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2020年夏祭り…妖怪に変装して祭りに紛れ混んじゃおう!

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第8章 続・小さな少女座敷わらしと遊ぼう

「リヴァイアさ〜ん♪体はだいじょうぶ?」
 和のゴスロリ風な衣装を着て猫又の変装をし、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は人の姿になっているレヴィアを見るなり走り出して、抱きしめて左右の髪につけた鈴飾りをリンリン鳴らしすりすりする。
「完全に回復したわけではないが、動けなくはない・・・」
「そうなの?でもちゃんと治ってきてるみたいでよかった♪今から座敷わらしちゃんのところに行くけど一緒にどう?」
「あぁ、あまり長居は出来ないかもしれないが」
「本当!?じゃあ行こう♪」
 白児の格好した彼の袖を掴み、座敷わらしを探す。
「(それにしても着ている服が普通の服と同じ素材なのか気になるにゃ。地下で助けて人の姿になった時、すでに服を着た状態だったにゃん。謎にゃぁ)」
 レヴィアの服の素材がなんなのか気になったルカルカがじーっと見つめる。
「座敷わらしちゃんどこかな・・・。あっ、見つけた!座敷わらしちゃーん、こっちこっち!私たちと一緒に遊ぼうっ」
 頭に鈴の飾りをつけ浴衣を着て、口に桜色のルージュを引いて鈴彦姫の姿に変装した、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が座敷わらしに声をかける。
「はい、ペロキャンあげるね」
「わーいありがとう」
 エースからもらった飴を座敷わらしは嬉しそうになめる。
「オイラのことはわらしんて呼んでね」
 クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)が自分の名前の呼び方を座敷わらしに伝える。
「ちょっとだけ座敷わらしちゃん借りてもいいかな?」
「いいですよー」
「ありがとうっ」
 クマラは嬉しそうに座敷わらしと手をつなぎ、別の射的の出店へ走る。
「あわわっ、何か喧嘩しているよ!?」
「うん。いつも喧嘩してるよ」
 驚くクマラの傍で座敷わらしはいつものことだよと言う。
「えっとあのー、射的やりたいんだけどー!」
 エースが大声で舞首に呼びかける。
「ほら早く接客しろよ」
「てめぇがしろや悪五郎!」
「どっちもうぜぇんだよっ」
 舞首の射的屋へやってくるなり、彼らは凄まじい勢いで喧嘩している。
「射的やりたいにゃーっ!」
「うるせぇメス猫又。そこに銃があっから線の外側から、俺たちの頭についてる点数板へ勝手に当てろ!」
 乱暴な物言いにプチッと切れたルカルカが銃を握る。
「じゃあ勝手にやるにゃ♪」
 顔は笑顔だが明らかに怒りが爆発している。
「狙い撃ちにゃんにゃっ」
 ハンドガンタイプの銃で得点板を狙う。
「5点取ったにゃ!まだまだ撃つにゃっ」
「右の猫又、ずいぶんと荒々しい射的だにゃ」
 ルカ・アコーディング(るか・あこーでぃんぐ)はその光景を後ろから見る。
「動く的って狙いづらいにゃ」
「ほらほらどうしたメス猫又、当ててみろ。まだたった5点だぜ!ど下手なお嬢ちゃんは、猫砂でトイレして寝ろ!」
 ルカルカの集中力をなくしてやろうと、わざと挑発する。
「にゃきいぃいいーー!!酷すぎるにゃぁあっ」
「あら猫又さんが怒ったわね」
「うん、怒っちゃったね」
