空京大学へ

天御柱学院

校長室

蒼空学園へ

魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~

リアクション公開中!

魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~
魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~ 魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~ 魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~ 魂の器・序章~剣の花嫁IN THE剣の花嫁~

リアクション

 そして、1日が終わり――

「ふむ、未来……いや、今の世界も中々やる」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は、街を歩きながら満足したようにそう言った。
「特に甘味類は素晴らしいな! 一日付き合って貰って嬉しく思うぞ」
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)と、そして紫月 睡蓮(しづき・すいれん)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)に笑顔を向ける。
「唯斗、睡蓮、プラチナ。どうやら、妾は幸せになれているようだ」
 その台詞に、3人は顔を見合わせた。まるで、別れの言葉のようだったから。記憶は統合されるのでは――
「姉さん?」
「エクス様……」
 そして気付く。たとえ統合されても、今目の前にいる、過去を生きていたエクスは消えてしまうのだと。
 エクスは睡蓮とプラチナムを見て少し呆れ、また楽しそうに言う。
「というか唯斗、お主のパートナー皆封印されとるのな。それを尽く壊すとは封印破砕能力でも?」
「ん? そういえばそうかもな」
 初めて気付いた、という顔の唯斗に、エクスは苦笑した。
「昔、シールブレイカーというのがいてな。そやつが同じ事をしていたよ……さて」
 そして彼女は立ち止まり、空京の街並みを見遣る。少し寂しそうに。
 ――ふ、これだけ満たされていれば名残惜しくなるのは当然か。
 ――今の、少し分けて貰うが許せよ。
「唯斗、そろそろ元に戻ろうと思う。手伝え」
「解った、何をすれば良い? っておわ……!?」
 エクスは強引に、唯斗に口づけをした。
「…………」
 数秒後、そっと唇を離して彼女は言った。
「これだけだ。簡単だろう。今のもわらわも、本質は同じ。それに別人格という訳ではないからな。妾が好きならわらわも好きという事だ」
「そ……そっか……」
 まだ驚きの覚めやらぬ唯斗に、エクスは最後に付け加える。
「お主の本当の光条兵器はテスタメント・オブ・ブライドという。いつか現れるだろう」
「な、何だ? テスタ……」
「では、な」
 そう言って、彼女は透明感のある微笑みを浮かべた。
「……ああ、またな」
 唯斗が応えたその直後には、彼女は元に戻っていた。先程までの記憶は残ったまま。
「唯斗……」
 何か恥ずかしかったり嬉しかったりといろいろ混ざり、気付くとエクスは泣いていた。感情がコントロール出来なくて。その彼女に、唯斗は言った。
「行こう、エクス。――それだけで良い」

              ◇◇◇◇◇◇

 空京の裏路地を通った先にある、空地。そこに、1人の獣人少女が倒れていた。赤茶色の髪を背に扇状に広げ、目を閉じてぴくりとも動かない。その彼女の上に、白い鳥が飛んで来て降り立つ。鳥――パラミタキバタンはチェリーの様子を不思議そうに眺めて首を傾げ、顔の周りをちょんちょんとまわる。何度かつついてみて反応が無いことを確認し、名前を呼んだ。
「チェリー、チェリー」
 暫く頭を俯けて彼女の額に嘴を付けていたが、やがてキバタンは飛び立った。
 誰かに彼女の存在を伝えるために。

