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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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17. 一日目 エーテル館 廊下 午前十時三分

V:やっぱり、お婆ちゃんはすごいわね。人生経験を生かしたミス・マープル戦法。せつ子さんの部屋を離れて、あたしとくるとくんは、阿久先生のところへむかいます。ナガンさんは、まだ、こないけど心配ないわね。

 あまねとくるとが、迷路のように入り組んだエーテル館を、途中で会う使用人や女中たちに道を聞きながら、阿久の部屋に行こうと歩いていると、あでやかな朱色の着物で、前髪ぱっつんロングの巫雪丞伊月を先頭にした調査団とでくわした。
 伊月。ノゥン・ネィーム。ラシェル・グリーズ。クレア・シュミット。赤羽美央。ジョセフ・テイラー。の六人だ。
「あらあら〜あまねちゃん、どこへ行くの。楽しいところへ行くなら、私も連れてってくれないかしらぁ」
「ノンちゃんは〜、人気者だから、もう仲良しの使用人ちゃんが何人もできたんだよ。この館は、生きてるみたいに刻々と形が変化してくの、あまねちゃん、くるとちゃん、知ってたー」
 伊月のパートナーの地祇、ノゥン・ネィームは、銀の瞳のかわいらしい少女の外見をしている。
「この館は、生きてるの?」
「生きてるわけではないらしいけど、不規則に毎分、ちょっとずつ変わってゆくから、使用人ちゃんたちは、お互いに毎日、情報交換して、地図を書くんだよ!」
「消えたり出たりする部屋や廊下があるらしいのよねぇ。こんなとこでよく暮らすと思わなあい」

V:えつ子さんは、それを知っていて館の変化に合わせて部屋を移動してるのね。館の探索をお願いしてる刃さん、月桃さん、銀さん、大丈夫かしら。

「ラシェルちゃんが図つきでメモしてくれてるから、私たちは、ここから無事にでられると思うけどねぇ」
「お嬢がおっしゃられるように、ちび様の情報とこうして実際に歩いたデーターを元に、私はこの館の地図を制作しておりますが、いまはまだ完成のメドはついておりません。あまね殿は、私の地図がご入用ですか」
 伊月のもう一人のパートナー、長身のメガネ美女、ラシェル・グリーズは、無表情のまま、自分のメモ帳をあまねにみせた。
 なにやらわらぬ図形がいくつも書き込まれている。
「ぅんふふふ〜。ラシェルちゃんのメモは、書いた本人以外には判読不能なのぉ」
 あまねが首をひねっている横で、自分の書いたメモが愛おしいのか、ラシェルは恍惚の表情でメモを見つめている。
「あたしたち、阿久先生の部屋へ行くつもりなんです」
「なんだぁ。私らと同じなのねぇ。ついてらっしゃいよ。一緒に行きましょう〜」