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●第15章 通りすがりのはれんちなひとたち


 超が付くほどのお人よし&ド天然で、『頭の中にお花畑が広がっている』を地で行くラムズ・シュリュズベリィ(らむず・しゅりゅずべりぃ)は、日々、記憶が白紙に戻る病気のため、自分が男性だったという事実にも半信半疑だった。
 鏡の中の自分はグラマラスな女性。
「自分は男どころか、地球人ではなかったのですね…」
 それを肯定するかのように、朝起きたら自分は獣耳女。
「あぁ、パンツから尻尾がはみ出て…なんと不便なんでしょうか。そうだ、買い物行かないと…」
 尻尾の生えた体に下着が合わないことに気が付いて、ラムズは買出しに行くことに決めた
「私がパラミタの人間だって、どうして教えてくれなかったんです?」
「アホ。お前は地球人じゃ」
「そうですかねぇ」
 恐怖判定に負けこんだのかと思うぐらい、世界から遊離するラムズだが、立派に地球人である。それを知っている相棒は眉を顰めた。
 シュリュズベリィ著 『手記』(しゅりゅずべりぃちょ・しゅき)
 時折、名状し難い音が鳴る謎宇宙な魔導書だ。今は人間形態になっている。
 浮雲の如くふらつかれては危険と、ラムズの後を『手記』はついていくことにした。

「ああ、良いお天気ですねえ〜〜」
「いいからなるべく胸……いや、身体を揺らすな。猫背になれ。よいな?」
「はぁ〜い?」
 ラムズはくるりと振り向いて『手記』に言った。
 そして、が揺れる。
 下はズボン、上は素肌にワイシャツというラフな格好で出歩くラムズ。
 シャツの裾から垂れる尻尾ゆらゆら。
「オオォイ!! こっ、ばっ! ボタン弾けとるじゃろうが! 前も後ろも隠せ、この痴女がっ!」
 相棒の『手記』はその冒涜的なパイちゃんとそのヘタを隠さないラムズに怒鳴った。
「あはぁーん…わかりましたぁ〜…」
 ラムズは盛大にシャツを捲り上げ、半ケツになっているズボンを公衆の面前で直そうとする。
「このばッ!! 尻出すな、ヴォケがぁああ!!!」
「だって、しまえないですよー。よいしょっと」
「今度はヘタが丸見えじゃ、どアホぅがッ!! ぅおまえには危機管理能力というものは無いのかッ!」
 揺れる胸に群がる男たちを触手で追い払いつつ、『手記』は【本体】でラムズを殴った。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 一方。
 真性痴女 秋葉 つかさ(あきば・つかさ)は、世界で一番好きなものが手に入った喜びに打ち震えつつ、今日は何をしようかと妄想を膨らませていた。
「あらっ! 起きたらいつもと様子が違いますね、いつもあるものがありませんわ」
 太股に感じるこの感触。
「そして、下の方に感じる違和感は…ぁあ! よく味わっているもの…」
 ちょんちょんと突く。
 その指を可愛らしく口元に持っていった。
「ふふっ…なるほど。理解しました。これは楽しまなくてはいけませんね」
 つかさはやおら立ち上がると、クロゼットの中にある服を引っ掻き回し始めた。
 メイド服にコスプレ、バニーガール、制服に、縄に、リボンに、鞭…えとせとら、えとせとら…
 一言で纏めると。
 萌えからいかがわしいものまで揃っていた。全部。
 つかさは学ランを引っ張り出すと、パジャマ代わりのシースルー下着を放り投げ、着替え始めた。

 むやみに女子を襲うのは不幸を増産させるだけ。
 今日という日の喜びは、それに相応しい人間と増やしてゆくべき。
 と、いうわけで。
 鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)に白羽の矢を立てた。
 犬も歩けば棒に当たり、つかさが歩けば、猥らなモノが引き寄せられる。
 本日は虚雲だっただけのことだ。
 鈴倉は身長がかなり低くなり、ちっぱいな美少女に変身していた。しかし、のぞき部で鍛えたつかさの目はごまかせない。
「ふふ…人気の無いところに行けば誰にも見られないだろうなど…笑止千万!」
 つかさは忍び笑いをした。
 ひんぬースレンダーの虚雲は自分の姿に不満足のようだ。
「…これは、ある意味酷いだろ。男の時とあんま変わってないじゃないか!」
 動揺したままなのだろう、突っ込み所をかなり間違えている。
 現在、ろくりんぴっく開催中ゆえ、学校に置いてあったチアガール衣装をふんだくって着たのだが、それはつかさの心の燃える嗜虐心にハイオクを注ぐようなものだった。
「俺が着ても全く似合わないが、とにかく俺だとバレなければ…」
「ふふふっ……そうでしょうか?」
「え? …あ゛−−−−−−−!!!」
 つかさの顔が見えたと思ったら、自分は地面に転がっていた。次の瞬間にはつかさの顔が目の前にあった。気が付けばチアガール衣装を捲り上げられていた。
「…っぁ!」
「あらあらあらぁ〜〜〜〜♪ 抵抗しないのですかー♪」
 できるわけがない。
 不意打ちの上に吸精幻夜など食らっては、イクなと言う方が無理なのではないだろうか。
 やわやわもにもにと、ちっぱいちゃんのヘタをゆるり撫で上げる。
「ふッ…ぁ…」
 顔を持ち上げ抵抗しようと努力していた。
 それを見ると、つかさは楽しくて仕方がなくなってきた。
 嫌がる者をオトすのが楽しいのだ。
 今日手に入れた愛しい物で、虚雲のプライドごと打ち抜いてあげようと、つかさは心に誓うのだった。