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太古の昔に埋没した魔列車…御神楽環菜&アゾート 後編

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太古の昔に埋没した魔列車…御神楽環菜&アゾート 後編
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リアクション

 エリセルたちが淡々と作業をしていると、歩夢が部屋に戻ってきた。
「ふぅ〜、後2ケース持ってくるね!」
 そう言うと機晶石を保管している部屋へと走る。
「―…あ、あの。アゾートさん…私のことを…」
 自分を友達として思っているのか、それとも別の感情があるのか…。
 小さな声音でおそるおそる聞く。
 どう思っていますか?、というセリフを言おうとしたその時。
「運び終わったよ!次は何のお手伝いしようか?」
「おかえり、歩夢さん。うーん…そうだね、次はー…何を頼もうかな」
「―……っ」
 戻ってきた歩夢によって言葉を止めてしまう。
「どうしたのかな?そんな怖い顔して…」
 眉を吊り上げてるエリセルを見て、目を丸くする。
「凄いね、ボクじゃそんなに早く運べないよ」
「体力仕事なら私に任せて!」
「精密な作業よりも、そっちのほうが合っていそうですよね」
 アゾートに褒められた彼女に嫉妬したエリセルがキツイ言葉を投げつける。
「人数も少ないし、役割分担するなら私が適任だからね。あっ、SPたくさん消耗していそうだね?そうだ!私が回復してあげるっ」
 エリセルからアゾートに視線を移すと、少し疲れた顔をしている彼女のために、歩夢が歌い始める。
「がんばれがんばれアゾートちゃん〜♪キミの魔法は(私の心とか)何でも溶かしちゃうほど強烈さ〜♪
「なんか元気出てきたかも」
 驚きの歌のおかげで回復した様子で、アゾートはモニターに触れて容器の中に氷系の力を送る。
「せくしー魔法使いアゾートちゃんふぁいやー!」
「えっ?ボクってそんなふうに見えるのかな」
「なんていうか…服の感じが…っていうか、…ご、ごめんねセンス無いね…上手い歌詞思い付かなくて」
 大きな瞳でじっと見つめられ、歩夢は頬を指で掻き照れ笑いをする。
「ううん、すごく上手いと思うよ?」
「ほ、ホントに!?じゃあ、がんばって歌うねっ」
「出来れば静かにしていてもらいたいのですが…」
 自分よりも頼りにされている雰囲気に苛立ち、またもや眉間に皺を寄せる。
「ちょっと、エリセル…。言いすぎじゃないの!?」
「静かに作業したいだけです」
 不愉快そうに言い、ツンとした態度を取る。 
「SPを使うなら驚きの歌を歌ってもらったほうがいいと思うし」
「疲れていそうなら、頃合をみて休憩するように勧めますよ」
「エリセル…、3人だけで加工作業しなきゃいけないんだから。そんなふうな態度はよくないわ。魔列車が走れなきゃ、他の人だけじゃなくってアゾートも残念に思うかもしれないわよ」
 アゾートが悲しむかも…という思わず言ってしまい、ちょっと卑怯だったかな、と思いつつ大人しくさせるために言う。
「―……。……そうですよね。なのに、ムキになってしまうなんて…。私、いったいどうしてしまったんでしょうか」
 友達が他の人と仲良くしたり、頼られることはよくあることだ。
 なのに、ツンとした態度や、嫌な言葉をぶつけてしまうのはなぜ…。
 アゾートに対して本当に友達としての感情しかないのか、自分の態度の変わりように動揺してしまう…。






 燃料加工の進み具合を撮影しようと、刀真と月夜がそっと部屋のドアを開ける。
「な、なんと!!ここは数人で燃料の加工を行っているんですかっ」
 どの現場よりも過酷のような気がしてならない。
 たった3人だけで作業している状況に、彼は思わず大きな声を上げてしまう。
 護衛として見守っているトカレヴァの方は姿を隠しているため、担当人数に入っていない。
「刀真、静かにっ」
 さっと月夜が彼の口を片手で塞ぐ。
「むぐ!?そうですね…っ」
 そっと彼女のテを退かし、撮影許可をもらおうとアゾートの傍へ寄る。
「あの…お忙しいとは思うんですけど、ちょっと撮影させてもらいたいのですが」
「それは構わないけど、機械にはあまり近づかないで。うっかり触ったら…」
「触ったら?」
「SP吸い取られちゃったり、容器に手足がはえて逃げちゃうかもしれないんだ」
「―……!?」
 アゾートの言葉に、いくら魔法学校だといってもそんなことが!?と刀真はまたもや目を丸くする。
「うん、半分冗談だよ」
 クスリともせず真顔で言う。
「容器にSPを送り込む機械があるっていうのは本当だからね」
「科学の知識だけで加工するわけじゃないんですね?となると魔法の力や知識が必要なのしょうか」
「なんていうか…魔法じゃなくっても、火系の力があるスキルとか…そういう能力が少しあればいい感じだね」
「ほほう…。強いスキルでなくても、協力出来るっていうことですね!」
「役割分担してもらえると、作業も進みやすいし」
「分担…ですか」
 アゾートのために驚きの歌を歌い続ける歩夢をちらりと見る。
「そちらは何の作業でしょうか?」
「え…えっと…。容器に機晶石を入れたり…。いろいろと手順が…あっ」
 刀真の方へ振り返ったとたん、エリセルの手からコロンと機晶石がテーブルに転がり落ちる。
「あぁ!忙しそうなので、お話はこれくらいにしておきましょう。ありがとうございました!」
 ぺこりと軽く頭を下げると刀真と月夜は部屋から出ていった。