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リアクション
……と、あちらの戦闘は時間がかかりそうなので、少し場面を戻しましょう。
「くくく……、少しはやるようだな。だが、伝説の聖剣でないと、余を仕留めることは不可能。……死ぬがいい」
魔王クロノスは、ペト・ペトたちを圧倒しつつありました。
そこへ。
「伝説の聖剣ならここにもありますよ!」
取ってつけたようなタイミングで登場したのは、最初から勇者として頑張っていた{SFM0043798#東 朱鷺}と勇者の一行です。
やれやれ、ようやく追いついたようです。
朱鷺は、女王シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)から授かった聖剣でクロノスに斬りかかります。もちろん、他の仲間たちも。次々に攻撃を仕掛けます。
あれから十分にLVも上げ、もう頼りない一行ではありません。
「お待たせ、エリザベータ。あたしたちが来たからには、もう決着はつきますよ」
闘技場で仲間になったセフィー・グローリィア(せふぃー・ぐろーりぃあ)が仲間に微笑みかけます。
「お疲れ様。よく追いつきましたね」とエリザベータ。
「そろそろ退場してもらいましょうか!」
彼女たちの戦いっぷりの前に、魔王クロノスは追い詰められていきます。
「ぐううう、おのれ! この余が、こんなところで……!」
「これで、終わりだ!」
ドオオオオンンッ!
衝撃はとともに、勇者たちの攻撃が魔王クロノスを仕留めます。
「ふふふ……、見事だ勇者たちよ。よくぞ余を倒した。だが、第二第三の魔王が必ずやお前たちの前に……グハッ!」
魔王クロノスは滅びました。
そして、クロノスの配下のアルテミスも、止めを刺され消滅します。それを機に、魔王軍は壊走し散り散りになって去って行きました。
「……勝ちました!」
いやあ、本当にここに来るまで苦労しましたが。やっと一人目の魔王を倒すことができました。
「もう一人の勇者が奥に……」
朱鷺や猫勇者たちは、伝説の剣を手に入れるために戦っている透乃を迎えにいきます。
「……ふむ、タイムオーバーだ。別の勇者たちも来たらしい」
アキュートは戦闘を中断して透乃と陽子を見やります。
「悔しい。倒しきれなかったみたい」
「まあ、お前らはまだ二人だったからな。よく戦ったほうだ。仲間を得さらに鍛錬を重ねると十分になるだろう。……さて、どうしたものか?」
「悪くないでしょう」とクビリア。
「……まあ、いいか。これもイベントの一環だし。本気で打ち倒すつもりはなかったから」
アキュートは、そういいながらも聖剣の刺さっている岩場へと、透乃を導きます。
「……」
と。それはよく見ると岩ではありませんでした。
剣が刺さっていたのは、なんというか、こう……。
「そなたらが選ばれし勇者か」
話かけてきたのは、伝説の剣の寄り代としての役割のウーマ・ンボー(うーま・んぼー)です。なぜマンボウなのか? そんなことを気にしていては、このゲームはクリアできません。
透乃が頷くと、ウーマはうなり声を上げます。
「早く……早く、この剣を抜いて……くれ。それがし……。死んでしまう……」
「……」
透乃が恐る恐る剣を引っ張ると、意外にもすんなりと抜けます。
「あんっ!?」
いい声を残してウーマは昇天してしまいますが、まあ置いておきましょう。
透乃は聖剣を手に入れました。
「やりましたね、透乃ちゃんっ!」
陽子は自分のことのように喜んでくれます。
「よくぞ私を抜いた。俺は聖剣カリバーン。勇者よ、お前が現れるのを待っていた」
剣が話しかけてきます。
彼女が手に入れたのは、聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)だったのです。
「さあ、遠慮なく俺を振るい悪を滅ぼすがいい。今後とも、よろしくな」
「うん、こちらこそよろしくねっ。一緒に魔王を倒そうよ」
透乃がそう答えた時、他の勇者たちもやってきます。
「初めまして、かな? ようやく出会えたね、勇者たちと勇者たちが」
「ええ、長かったような短かったような。なんとも言いがたい冒険でした」
お互いにそんな言葉を交わしあいます。
伝説の聖剣を手に入れ仲間たちとも出会いを終えた勇者たち。
いざ、魔王の城へと向かいます。