リアクション
帰途
セイカは、黒羊郷から三日月湖までの帰途には、目を覚ました。
「あっ。あ、また久多さん。またちょっとぼやけて……ううん、はっきり見えます。……それに、ニケさん。久しぶりです。何だか、時間の感覚が??」
「よ、よろしくね。これから……」
「俺もいることだ。安心するんだな」
「え、ええ。はい……どうなっているんでしょうね。
ニケさんがいたときの私は二十四歳くらいのとき? でも久多さんもいるし……私は、やっぱり二十八歳か……今は、いつでしょう。
私は……十六歳です。えへ」
「いや、セイカは南部戦記の間に(蒼フロ的に年齢が加算されて)二十九歳になってるよ……」
垂が言う。
ここは馬車の室内のようだ。他に一緒に乗っている者は、いない。
「え゛。え゛え゛−−−」
「……はは」無事なよう、かな? 垂は少しほっとする。戻りの旅でもう一週間ほど(ハルモニアに寄ったため)が経っているが、眠りっぱなしだった。あの祭壇の間の契約で、精神は落ち着いたようであったが。その後、ずっと……起きないのかと思った。だけど、新しくパートナーになったハルモニア・ニケが、大丈夫です。それは、わかる。ひとまずは安心して……と言った。
「私は二十九で……それはまぁいいとして……
ここは馬車のなかで、でもニケさんがいるから、ハルモニアに向かっていて……?」
「ハルモニアには、一度、寄ったのよ(故郷の皆に挨拶しに……)。その間もずっとキリンちゃんは眠ってて。
私……もうハルモニアには戻らないのよ? 一緒に行くことになったから……キリンちゃん」
「え、ええ。ああ。……わかります、何だか……うん。ありがとう。ニケさん」
「うん。……」
「垂も、ありがとう。久多さんも、ね?」
しばらく、無言だった。
「それから……私はずっと夢のなかを彷徨っていて。……
でも、それももう、終わったような。始まりのような。……」
「セイカ」自分の進む道は見つかったか? ……なら後悔の無いように突き進もうぜ……一緒にな! 垂はセイカに、微笑んだ。