 エースとクマラが冷静な口調で言う。
「ふにゃぁああっ!!」
 サイコキネシスで尻尾を持ち上げて怒り、銃口をスナイプでターゲットへロックしたように合わせてペイント弾を放つ。
「ぶへっ何しやがる!」
 舞首の顔面に当たってもおかまいなしに撃ちまくる。
「あの猫又は怒るとああなるのか?」
「うーん。いつもってわけじゃないけど、たまになることもあるかもにゃ?」
 ルカルカの尋常じゃないキレ方に、レヴィアがアコーディングに聞く。
「ふむ。そうなのか」
「女の子に限らず怒れば皆、そうなる可能性を秘めているかもしれないにゃね」
 ひょっとして女子はああゆうふうにキレルものなのかと誤解している彼に言う。
「あまり見ないようにね」
 バイオレンスにつきお子様は見ないようにと、エースが両手で座敷わらしに目隠しをする。
「んんーっ、にゃぁあぁぁあ!」
 銃弾が尽きた頃には、ルカルカは満点の100点分とっていた。
 舞首の方はぐったりしている。
「ちょっと猫又さん。もう銃弾切れているわよ」
「うん?あれ、本当だにゃ」
 エースに声をかけられ、ルカルカはようやく正気に戻る。
「景品何にしようかにゃー。んー天女の羽衣みたいなこれにするにゃ!座敷わらしちゃんは何がいいかにゃん?」
「雪ん子の絵が描いてある風鈴がいいー」
「これかにゃん?」
「そうー。ありがとう♪」
「右の猫又、左の猫又も欲しいにゃ。不思議な音がするにゃー」
 普通の風鈴よりもリィーンリィイーンと、澄んでる音にアコーディングはうっとりとした顔をする。
「ありゃ?100点分なくなっちゃったにゃん。ごめんにゃ」
「私たちのことは気にしなくていいわ」
 エースは美しくにっこり笑う。
「座敷わらしちゃん、金魚掬いとかどうかしら?」
「やりたーい」
「フフフッじゃあ行きましょう」
 浴衣の袖を口元に当て、はしゃいでいる可愛らしい姿に微笑んだ。
「ちょっと足が疲れてきちゃった」
「右の猫又が抱っこしてあげるにゃー」
 景品をカバンに入れたルカルカが座敷わらしを抱っこしてやる。
「ここかにゃ?」
「このポイは普通に見かけるものね」
 エースは手にとったポイの両面を見る。
「1匹掬えた!」
 地面におろしてもらい、座敷わらしも金魚掬いをする。
「オイラもー」
「わらしん金魚掬い上手だねぇ」
「えっへへー♪」
「私も掬えたわ」
「右の猫又は2匹いっぺんに掬えたにゃ!」
「むーっ左の猫又はなかなかすくえないにゃーっ」
「手首を使って取るんだよ」
 座敷わらしがアコーディングに教える。
「そうなのにゃ?掬えたにゃ♪」
「にゃん!?リヴァイアさ〜ん掬いすぎにゃっ!」
 レヴィアが掬った金魚の数にルカルカは目を丸くする。
「持っていくか・・・?あの海の中では、この金魚は生きられないからな」
「いただくにゃん♪」
「だが食べ物ではない。食べるな・・・」
「にゃあ!?いくら魚だからって右の猫又も左の猫又も食べないにゃん!」
「分かっている・・・」
「にゃっにゃぁあ!?」
 からかわれたのだと気づき、恥ずかしさのあまりルカルカは顔を真っ赤にする。
 足の疲れがとれるまで、しばらくまったりと金魚掬いを楽しんだ。



 芦原 郁乃(あはら・いくの)たちと合流する頃、その少し前にレヴィアは療養のためパラミタ内海へ帰っていった。
「夢乃!こんなところにいたんだー」
 白い着物を着てちぎのたくらみで小さくなり、雪ん子に変装した郁乃が声をかけてきた。
 妖怪だけの祭りがあることを、イルミンスール大図書室に調べものに行った時に小耳に挟んだ。
