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彼女はデパートを見たことが無い。

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彼女はデパートを見たことが無い。

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「……結構、まわった。気がする、でもまだまだ楽しい場所、ありそう」
 みんなと別れ再び屋内へと戻ってきたニア。フラフラと一人歩く。
「こんにちは、当デパートは初めてですか?」
 ニアに話しかけてきたのはデパートの店員に扮したセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)
「うん、はじめて」
「僕はセリオス、初めてのお客様をご案内する係りだよ。良かったらどうかな?」
「うん、ニアはニアっていうの。よろしく」
「ニアだね。よろしく。そうだ……」
 セリオスは腕時計が満載の籠から時計を一つ取り出す。
「来店記念にプレゼントしているんだ。腕に巻いても良いかな?」
「プレゼント……、うん」
 プレゼントに悪いものなし。ニアは腕を出す。そして、その腕にセリオスが時計を巻く。
「はい、出来た」
「……♪」
 嬉しそうに時計を眺めるニア。
「気に入ってくれたみたいで良かったよ。それじゃあ、行こうか」
「うん」
 ニアはセリオスにデパートや祭事の説明を聞きながら一緒に歩き始めた。

「……無事、移動を始めたようだ」
 そんなニア達をイスに座りアイスを食べながら少し遠くで見ていたクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)と秀幸。
「さすがセリオス殿ですね。これならニア殿の保護出来る確率は格段に上がります」
「そうだな。とにかく俺達はもしもの時のためにニアに一般人が近づかないようにするだけだ」
 アイスを平らげ立ち上がるクローラ。
「……冬だから温かい物にすればよかったな」
「ははは……、そうですね。それでは、行きましょうか」
「小暮少尉、こんなところで何をしてるんですか?」
 移動しようとした二人に声をかけてきたのはセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)。その後ろには一緒に来ていたのであろうセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)の姿があった。
「おや、セレアナ殿にセレンフィリティ殿。今、任務中でね」
「任務、ですか……」
 秀幸が二人に事情を話す。
「……なるほど、そういうことなら」
「もしかして……」
「えぇ、セレン。デートは中止よ」
「うぅ……、やっぱりそうなるのね」
 がっくりと肩を落とすセレンフィリティ。
「あきらめなさい」
「……見たところ、私服を着ているし休日のようだから無理は……」
「いえ、やらせてください小暮少尉」
「そういうことなら、こちらとしては助かりますが……」
「はぁ……、良いわ。この際、やるわよ」
「……歩きながら話さないか? ニア達はもう結構離れてしまっているんだが……」
 クローラが『銃型HC』を見ながら三人に声をかける。画面にはニア達の現在地が表示されていた。
「おっと、そうですね」
「場所が分かるの?」
「あぁ。今ニアがつけている腕時計に発信機が仕込まれている」
「なるほどね」
 四人が早足に画面に表示されている場所へと向かう。少しするとニア達の姿を発見、一定の距離を保ちつつ後をつける四人。
「それで私達はどうすれば良いかしら?」
「そうですね……、ニア殿の保護のお手伝いをお願いします、あと、なるべくニア殿に一般人を近づけないようにお願いします。万が一自爆された際、被害を抑えなければいけませんので」
「俺達も発信機を頼りに後を追って、さりげなく一般人を誘導する。ニアの元にセリオスがいるからそっちと連携してやってくれ」
「了解。じゃあ、行きましょうか」
「そうね」
  
「――そしてこっちが」
「こんにちは!」
 説明しているセリオスの後ろから声をかけるセレンフィリティ。
「おや、君達は……」
「私達は彼の友人でね。見かけたからせっかくだし一緒に案内してあげようかと思ってね♪」
「良かったら私達も一緒に良いかしら?」
 セレアナがセリオスにアイコンタクト。セリオスもそれで理解したのか小さく頷く。
「どうだろう。彼女達も一緒で大丈夫かな?」
「……うん、多い方が、楽しい」
「ありがと、あなたの名前を聞いても良いかしら?」
 セレアナが微笑みながらニアへと聞く。
「むっ……」
「ニアはニアっていうの」
「ニアね。私はセレアナ。彼女はセレンよ。よろしく……って、セレンどうしたの?」
「……なんでもないわよ」
 ムスッとしているセレンフィリティに首を傾げるセレアナ。
「それじゃあ、行こうか」
「そうね」
「その笑顔……、ニアじゃなくて私にして欲しかったな……」
 誰にも聞こえないほどの声で一人呟くセレンフィリティだった。

 その後、セリオスの案内の元、様々な場所をめぐる四人。
「……美味しそう」
「良かったら、買って上げるよ」
「……良いの?」
「もちろん」
「こっちのも美味しいのよ。良かったら食べてみて」
「うん、ありがと」
「はーい、テレビ関係者の者ですー。ただいまこちら移動を制限させてもらってますー。立ち止まらずこちら側を歩いてくださいー。ご協力お願いしますー」
 ニア達が楽しむ傍ら、『防衛計画』でデパートの構造を把握したセレンフィリティがニアをタレントに仕立て上げ、一般人が近づかないように誘導したり。
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
「そこの人、良ければこれの売っている場所を教えてはもらえないだろうか?」
 クローラと秀幸もお客に声をかけ、一時的に足止めをしてニアの方に一般人がいかないように阻止したりと影ながらの尽力もあり、何事もなく楽しい時が過ぎていく。

「良い時間になってきたわね」
 時間は夕方。結構な時間を歩いてきた四人。
「それじゃあ、最後に屋上にある観覧車なんてどうかな? この時間だと、綺麗な夕日が見れるんだ。どうかな?」
「へぇ、良いわねそれ」
「うん、見る」
「じゃあ、決まりだね」
 四人は屋上にある観覧車へと向かう。
「綺麗な街並みねぇ……」
「そうね。デート中止になって残念だったけど、最後に良いものが見れたわ」
 早速乗り込んだ四人。元々屋上ということもあり、夕日に浮かぶ街並みが良く見える。しばらく黙って見ていると疲れがドッと来たのかニアがうつらうつらと船をこぎ始めた。
「眠そうね、疲れちゃったかしら?」 
「一日中歩いていればそうなるかな……」
 セリオスがニアの髪を撫でる。
「安心しておやすみ。お姫様」
「……うん」
 そして『ヒプノシス』でニアの眠りを促すセリオス。ニアはゆっくりと眠りへと落ちていった。
「……二人ともお疲れ様」
 ニアが眠ったのを確認してセリオスがねぎらいの言葉をかける。
「そちらこそね」
「後は、このお姫様を届けるだけだね。クローラにも連絡しておかないと」
 観覧車前で待っているクローラへと『精神感応』で連絡を始めるセリオス。
『クローラ聞こえるかな?』
『もちろんだ、そっちはどうだ?』
『無事完了ってところかな。後は連れて行くだけだよ』
『了解だ。お疲れ様』
『そちらこそね』
「とりあえず、観覧車が下りるまでは何も出来ないから、ゆっくり街並みでも見ていようか」
 連絡を終え、街並みを見ている二人に声をかけるセリオス。
「そうね。そうしましょうか」
 こうして、無事にニアの保護に成功した。メンバー達だった。