと歩いていたカオルがぴたりと足を止める。そこは淵の陣と仕切るコートの線から数歩離れた位置で、竹刀を持つように羽子板を構えはじめた。
「ほぉ、正面から受けるか。……さぁ、かかって来られよ!」
 両サイドに落とせば、ここで淵の勝利は決まる。しかし、瞳に宿る力強さに興味を感じたのか、淵は真っ正面に羽根を打ち付けた。
「はぁっ!!」
 ――ガンッ!
 素早く足を滑り出し、大きな1歩と共に大きな棘の付いた羽根を打ち落とす。ライン近くで構えていたため淵が拾うには間に合わず、辺りには甘ったるいバニラエッセンスの香りが充満する。
(そういや、今日はパンケーキを焼いてる競技もあるんだっけ。食べに行きたいなぁ……)
 その香りに誘惑され、折角サーブ権を得たのに和やかな顔つきでゆったりと羽根を付く。
「隙ありっ!」
 ――ビュンッバシャッ!!
 しかし淵はそんな甘い香りを気にすることなく、動き辛そうなカオルでも打ち返せるようまっすぐ羽根を返す。それは、試合中だと言うのに競技が終わった後のことを脳天気に考えているカオルの額へと当たり、勢いよく顔面に冷たい水を撒き散らした。
「冷た……っ! なんだこれ、あれ、そういや羽根突きは……」
「愚か者! それでも学舎を同じとする者か!」
 濡れた髪に張り付いている羽根に気付き、自分が気を抜いている間に勝負が付いてしまったことを不甲斐なく思うも、同じ学舎にはこんなにも素晴らしい戦友がいるのだと思うと少しわくわくしてくる。
「今日は負けちゃったけど、また勝負しようぜ淵!」
「ふん、教導団として恥ずかしくない戦い方を教えてやる」
 差し出された右手をしっかりと握り、今度はベストの状態で闘ってみたいなとカオルは思うのだった。
 第一コートより先に終わったこの第二コートをスタッフが掃除し始める。次に闘う選手が控えているが、大岡 永谷(おおおか・とと)が勝利よりも風流を重要視し、巫女服姿で屏風へ描かれるような凛々しい虎を描いた羽子板を手にして佇んでいるのに対し、ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)は最後の仕上げとばかりに黒崎 天音(くろさき・あまね)に化粧を施されている。
「ブルーズ、これが正しい羽根つき用の戦士の装束。それと意気高揚の為に戦士は化粧をする習慣もあってね……ドラゴニュートにはそういうの無いかな?」
「ふむ……そうなのか、それにしても随分胸周りは窮屈だし腕は動かし辛いな。このような袖はあまり実用的とは思えないが、鳥が翼を広げて大きさを誇示するようなものなのか?」
 ブルーズが疑問に思うのも無理は無い。第一試合の面々は袴姿がほとんどなのに、自分が着せられているのは振り袖。誰よりも着物の枚数が多くて体力に自信のあるブルーズもさすがに動き辛く、その上腕は振る度に負荷がかかる。地球人の天音に正しい戦士の装束だと言われたら詳しくない自分は納得して着るしかないのだが、自分の黒い肌に白粉を叩かれていくのは良い香りでも落ち着かない。
「ああ喋らないで、口紅がはみ出す。ここももう少し粉を……」
「……ぶっ」
(人間とは、実に面倒な生き物だな。しかし、天音の知識が凄いのは知っていたが、他に習慣を知っている者はいないのか?)
 顎の裏まで念入りに白粉も叩き化粧が完成したところ、コートの準備も終わったようだ。正面に向かい合い初めてブルーズの全身を確認した永谷は、少し眉間へと皺を寄せる。
「その格好……この競技を馬鹿にしているのか?」
 実家が神社である永谷は、誰よりもこの競技を愛し用意されていた和装に相応しい戦いをしようと決めていた。なのにどうだ、目の前にはガタイの良い雄のドラゴニュートが振り袖を着て化粧をし、あまつさえ帯には煌びやかなジェイダス校長の押し絵羽子板を挟んでいる。いくら戦闘用には薔薇の学舎校章が描かれたシンプルな羽子板を用意しているとは言え、ふざけているとしか思えなかったのだろう。
「これが正しい戦士の装束と聞いたのだが……何か、別の流派でもあったのだろうか?」
「流派なんて問題じゃない! ……その格好で俺の前に立ったこと、後悔させてやる」
 サーブは永谷から。緊張した空気が流れる中、天音はビデオカメラを片手に口の端を上げる。
(よりにもよって、真面目そうなのに当たったね……ま、嘘は言ってないよ。本来女性がする競技だと教えていないだけで)
 素直に騙されてくれたブルーズが真実に気がつくのはまだ先のことだろう。その勇姿を収めるべくまわされたビデオカメラは、他の生徒たちの勇姿や観客の声援までも捕らえていく。体育祭での子供の活躍を収めるのとはまた違う目的があるらしい撮影の意図は誰にも話すこと無く天音は静かにカメラをまわし続けるのだった。