              ◇◇◇◇◇◇

 その夜。

「これで全部か?」
「……そうだな。話に聞いた分は、纏めたな」
 空京大学の一室にて、如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は姿の変わったエミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)と向かい合っていた。机の上には、今回の事件を纏めたレポートが置いてあった。デパートの従業員、居合わせた客。避難所の面々に聞いた被害者の様子と症状。警備員に聞いた犯人の供述。そして、結末――
「剣の花嫁がどういった存在なのか、シャンバラの皆が少しでも理解する切欠になれば良いのだが」
「バズーカは今、此処には無い。多分、空京にも。でも、戻れないわけじゃない……」
 正悟はレポートに目を落とし、それからエミリアを見る。
「……もし、俺のパートナーであるエミリアに戻ったら、お前はどうなるんだ?」
「さぁ、な。記憶が統合されるケースもあったようだが、どちらにしろ……」
 エミリアは冷たさを感じる瞳に、若干の暖かさを乗せて言った。
「まあ、私は少年みたいな人柄は好きなんだ、時折思い出してくれるとうれしい」
「…………」
 正悟は立ち上がり、レポートを持つと室内の電気を消した。エミリアに歩み寄り、月明かりのみが照らす部屋で彼女を見詰める。
「一つだけ誓おう。お前という存在が消えても、今日共に語った事は覚えておくと」
「……それは、ありがたいな」

 翌日、ショートカットの妖艶さ漂うエミリアは消えていた。挨拶を交わしたのは、いつもの青いロングヘアの彼女。
 しかしその後――日常を過ごす彼の中からあの美女の記憶が消えることは無かった。
 
 



<<魂の器・序 END→NEXT>>第1章

担当マスターより

▼担当マスター

沢樹一海

▼マスターコメント

※ネタバレがありますので本文未読の方はご注意ください※

まず、この度も大変遅れてしまいまして申し訳ありませんでした。

序章の分量じゃないですね、約140000字……
軽くリアクション2個分です。3個分? うわあ何やってんだ私。

この剣の花嫁のネタは、実は古くは研修時から考えていたものでした。だから、巷から十二星華とかが出てきてNPCの剣の花嫁率が跳ね上がりましたがあえてピノちゃんを剣の花嫁として登場させました。いや、実現できて良かったです。
後半、フーリの祠の結末についてはほぼNPCパートになります。もう書いてて私自身が恥ずかしくて仕方無かったんですけど。読み返す時も恥ずかしくて仕方無かったんですけど。まあ、これで彼のスカスカな自由設定も埋まることでしょう。

また、サンプルアクションにあった、祠コースにラスボス出るかもですが、当初はフーリ君と一戦交える予定だったんですね。ただ、森でのモンスターバトルが結構白熱(?)したというのと、明確にラスボスに対するアクションがなかったというのと、いい加減文字数がとんでもなかったので割愛いたしました。フーリ君はこう子供っぽい、でもそこそこ長く生きてるゆる族です。男の子です。
そしてパラミタキバタンも男の子です。

〜〜〜〜〜〜〜ここからネタバレ〜〜〜〜〜〜〜

後半のデパートでの展開ですが、結果としてメガネシナリオ後半並みのシリアス度になりました。私のシナリオでは、明確な(新たな)死者というのはこれが初めてです。元々はロ○ット団みたいなノリで作ったので、まさかこうなるとは……という感じです。
ただ、勿論生かすも殺すも私次第なので、後者を選んだのは私自身です。
正直、ぎりぎりまでサイレンを鳴らすか鳴らさないか迷っていました。
そして、山田太郎にもう少しマシな名前をつければよかったと心底後悔いたしました。
むきプリ君も何気に、あのくらいやられてるんですけどね。シリアスかコメディかでここまで印象変わるもんか、と思いました。

さて、この展開によりまたもやシリーズの概要が分からなくなってきました。
ロケッ○団が思ったより重要な位置を占めてくるかもしれません。運営様に提出している概要の、まあ原型くらいは残るとは思いますが。

次回ですが、ファーシーはキマクにあるアクア・ベリルの隠れ家に行くようです。
なぜキマクかというと、何か隠れ家とか作りやすそうだったからという単純な理由だったりします。PC情報をどうするかは……考え中……。なので、ガイドで詳しく説明していきたいと思います。
他にも、2、3の要素が入ってくると思います。
今回は、皆様PL情報→PC情報に苦戦されたようだな、という気がしました。
私も苦戦しました(笑)。いや私が苦戦したのか。今度はもう少し分かりやすい形を目指します。

(余談)称号が最近全然思いつかなくてあんまり発行できてないです。最近ネタ称号しか出してないです。発想の神様求む。

それでは、ありがとうございました。