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Blutvergeltung…導が示す末路

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Blutvergeltung…導が示す末路

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第16章 AfterStory2

 封神台で物言わぬ死体となってしまった魔女を、マーリンが外へ運び出し、埋葬し終わってもまだ真言の説教は続いている。
「他人の命を粗末に扱えば、自分も粗末に扱われてしまうんですよ?命というのが1つしかないからこそ、1秒ずつ大切に生きなければいけないんですよ」
「不老不死になれば、そんなの考えなくたっていいしー。実験に失敗して死ぬこともなんてないもん。それまで検体生物でも使うしかないからさ」
「あのですねっ、自分が検体の対象にされて、しかも失敗して死んだらどう思いますか!?」
 考えを変えない魔女の態度に、この場に机があったらバンバン手で叩きそうな勢いで怒鳴る。
「私、その検体じゃないからわかーんない」
「子供みたいなこと言わないでください!もし本当に、そんな目に遭ったらどうするつもりです?」
「相手を魔法ではったおして逃げるわ」
「はぁ・・・。では、それでも逃げられなかったらどうしますか。死を受け入れることなんて出来ないでしょう?」
「死ぬのはイヤッ」
 魔女は元々不老不死だが、それは老いて寿命で死ぬわけじゃないというものだ。
 だが、心臓を刺されたり、頭を撃たれれば死んでしまう。
「他の者を見下したら、粗末に扱わないことを誓ますか?」
「はい・・・誓います」
「では・・・・・・」
 ようやく説教が終わると思いきや・・・。
「相手を傷つけるだめの力は、いずれ自分の身も滅ぼす原因にもなることも分かりますよね?自分が得たものを、他者が利用して命を狙われることだってあるんですからね。それから・・・」
「うわー・・・・・・何時間説教する気だか」
 自業自得とはいえ、あまりのキツさにマーリンが一瞬、哀れみの眼差しを向けた。
 繰り返すがほんの一瞬だ。
 真言に気づかれでもしたら、魔女と一緒に正座させられて、聞かされそうな感じだからだ。
 結局、説得された魔女は魔法学校に戻り、この事件を知らない校長からは何のお咎めもなく済んだ。



「やっと全部終わりましたよ・・・」
 ベアトリーチェと美羽は、まずは鎌鼬が風に戻った場所へやってきた。
 十天君の2人を逃してしまい、どちらも改心したわけではないが、その内の1人は彼女を止める恋人がいる。
 リーダーの方は研究を続けるだけの人材を失い、もう2度と続行は出来ないだろう。
「鎌鼬、やっと友達になれたと思ったのに・・・。もっと一緒に遊びたかったね・・・」
 遊園地にきた頃のことを思い出し、ぽろぽろと涙を流す。
 花に黄色いリボンを添えると、ふわりと柔らかいそよ風が吹いた。
 風はリボンだけ空へ連れて行ってしまった。
「あげるよ、持っていって!また・・・会いにくるからねっ」
 きっと少女がきたのだろうと思い、大きく手を振った。
 後日、今度は闇世界につながるあのトンネルの前にやってきた。
「十天君を8人、封神台に送ってあげたわ。もちろん、皆と協力しあえたから・・・なんだけどね」
 最後に討った相手はあっけない感じだったが、それは相手が自分の力を過信しすぎていたからだろう。
 どちらにせよ、倒したのには変わりないし、彼女たちの所業を考えれば全力を出すように言う必要もないからだ。
「あの看護師さんとは幸せになれた?」
 ラスコットに教えてもらったヘルドが埋葬されている場所へ、花をそっと置く。
「きっと今、すごく幸せよね・・・。大事にしてげてね?」
「タバコはあげられませんが、たまには禁煙したほうがいいですよ」
 冗談交じりに言いながらも、会う度にいつも吸っていたっけ・・・と懐かしく思う。
 すぐ傍にいたのに、どうして連れ出せなかったのか、その後悔も・・・。
 恋人を蘇らせるためとはいえ、人として・・・医者としてやってはいけないことに手を染め、その罪の意識からか結局外へ出ることはなかった。
「おかしいな・・・。十天君の計画を潰して、仇を討って嬉しいはずなのに・・・」 
「美羽さん、もう少し・・・ここにいましょうか?」
 黙って頷く彼女にベアトリーチェがハンカチを差し出し、彼女の傍にしゃがみこんだ。