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リアクション
妖刀村雨丸を振るって賊と戦闘を続けていた翡翠が、外へ出てくるセルシウスに気づく。
「危ないぞ!?」
「む!?」
賊の一人を切り伏せた翡翠がセルシウスの首根っこを掴む。
「出てくるな! 大人しく、守られているんだ!!」
「漫画家はどこへ行った?」
全体魔法を放ったレイスがセルシウスに振り向く。
「そいつなら、〆切がぁーって叫んで駆け抜けて行ったぜ?」
「帰ってしまったか……」
ヒュンと鞭で一人仕留めた美鈴も会話に加わる。
「そんな場合じゃない! って、それは凄い勢いでしたわ。挙句に盗賊達にもスケブのサービスをしながら……」
「むぅ。職人の執念か」
小銃を乱射する剛太郎を見てセルシウスが唸る。
「とにかく、今は出てくるな! 店にいるんだ!!」
翡翠に一喝されたセルシウスが口ごもる。
その時、倒したと思っていた賊の手に握られた銃が火を吹く。
「翡翠殿!!」
剛太郎が叫ぶ中、レイスが賢人の杖で殴打し、賊を気絶させる。
「おい、大丈夫かよ?」
「掠り傷だ。問題ない」
咄嗟に隠したその腕を血が流れていく。翡翠はセルシウスを庇っていたのだ。
「嘘つけ怪我しただろう? 見せて見ろよ」
普段は陽気なレイスにしては珍しく怒りの表情で強引に翡翠の腕を取る。
「まったく心配するこっちの身にもなれよ」
「マスター、怪我をされたのですか!? 見せてください!」
美鈴も慌てて駆けつける。
しかし、翡翠はそれでも「平気だ」と言い続けている。
セルシウスが済まささそうに翡翠の怪我を見ていると、
「ワハハハハ!!」
と言うアポロトスの声が聞こえる。
「アポロトス殿!?」
二体のシュメッターリングを引き連れた指揮官のイコン、シュバルツ・フリーゲに乗るアポロトスが高笑いする。
その手には、傷ついたラルクとソフィアが握られている。
「ソフィア!!」
剛太郎が叫ぶ。
「そこの傭兵ども。武器を捨て、抵抗をやめぃ! さもなくば……どうなるか、わかるであろう?」
「翡翠……」
レイスが見ると、翡翠が真っ先に刀を捨てる。
「……万事休すかよ」
愚痴たレイスも、美鈴もそれぞれの武器を捨てる。
「卑怯であります……」
と、剛太郎も銃を捨てる。
アポロトスが、レイスによりす巻きにされ転がされている気絶した盗賊達を見る。
「随分やってくれたものだな」
「それはこっちの台詞だ」
と、怒気を含んだ翡翠の声。
「もう、お止め下さい。師匠!! 貴方は私がかつて師事した設計士。なのに、どうして此の様な破壊活動に手を染められたのです!?」
セルシウスの叫びには答えず、アポロトスはゆっくりとコンビニにイコンで歩を進めつつ、地平線を照らし始めた太陽を見る。