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【ダークサイズ】捨て台詞選手権

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【ダークサイズ】捨て台詞選手権

リアクション

「まず最初の選考は、ダークサイズ戦闘員部門です」

 悪の秘密結社というからには、幹部に至る前に戦闘員と戦うのが定石。
 戦闘員の戦いと言えば、土がむき出しの平原や草一本生えない山の中。
 ということで、戦闘員部門は館前の平野で行われる。
 リアトリスの進行を聞きながら、

「戦闘員の決め台詞なぞ、応募があったのか」

 と、ダイダル卿が腕を組んでつぶやく。
 リアトリスは応募をまとめた進行用カンペを見つつ、

「こちらの作品は、ラルク・アントゥルースさんです。ではどうぞ♪」

 と、トップバッターを呼び寄せる。

「おおっし! やってやるぜ!」

 ラルクも気合い十分に前に出る。
 続いてざざっとダークサイズの戦闘部隊であるペンギン部隊、パンダ部隊、まだイマイチ設定が定まっていない一般戦闘員が、ラルクの後ろに並び控える。
 ダークサイズの戦闘員訓練所の管理も兼ねるラルクは、戦闘員研修も兼ねての応募らしく、

「いいかお前ら! 悪は常に勝ってこそだが、負けた時もカッコよくなきゃいけねえ! そこで親衛隊の俺が、お前たちに手本を見せようと思ってる!!」
「くわー!」
「ぱんだー!」
「へい旦那!」
「よし! ダイソウ親衛隊、行くぜ!!」

 と、ラルクはカッコよく決めるものの、今日集まっている親衛隊員はラルク一人のみ……

「……ったく、怠慢だぜ親衛隊……」

 ともあれ、選手権第一戦の開始である。
 対ダークサイズは、誰が戦いの口火を切るか、相談しているようだ。
 その間にストレッチをするラルクに、

「あれ? ラルク。そう言えば名前……」

 超人ハッチャンとクマチャンが問う。

「ん? ああ、俺結婚したからな」
「うええ!? マジで? 言えよー」
「だってお前らずっといなかったじゃねえか」
「あ、そうか。まあいいや、おめでとう! 末永く爆発しろ!」
「普通に祝えよ……ま、ありがとな」

 一方、いつの間にか神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)や桂、クロスが館からテーブルを持ちだし、お茶やスイーツを整えて、ダークサイズ幹部用のオープンカフェを仕込み、優雅な観戦を決め込んでいる。

「みなさんすごいですね。若いっていいなー」

 クロスがコーヒーやマフィンをテーブルに置きながら、ラルクや向日葵たちを羨ましそうに見る。

「ふふ。クロスさんも充分お若いのではなくって?」

 ネネが早速マフィンをいただきながら、クロスに微笑みかける。

「そんなこと。あらネネさん、食べるの早いですね」
「出されるとつい手が出てしまいますわ」
「ダイソウトウも食べます?」
「うむ、いただこう」

 と、選手権開始早々、完全なリラックスモード。
 桂は、紅茶とアップルパイを並べ、翡翠は定位置となりつつあるダイソウの隣に座る。

「ダイソウトウ、捨て台詞の応募具合はどうですか?」
「うむ。まあまあの集まりだ」
「気になったのですが……以前のガーディアンオーディションの二の舞、ということはありませんか?」
「どういうことだ?」

 翡翠は紅茶を口に含む。
 すると桂がシュガーポットを差し出しながら、

「誰にいくつ台詞が集まるか……これまた個人の人気と言うか、愛され度を試されている気がします」

 と、超人ハッチャンの方をチラリと見る。
 大総統の館の各階を守護するガーディアンオーディションを行った際、3階超人ハッチャンへの応募がゼロという大事故が起きた。
 それが遠因となり、普通の人間であったハッチャンが肉体改造され、2メートルの筋肉隆々、肌は緑色の怪人と化してしまった。
 当時のハッチャンの落ち込み具合ときたら、目も当てられないものであったが……
 今回の捨て台詞募集という無茶に、翡翠と桂には一抹の不安があったのである。
 ダイソウもそれを思い出し、用紙をめくって応募状況を確認しながら、

