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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第十五篇:酒杜 陽一×高根沢理子×酒杜 美由子
 
「先生、手を繋ごうよ」
 蒼空学園の廊下。酒杜 陽一(さかもり・よういち)高根沢 理子(たかねざわ・りこ)は手を繋いだ。
 二人は教師と教え子という間柄だが、実は密かな恋愛関係にあるのだ。
 今は放課後とあってか、周囲に他の生徒や教師の姿はない。
 そうしたせいか、見つめ合う二人の顔は自然と近くなり――。。
 その時だった。突然、少女の声が廊下に響き渡る。
「お兄ちゃんっ、リコと手を繋いだりなんかして二人の仲はいつの間にそこまで進展してたのよ!?」
 廊下の向こうには手を繋いでいる陽一と理子のことをびしっと指差して叫んでいる少女が一人。陽一とは兄妹のような関係にあたる少女――酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)だ。
「しかも教師と教え子の禁断の関係! けけけけしからーーんっっ!」
 ともすれば学校中に聞こえそうなほどの大下で叫びながら、美由子はつかつかと歩み寄ってくる。
「この女狐がそのちっぱいでたぶらかしたのね!負けてたまるかこんちくしょう!」
 すると彼女は『本』の中の世界ということを利用し、どこからともなく杵と臼と餅を用意して、言った。
「さあ二人とも、このお餅を私のでっぱいだと思って力おっぱ……一杯つきなさい!」
 美由子は得意げに言いながら、その豊満な胸をそらしてみせる。
「このお餅の豊かな弾力。これがちっぱいにはないでっぱいの弾力よ!」
 今度は陽一に色目をつかいながら美由子は言う。
「そして、できあがったお餅を私のでっぱいだと思って噛み締めて食べて!」
 唖然としてぽかんとする二人をよそに、更に得意げになって言う美由子。
「貧しいちっぱいでは到底かなわない、でっぱいの偉大な豊かさをよーく味わいなさい!」
 最後に美由子はもう一度、びしっと指をつきつけて二人に言った。
「それと、また餅つきかよってツッコミもナシだからね!」