 祭りに参加する前に社へ行ったらすでに座敷わらしの姿がなかったため、探したらいるかもと思った。
「いなかったから社にパンとかお菓子を、お供え物の台の上に置いてきたよ」
 お中元としてお供え物をあげて、ここへやってきたのだ。
「ありがとう雪ん子ちゃん」
「あたしのことも覚えてますか?」
 雪女の姿をした蒼天の書 マビノギオン(そうてんのしょ・まびのぎおん)が座敷わらしに声をかける。
「覚えているよ、雪女ちゃん」
「俺たちも一緒に行くよ」
 雨降り小僧に変装し提灯を持った和原 樹(なぎはら・いつき)が手を振り駆け寄ってくる。
 彼の頭には和傘の軸が取れなかったため軸を短く切り、小さいクッションを挟んで被っている。
「混んでいたから探すのが大変だったな」
 浴衣を着て化けた狐に変装したフォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)は、和原とショコラッテ・ブラウニー(しょこらって・ぶらうにー)につきあってやってきた。
 フォルクスの狐の尾は毛皮の襟巻きを代用し、浴衣から少し見えるようにつけている。
「やっと会えた・・・」
 ショコラッテも浴衣を着ているが藁帽子を被り、藁沓を履いた雪ん子の格好をしている。
「少しの間、一緒にお祭りを回ってもいい?樹兄さんが奢ってくれるって言ってるの」
「行こー。皆も一緒にいい?」
「うん、行こう」
「雪女って冷たいものしか食べられないよね。なんか主食になりそうなのないかな」
「苦笑くんのお店に稲荷寿司があるよ。お好み焼きだって冷えてても美味しいよきっと」
 カキ氷とか以外に食べても怪しまれないものがないかなと呟く郁乃に座敷わらしが教える。
「やったー!それなら食べられそうっ」
 食べ歩きしようとまずはお好み焼き屋へ行く。
「どんな具がいいですか?」
 涼介のお好み焼き屋へ行き、エイボンに注文する。
「いっぱい皆で来ちゃった。大変かな?赤マントお兄ちゃん」
 座敷わらしが心配そうに言うと、大丈夫と涼介が鉄板の向こうから手を振る。
「えーっとね、牛筋肉と干し海老を入れたヤツをお願い」
「私は梅と紫蘇、鳥肉でお願いします」
 郁乃とマビノギオンが注文する。
「ショコラちゃん何がいい?」
「まだ・・・どう選んでいいか分からない」
「うーんそうか」
「出来合いの生地ならすぐ出来ますわ」
「じゃあそれ2つで」
 和原たちはすぐ作れるヤツを選んだ。
「右の又猫たちは牛肉をたっぷり入れて欲しいにゃ!後おかかも、大目でお願いするにゃんっ」
「ねぇ夢乃は何がいい?」
「食べたいのがあれば頼んであげるけど」
 どんな具が入ったのがいいのか郁乃と和原が座敷わらしに聞く。
「むーっ、餅と梅にする!」
「分かった、餅と梅も頼む」
「かしこまりました。赤マント兄さま、注文の紙をここにかけておきますね」
「ぁあ分かった。さっき聞こえてたのはもう作ってある。雪女と雪ん子のお好み焼きはブリザードで冷やしておいたから持っていってやってくれ」
「はい」
 エイボンはお好み焼きをトレイに乗せ、郁乃たちのところへ運ぶ。
「お待ちどうさまでした」
「来た!美味しそうっ。夢乃と同じの食べたかったけど、さすがに冷えたのまで一緒に食べるのはね・・・」
 暖かいものを食べても大丈夫な少女に、冷ましたのを食べさせるのはと気がひけた彼女は、別々で頼んだのだ。
「冷えても美味しいですね」
 郁乃の半分もらいマビノギオンが食べる。
「むぅーちょっとだけ欲しい」
「いいよ。食べさせてあげる」
 お好み焼きを箸でつまみ、郁乃は座敷わらしに食べさせてやる。
「冷たいっ。でも美味しいね」