 第一コートでの試合が終わり、ダリルとサトゥルヌスはカルキノスに回復術を施されている。勝負には負けてしまったものの、試合終了後にスタッフから手渡された甘酒を切っ掛けに作り方の話になり、互いに料理が得意なことに気付いて意気投合したようだ。
 その様子を見てテディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)は地団駄を踏む。
「アイツ、薔薇学が負けたってのに敵と仲良くしてるぞ! 僕がまとめてやっつける!!」
「無理だよぉ、こんなの来て普通に動きまわる人なんか倒せっこないもん」
 皆川 陽(みなかわ・よう)が泣きすがるようにテディを止めるが、聞いて貰えそうにない。普段は目立たぬよう過ごしている一般学生でも校長のお怒りは感じていたが、勝負好きなテディに引きずられる形で参加することになってしまった。とは言え、自分が勝てるなどさらさら思っていないのでセコンド的な位置で墨でも擦っていればいいやと思っていたのに、一応は参加者だからと用意された紋付袴を着る羽目になり身動きはままならず、テディは派手でキレイだからと振り袖を着てしまい、試合が始まる前から涙が込み上げそうだ。
 ギャーギャーと騒がしい2人の前に、留袖に襷掛けをした九条院 京(くじょういん・みやこ)が得意げな笑みを浮かべて近づいてくる。
「京の対戦相手はどっち? 手加減なんてしてやらないんだから!」
「なにおっ!? オマエなんか、僕が超ウルトラスーパーやっつけるし!」
「京の勝ちはトーゼンなのだわ!」
 1歩も譲らず睨み合う2人を陽と文月 唯(ふみづき・ゆい)が宥めるように引き離す。
「ほ、ほら! 勝負は羽根突きでやればいいでしょ? テディも襷掛けしてあげるから……」
「そうそう。何だか元気な子が相手みたいだけど、続きはコートでね。でも、これってダブルスとか無さそうだな」
 きっちりと作務衣を着た唯は、少し心配そうに京を見る。自分が未経験ということで1人で参加することが不安だったが、試合前から乱闘騒ぎを起こしそうな2人を見ていると、彼女たちの試合も心配だ。そう思って口にしたのだが、テディは面白いとその案に乗ってきた。
「2人で闘うのか? いいぞ、僕にはヨメがいるんだ。これで数は丁度だな!」
「よ、ヨメなんかじゃないんです、普通に平凡でありきたりなパートナーなんです! この人変な冗談をずっと言い続けてて困って――」
「京も文句ないのだわ! ぜーったい勝ってやるんだから!」
 陽の懸命な訂正はスルーされ、火花を散らすテディと京。パートナーたちは溜め息を吐きながら、2人をコートへ連れて行くのだった。
 第二コートでは、互いに1ポイントずつ取りまずまずの滑り出しを見せている永谷とブルーズ。重たい着物を着用するため、1ポイント取るごとに脱ぎすぎない程度に着崩して構わないというルールなので、ブルーズは白いショールを外した。幾分か体が軽くなり、そよそよとくすぐっていた物がなくなったとは言え、巫女服を着慣れており体力に自信のある永谷の動きにはついて行くのもやっとだ。
 ――カンッ!!
 小さめの羽根は、高い音を響かせてラリーが続く。出来れば慎重に打ち返し相手のミスを誘い出したい所だが、先の戦いでそれは自滅する可能性もあるのだと言うことを見ている。風流な競技を台無しにされたと思っている永谷は、怒りを剥き出しにせず1つ1つを綺麗に切り返していくが、その鋭さにブルーズが疲れの色を見せる。
(あと一息だっ!)
 ブルーズから返ってくる羽根のスピードが落ちた。その隙を見逃さず、先ほどまではふわりと舞って蝶のように艶やかに打ち返していた永谷が、一瞬にして蜂のように打ち返す。
「しま……っ!!」
 ――バキィイッ!
 ふぅ、と一息つく間もないほどの速球にブルーズがせめて落とさないようにと羽子板を構える。が、板の耐久力の限界だったのか真っ二つに裂けて間に羽根が挟まってしまった。
「勝負あったな。姿の割に、中々の戦いぶりだった」
 スタスタとコートの外へ出る永谷と違い、呆然とするしかないブルーズ。天音と2人で出来るだけ丈夫な木材を選んだというのに、まさかこんなことになるとは思っていなかったのだろう。試合用がこの様では、帯に挟んでいる物はスペアとして役に立つわけもないだろうと3本先取の試合を途中棄権することにし、2人で会場を見て回ることにしたようだ。
 しかし、天音が一方的に面白が……いや、折角着たのだからと言いくるめて振り袖姿にばっちりメイクで歩き回る羽目になったブルーズ。行く先々での不思議な視線を浴びるものの、重さに疲れている彼はやはり自分の格好がおかしいことには気づけないのであった。