「今回はそのようなことはあるまい。全員にくまなく応募は……」

 はたとダイソウの手が止まる。

「……どうしました、ダイソウトウ?」
「……だ、ダイダル卿……」
「……え……」

 不安の増した翡翠と桂の問いに、ダイソウはかろうじて聞こえる声でつぶやいた。
 3人が硬直したところに、そんな雰囲気につゆとも気付かず、ダイダル卿がやってくる。

「のう、ダイソウトウ」

 ダイダル卿が後ろから声をかけ、ダイソウたちが少しだけドキリとして振り返る。

「どうした、ダイダル卿」
「思ったんじゃが、戦闘員には誰もつかんでよいのか?」
「どういうことだ」
「1階は例外じゃが、館の各階にガーディアンと共にわしらの誰かが一緒におるじゃろう。せっかくわしとアルテミスが入ったんじゃ。戦闘員と組む者がおっても面白かろうと思うてな」

 ダイダル卿の提案を聞き、渡りに船とダイソウ・翡翠・桂は顔を見合わせて頷く。
 翡翠が口火を切ってダイダル卿に、

「その提案はもっともですね。ダイダル卿、ぜひついてあげてください」
「うむ。それがよい。卿には戦闘員に凄味を加えてもらおう」
「おお、分かったぞ、ダイソウトウ。ではわしへの応募の台詞を見せてもらおうかの」

 と、ダイダル卿が手を出し、3人はまたピクリとする。
 年を重ねておいそれと物事に動じないだろうが、応募ゼロで落ち込まれるのは避けたい。
 ダイソウは、ダイダル卿に向き直って立ち上がる。

「ダイダル卿よ……ゆくのだ」
「おう、わかっとる。じゃから台詞を……」
「そんなものは必要ない」
「ん? いや捨て台詞選手権じゃろう。戦闘も台詞ありきで……」
「古代神ともあろう者が、人間に与えられた台詞に頼ろうと言うのか」
「そういうつもりではないがのう。この選手権の趣旨が……」
「ゆけい、古代神ダイダリオン! 浮遊要塞の恐怖を見せつけてやるのだ」
「なんじゃ、わけがわからんのう」

 かなり強引なごまかしで、ダイソウはダイダル卿を送り出す。
 一方、向日葵たち対ダークサイズは先鋒を検討中。

「私、ラルクさんのスタンプもらってるから、まだいいや」

 大総統の館攻略法の一つ、幹部のスタンプ集めを続ける美羽は、すでに親衛隊のスタンプを獲得しているので、ラルクとの戦闘には興味なし。

「ふふふ。俺の出番は当然温存しておくべきでしょう」

 クロセルも不敵な笑みを浮かべつつ、腕組みをして様子見の構え。

「向日葵、俺が行こうか?」
「だから何であたしに聞くのよ」

 類はド近眼で居場所を見失い、すっかり明後日の場所で菫に話しかけている。

「おっぱい(女性)以外とやりあうのは興味ねえ」

 ゲブーは全く興味を示さない。
 やれやれとため息をつきながら、永谷が

「仕方がない。しょっぱなは俺が行くとしようか」

 と、前に出ようとするが、それを向日葵が止める。

「永谷くん、ここはまず彼にお願いしようと思うの」
「彼って?」
「なるほど。早速私の出番というわけか」

 と、進み出たのは涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)だ。
 いつも味方が少ない対ダークサイズおよびチームサンフラワー。
 向日葵は今までの反省を生かし、涼介を助っ人に呼び出していたらしい。

「まずは、あたしたちも選手権の空気感を掴まないとね。それには涼介くんに、正攻法の戦闘を頼みたいな」

 向日葵は涼介を振り向くが、彼はチッチッと指を振る。

「ミスサンフラワー。今日はくれぐれもその名で呼んでくれるな。というより、この場に涼介・フォレストはいない。いるのは私、『外注ヒーロー・ブリッツフォーゲル』! 頼まれ仕事は断らない。有料の雇われ戦士! 捨て台詞も結構。ただし、手加減なしのガチバトルと行かせてもらうぜ! とうっ!」