「そっかよかった。暖かいのはもうすぐくるからね」
「美味しい?ショコラちゃん」
 和原はヘラで切ったお好み焼きをショコラに食べさせる。
「口の中がひんやりする。美味しい・・・」
「大変お待たせしました。餅と梅入りと出来合いの生地のをお持ちいたしました」
 ショコラが食べている途中、注文分のお好み焼きが焼けた。
「俺たちの暖かい方のお好み焼きだ、冷めないうちに食べるぞフォルクス」
 お好み焼きをヘラで半分にした和原は、別の皿に乗せてフォルクスに渡す。
「焼きそばも入っているのか?」
 彼は箸でつまんで食べる。
「こういうものは焼き加減が難しそうだな樹」
「あぁそうだな。普通のお好み焼きもいいけど、関西風モダン焼きもいいな」
「わらしんと鈴彦姫お姉ちゃんも一緒に食べよう」
「食べるーっ!」
「梅は夏にいいものね」
「わらしちゃん、美味しい?」
「うん!」
 もくもくとお好み焼きを食べる少女にショコラが話しかけると、彼女はこくりと頷いた。
「お好み焼きうまうまでしたにゃ。あっ、皆でカルタやりたいにゃん」
「楽しそうー、雪ん子のショコラちゃんもやろう」
 ルカルカがカバンから取り出したカルタを見て、座敷わらしがショコラを誘う。
「うん、私もやりたい」
「右の猫又が読むにゃ。犬もあるけば公園デビュー」
 読み札はルカルカが持って読み始める。
「はいっ。よし、取れた!」
 最初の1枚目は和原が取った。
「次いくにゃ、論より数ーっ」
「はいっ。フッフフ、我も取ったぞ」
「やるなフォルクス・・・」
「どんどんいくにゃん♪老いたら行方不明!」
「はーいっ!わぁーい取れた♪はい、夢乃」
 取った札を郁乃が座敷わらしに渡す。
「次いくにゃん。焼け石に水ーっ」
「はいっ。フフフッ、あれ?この札違うわね」
「お手つきは1回休みにゃん♪」
「そんなー!」
 ルカルカに笑顔で言われたエースはしょぼんとする。
「ひっかかたね」
「ま、まさかわらしん。フェイントをかけたのね!?」
「そうだよ。で、札は仲間の子が取ったんだよ♪」
「仲間?あなたたち、いつのまにチーム組んだのっ」
 変わりに札を取ったマビノギオンを見たエースが悔しがる。
「読むにゃよ。ルールは破るためにある」
「フェイントかっ、そうはいかないな。そっちの札だ!」
「ブーッ、外れにゃ♪」
「そこか!―・・・我の取った札も違うぞ!?」
「ごめんね、フェイントなんだよね」
 アコーディングと郁乃にフェイントされ、和原とフォルクスは1回休みになってしまう。
「わらしちゃん。ここにあるよ」
「はい、わぁーい取れたー」
 ショコラに札の場所を教えてもらい、座敷わらしが札を取る。
「(こっこの子たち、いつのまにかチーム作ってるんだけど!?)」
「(やばいぞ。なんとかしないと)」
「(どうやってチームお子様を倒せばいいというの!)」
「(ていうか俺もそのチームの中に入れて欲しい!)」
 結局、お子様たちが勝ってしまい、和原とエース、フォルクスは負けてしまった。
「お好み焼きを丸ごと1枚食べたわけじゃないからお腹が減ったな」
 小腹が減り弥十郎の店に行き稲荷寿司を買う。
「半分こしよう、わらしちゃん」
「ありがとう」
 座敷わらしはショコラに半分もらって食べる。
「お嬢ちゃん可愛いね。小豆飯を召し上がれ、もしかしたら知っている味かもね」
「わらしが知ってる味?」
 響に渡された小豆飯を受け取った座敷わらしが首を傾げる。
「うん、わらし知ってるー」
「そう。よかったね」
 彼女の答えに響は微笑かけるような優しい声音で言う。
「カキ氷食べようよ、夢乃」
「食べる!わらしんとショコラちゃんたちも行こうー」
 クマラとショコラと手をつなぎ、マビノギオンはアコーディングと手をつないでカキ氷屋に向かう。
「子供同士の方が楽しいのかな?でもそれはそれでちょっと寂しいけど」
 先に行ってしまうショコラの姿に、和原は彼女に友達が増える嬉しさと寂しさを同時に覚える。
「あー、私も入れてよー」
 郁乃が駆け寄っていく。
「氷レモン買ったよ、3人で食べようー」
 勝ったカキ氷を郁乃は座敷わらしとマビノギオンの3人で食べる。
「ちょうど喉も渇いてたし、冷たくって美味しい」
「えぇそうですね」
「うん、冷たいっ」
「わらしちゃん。樹兄さんに買ってもらったの、食べよう」
 グレープフルーツのフローズン果実をカキ氷にしたやつをショコラが勧める。
「甘酸っぱい」
「うん甘酸っぱいね」
「左の猫又たちのパフェ風カキ氷も食べるにゃん」
 座敷わらしはアコーディングに氷メロンにバニラを乗せたのを食べさせてもらう。
「オイラの葡萄のカキ氷もあげるよ」
 クマラにも分けてもらって食べ、あちこちからいろんなカキ氷をもらった。
「ねぇ夢乃。お勧めの出店とかないかな?」
「あるよこっち」
 郁乃にお勧めの出店がないか聞かれた座敷わらしが案内する。



「もう少し座敷わらしと遊びたいね」
 妖怪の少女がどこで遊んでいるのか、コレットは一輝に肩車をしてもらったまま探している。
「いた!追いかけて」
「分かったから頭を掴まないでくれ」
 一輝は急かす彼女に言いながらも、言われた方向へ追いかける。
「茶坊主のお兄ちゃんだー。今から遊ぶところだよ、一緒にやろう」
「どうやって遊ぶんだ?台の上に携帯電話以外、何も無いが・・・」
「ただの携帯電話じゃないよ、アンサーだよ」
「―・・・!?」
 何かとてつもない遊びを始めるのかと、一輝は頬から一筋の汗を流す。
「おー、何かやってるんか?」
 彼らを見つけた陣たちも参加する。
「今度は大勢で来たみたいだな。じゃあ質問をするぞ。全員答えられば景品をやろう。誰か間違えたら、そいつだけ罰ゲームを受けてもらう」
「5人ずつでやるか?」
「そうやね」
「じゃあ質問をするぞ。今日、起きた時間を答えろ」
「7時やね」
「6時30分だったはずだ」
「6時35分ね」
「私は8時かな。(景品って何かな?)」
「同じく8時ですね」
 陣から順番に一輝とコレット、郁乃とマビノギオンの順番に答える。
「残念だが、2人間違えたやつがいる。烏天狗と茶坊主だ」
「んなぁ!?」
「たしかに6時30分に起きたはずだ」
「違うわ、6時31分よ」
「いや、たしかに30分に起きたはず!」
 そんなはずはないと一輝は顔から冷や汗を流す。
「アンサーってさ、間違えたら身体の一部を持っていくんじゃなかったけ?」
 リーズがさらりと強烈なことを言う。
「あー・・・たしかにそうね」
 コレットも思い出したように言い頷き、非難しようと一輝の背からおりる。
「でも髪の毛なら平気だよね?どうせまた生えてくるし」
「そうね、髪の毛なら・・・」
「せっかく知り合えたのに残念だね。(髪の毛がなくなるかもしれないだけだけど)」
「そうですね、残念です。(髪の毛を毟られるだけかもしれまけんけど)」
 郁乃とマビノギオンが追い討ちをかけるようなことを言う。
「や、やめて!それだけはーっ!」
「髪がなくなるだと?明日からどの髪型を被っていけばいいんだ・・・」
 頭を抑えて抵抗する陣の隣で、一輝がズーンと沈む。
「じゃあ罰ゲームいくぞ」
「な、突然頭の上に雨雲が!?ぶぁああーっ冷たい!」