 フルフェイスマスクにパワードスーツを身に纏っている涼介、もといブリッツフォーゲルは、華麗にジャンプし、ラルクの前に降り立つ。
 実は旧姓のころ、ダークサイズに面が割れている涼介、もといブリッツフォーゲル。
 今日は正体を知られたくないらしい。
 さらに奇しくも既婚者対決となる選手権の第一戦。
 ラルクは相手に不足なしと拳を握りしめる。

「いいねえ。初戦はカッコよく決めてやりたいところだったからな。向こうも良く分かってるじゃねえか」

 そこへのしのしとやってくるダイダル卿。

「おいお主ら。わしも混ぜてくれ」
「どうした、じいさん?」
「じいさんとはないじゃろう、親衛隊。浮遊要塞係だけでは退屈じゃからのう。わしもちっとは運動したいんじゃ」
「別にいいけどよ……俺たち負けなきゃいけねえんだぜ?」
「まあそこは何とかなるじゃろう」

 ただでさえ大柄なグラップラーであるラルク。
 それに加えてさらに巨漢のダイダル卿が、涼介もといブリッツフォーゲルの前に立ちはだかる。
 ダークサイズに加勢が加わったのを見て、向日葵たちは加勢を一人足そうとする。
 涼介もといブリッツフォーゲルはそれを手で制し、

「この戦いは私が請け負ったのだ。ここは一人で最後までやらせてもらう!」

 と、親衛隊と古代神を相手に一人での戦いに挑む。

「あ、ブリッツフォーゲルさん、ラルクさんは敵を追い込んだ時の台詞もあるので、よき所でピンチになってください。それでは戦闘開始です。どうぞ♪」

 リアトリスの柔らかい声質は、号令としては若干緊張感を欠くものの、ともあれそれをきっかけに両者構える。

「こちとら戦闘員に悪の極意を叩きこまなきゃならねえんでな。むしろ序盤は飛ばさしてもらうぜ。おおおおっ!」

 ラルクは雄叫びと共に全身に闘気を漲らせる。
 涼介もといブリッツフォーゲルも、

「よかろう! 我が名はブリッツフォーゲル! 闇を打ち払いし雷光なりッ!!」

 と叫ぶや否や、魔力を電流のように可視化させていかづちを演出。
 ショー要素の強い戦闘かと思いきや、両者本気の闘気のぶつけ合いを見て、俄然ギャラリーは盛り上がりを見せる。

「おお、すげえ!」
「あいつら……本気だ!」
「こ、この凄まじい両者のプレッシャー……これがぶつかれば……」
「必ずどちらかが死ぬッ!!」

 ギャラリーの一般人たちは、一度言ってみたいと思っていた説明台詞を、口々に叫ぶ。

「おらあああっ!!」

 ラルクは地を蹴り、涼介もといブリッツフォーゲルに突進、拳をマスク目がけて振りおろす。

「うおおおっ!」

 涼介もといブリッツフォーゲルも負けじと拳を繰り出し、ラルクの拳を紙一重でかわしつつ腕を重ねて受け止める。
 二人の重なった腕を中心に、衝撃波が砂埃を円形に巻き上げる。

「あの細腕で、受け止めただとっ!」
「バカな! ブリッツフォーゲルってやつはクロスボウを持っていた。つまりあいつは本来、近接戦闘をするタイプじゃねえ」
「それなのにグラップラーの一撃を止めた……!」
「あの男! パワードスーツを完全に自分のものにしている……ッ!」

 といった具合に、ギャラリーたちは延々としゃべり続ける。
 ラルクも少し驚いた様子で、

「なるほど、いいパワードアーム使ってんな」

 と、涼介もといブリッツフォーゲルの腕をチラリと見る。

「ふっ、捨て台詞は言えるようにしてやるさ。だがそう簡単にはいかんぞ!」

 涼介もといブリッツフォーゲルは、マスクの中で笑みを作る。

「じゃが、やはり格闘タイプではないのう。左側がお留守じゃ」
「なっ!」

 ラルクに気を取られているすきに、涼介もといブリッツフォーゲルの後ろには、ダイダル卿が回りこんでいる。

「そりゃっ」

 ダイダル卿の巨大な拳が、涼介もといブリッツフォーゲルの左肩を襲う。

どがっ!

「ぐっ!」

 反射的に体をひねり、ダイダル卿の攻撃を受け止める涼介もといブリッツフォーゲルだが、その勢いで大きく後ろに弾き飛ばされる。

「後ろに回り込んでいた! 卑怯だぞじじい!」

 ギャラリーも野次を飛ばすが、それに高笑いするのはラルクである。
 彼は急激に気を練り、

「はっはっはっは! それがどうした! これが悪役の戦い方だぜっ!」

 と、中空に飛ばされた涼介もといブリッツフォーゲルにドラゴンアーツを放つ。

ごおおっ!

「ぐああああ!」

 受身の取れない体勢でまともにラルクの一撃をくらい、地面に落ちる涼介もといブリッツフォーゲル。
 それでもなお立ち上がろうとする彼に向かい、ラルクとダイダル卿が並んで腕を組む。

『おいおい……正義の味方ってのはこんなに弱ぇーのかよ? 俺を失望させるなよ……?』

 と、ここでラルク応募の台詞。ダイダル卿はラルクにメモを見せてもらいながら、どうにかユニゾンで台詞を言う。
 さらに直後、二人は、

ドンッ!

 勢いよく土を蹴り、涼介もといブリッツフォーゲルにとどめの一撃とばかり襲いかかる。

「ぬんっ!!」

 二人の拳が彼に届かんとしたその時、

バチイッ

「ッ!?」

 はじかれたように、ラルクとダイダル卿は後ろに飛び退く。
 見ると、涼介もといブリッツフォーゲルは周囲に電撃を纏い、彼の後ろには召喚されたサンダーバードが控えている。

「召喚!? いつの間に……!」
「そうか、わしらの攻撃を避け切れんかったのは、同時に召喚を行っていたからか!」

 ラルクとダイダル卿も、状況説明を怠らない。
 涼介もといブリッツフォーゲルは、立ち上がる際杖代わりに使ったサンダークロスボウを、今度は天空に掲げる。
 そこに魔力が収束し、サンダーバードがクロスボウにとりつき、矢のように番えられる。

「このパラミタ世界はダークサイズの思い通りにはさせん……ブリッツフォーゲルがいる限り! いくぞっ。『ゼウスの声を聞け』えええっ!!」

 涼介もといブリッツフォーゲルは、必殺技の雄叫びと共に、クロスボウを二人に向けて放つ。
 サンダーバードと共に強力な電撃が、猛然と二人に襲いかかる。

「な……よけ……ッ」

 バチバチッ……どがあああん!

「ぐわあああーっ」

 召喚獣サンダーバードをまともに食らい、吹き飛ばされるラルクとダイダル卿。
 そして二人は、背中から地面に墜落する。

「はあ、はあ……」

 涼介もといブリッツフォーゲルは再度クロスボウを天に掲げる。

「た、倒した! 親衛隊を倒したぞー!」

 一斉に歓声を上げるギャラリーと向日葵たち。
 そこにリアトリスの声が挟まれる。

「はい、では締めの台詞がありますので、みなさんお静かに」
「お、おう……」

 ルール通りだが、みんなちょっと水を差された気分になる。
 ラルクがぐぐっと首を上げるのを見て、リアトリスが彼にマイクを当てる。

『へ……なかなかやるじゃねぇか……だがな、所詮俺なぞ序の口。この先には神クライスの奴がいる……そこで貴様は更なる地獄に苦しむだろう! 苦しんでくれよ? 足掻いてくれよ? それが俺の最上の土産なんだからな!!』