 陣の頭の上だけにゲリラ豪雨並の雨が降り、彼はびしょびしょに濡れてしまった。
「―・・・っ!?」
 一輝の方は化け狐に輪ゴムを1つ頭に飛ばされた。
「陣くんの不幸なオーラがうつっちゃったんじゃない?」
「それはありえるかもしれないわ」
「ごめんね、うちの陣くんのせいでこんなことになるなんて」
「いえいえ。よくあることよ」
「次は朝食べた朝食を全部答えろ」
「右の猫はご飯と目玉焼きとキャベツと、ワカメのお味噌汁と鳥の唐揚げにゃ♪」
「左の猫もご飯と目玉焼きとキャベツと、ワカメのお味噌汁と鳥の唐揚げにゃん」
「ボクはコンソメスープとアップルジュースと、牛肉と白菜の炒め物とパンです!」
「俺はたしか、チャーハンと卵スープ、ほうれん草のおひたしで簡単に済ませた。(たぶんそうだったよな・・・)」
「オイラはフレンチトーストとタコウィンナーと、キャベツとトマトだよ」
「―・・・この中に不正解者は・・・」
 クマラやヴァーナーたちが息を呑んで、正解か不正解か待つ。
「正解・・・!」
「やったですーっ」
「わーい!」
「右の猫たち正解したにゃん♪」
「嬉しいにゃん!」
「よかった、あってたみたいだな」
 罰ゲームを受けるんじゃないかと思っていた和原はほっと息をつく。
「景品をやろう」
「いろいろあるんだな」
「わー、美味しそうなお菓子もあるにゃん」
「お菓子欲しいにゃん、でも小物も欲しいにゃー。左の猫は珊瑚を鬼火の形をしたピアスにするにゃん♪」
「オイラお菓子にする!」
「ボクは虹色のブレスレットにします♪」
「へー、そんなのがあるのか。俺もお菓子じゃなくて、狐の尾みたいなチョーカーするか」
 和原たちは数分かけて景品を選び終わった。
「わっかのチョコとかいっぱいもらったにゃん。どーぞにゃん♪」
「わらしちゃん、オイラがもらったお菓子分けてあげるよ」
「ありがとー」
 ちょこんと座って見ていた座敷わらしは、ルカルカとクマラからお菓子をもらう。
「ねぇ4人でもいい?」
「別にかまわねぇぜ」
「私はリベンジしたいの」
 リーズとコレットたちがチャレンジする。
「質問する、これは譲れないっていうもんを答えろ」
「んー・・・私はお菓子をアレンジすることかしら?」
「ボクは陣くんをいじることかな」
「わらしは食べることー」
「うん・・・ボクは大切な人を大事にすることかな?」
「―・・・ちっ正解だ」
「(今、ちっ!とか言わなかったかアイツ!)」
 禰子がムッとした顔をする。
「トパーズにしない?」
「どうして?」
「宝石言葉で友情の意味があるの」
「へぇーそうなんだ!」
「送り提灯ねーちゃんにもあげるにゃ」
「いいのか?」
「おまけでもらえたにゃん」
 禰子のおまけの分を含めて5人分のお揃いのイヤリングを景品もらった。
「まだほかにもおもしろいところあるかにゃ?」
 他にも面白い遊びがないか探し歩く。



「型抜き屋があるわ」
 コレットは久たちの型抜き屋へ行き、チャレンジしてみる。
「どれも難しそうね」
「リクエストも受けるよ」
「じゃあ鬼火の絵をお願いね」
「ちょっと待っててね・・・どうぞ」
 豊実から型をもらい、針で削り始める。
「御代はこっちな」
「じゃあ1人分頼む」
 久が持っている代金入れの箱に払う。
「茶坊主のお兄さんはどう?」
「やってみるか」
 彼女の隣に座って一輝もやってみる。
「難しいわね。―・・・抜けたわ!」
「あ・・・型が割れてしまったか」
「残念だねぇ」
 傍で2人の様子を座敷わらしが見ている。
「ほら景品だ」
「ありがとう、何かな・・・ヨーヨーやコマがあるわね」
 コレットは嬉しそうに景品をバッグに詰めた。