 と捨て台詞を残し、ラルクはがくりとこと切れる。

「くわー!」
「ぱんだー!」
「だ、旦那ぁー!」

 戦闘員たちがラルクとダイダル卿を囲み、

るーるるるるーるー……

 と、何やら物悲しいメロディを口ずさみながら、二人を持ちあげ館の中へ去っていく。

「お、おい……俺が死んだみたいな演出すんなよ……」

 と言いつつも、ラルクはおとなしく彼らに身をゆだねる。

「以上、ラルク・アントゥルースさんのご応募でした。ありがとうございましたー」

 リアトリスがきっちり進行を進め、みな歓声を上げる。

「かっこよかったぞ! すごくまともだったけどな!」
「普通だけどかっこよかったぞ!」
「ああ、かっこよかったぞ! 普通だったけど!」

 選手権初戦を制した(と言っても勝負は全て勝つ形になるのだが)涼介もといブリッツフォーゲル。
 向日葵たちの元へ戻ると、ガクリと膝をつく。
 向日葵たちは駆け寄り、

「大丈夫!? ブリッツフォーゲル!」
「これくらい、大したことはない。というか、これがダイソウトウにたどり着くまで続くのか……?」

 涼介もといブリッツフォーゲルは、戦闘の傷よりこれから先に思いやられる。

「おにーちゃん、おけがしたとこ見せて?」

 彼の元へ、『救護係の腕章』をつけたノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が駆け寄る。
 彼女は『歴戦の回復術』や『命の息吹』を駆使して、涼介もといブリッツフォーゲルのケガの治癒にあたる。

「おお、こちらには救護係がいるのか」

 永谷がありがたそうに、ノーンのスキルを見ている。
 ノーンも得意気に永谷を振り返り、

「えへへ☆ サンフラワーちゃんたちをいっぱいいっぱい応援するよ!」

 と、満面の笑顔。
 向日葵も膝をつき、

「ありがとね、ノーンちゃん。ねえ、今日も陽太くんはいないの?」

 と、ノーンの契約者である御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の所在を問う。
 ノーンは少しつまらなそうな顔をして、

「おにーちゃんはお仕事忙しいみたい。それに新婚さんだし……」

 と、口をとがらせる。
 陽太本人は妻である御神楽 環菜(みかぐら・かんな)との新居での新婚生活と、『パラミタ横断鉄道』を造るため日夜奔走しているらしく、せめて向日葵たちのバックアップにと、ノーンを寄こしたのだ。

「そーだ」

 と、治療を終えたノーンは携帯電話を取り出して、小さな手でピピピと操作。

「あ、おにーちゃん? 今サンフラワーちゃんいるよ。うん、うん。はい、サンフラワーちゃん。おにーちゃんがご挨拶したいんだって」

 向日葵は携帯を受け取って耳に当てると、久しぶりに陽太の声が聞こえる。

『秋野さん、お久しぶりです』
「やー、陽太くん!」
『ノーンがお世話になってます。エリュシオンの時もありがとうございました。ノーンから色々報告は聞きましたよ。秋野さんも大変でしたね。あ、今はサンフラワーさんとお呼びしたほうがいいのかな』
「ノーンちゃん、そんなことまで報告してるんだ……秋野さんにして」
『俺が行けなくて申し訳ない』
「んーん。ノーンちゃんのおかげで助かってるよ。かわいいし」
「えへへへへへへ!」

 会話が聞こえたノーンが、向日葵の腰に抱きつく。

『とにかくこちらから応援してます。ノーンも好きに使ってくださいね』
「うん、ありがとー。あそうだ。永谷くん、陽太くんだけど、話す?」

 と、向日葵は永谷に携帯を渡す。

「やあ、陽太さん。ダークサイズではしばらく顔を見ないな」
『秋野さんのバックアップをお任せしてしまってすまない』

 と、お互い近況報告をしている。
 そんな中、どうやらダークサイズも準備ができたらしい。
 リアトリスがマイクを握る。

「続いては大総統の館1階ガーディアン部門です!」