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彼女はデパートを見たことが無い。

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彼女はデパートを見たことが無い。

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「おねえちゃん! はい、あーん!」
 食後にみんなでデザートのアイスを食べていると紫苑が、アイスの乗ったスプーンをニアの口元へ。
「……?」
 理解できてないのか首を傾げるニア。
「月ねーちゃんがとーまにこうやって食べさせてもらってた、すげー喜んでたんだ! だから、はい、あーん!」
「あー、家でおやつのアイスを出した時に月夜が食べさせてくれと甘えてきたあれか……。紫苑見てたのか」
「……ちょっと照れる……」
「む……」
「……あーん」
 照れる月夜とむくれるラグナを尻目に再び出されたアイスを食べるニア。
「……美味しい」
「良かったー! はい、もう一回!」
「あーん」
「マスター、そんな事を……」
「あっ、ほらラグナ! あーん」
 ラグナが何か言う前に月夜はラグナへとアイスを差し出す。
「……あーん」
 少し恥ずかしがりながらも嬉しそうに食べるラグナだった。
「良いなぁ……」
 一連の様子を羨ましそうに見ていたコルフィス。
「……あーん」
 それを見ていたニアがコルフィスへとアイスを差し出す。
「えっ……?」
 突然の事で、固まるコルフィス。
「あーん」
「あ、あーん」
 おずおずと差し出されたアイスを食べるコルフィス。
「お、美味しい……!」
 半ば感動して涙を流すコルフィス。
「泣くほどの事か……?」
 その姿を見て呆れる勇刃だった。
「さて、この後はどうしますか?」
 刀真の言葉に我に返ったコルフィス。
「服を見に行くのはどうだろうか!?」
「あ、それ良いわね」
「では、早速行こう! ニアちゃん、結構古い着てるし、綺麗にしなきゃね!」
 一行は早速、洋服売り場へと移動した。

「こっちはどうかしら?」
「ふむ、なかなか。でも、ニアちゃんにはズボンよりドレスっぽいものの方が合ってそうだね。これとかどうだろうか?」
「うーん、ちょっと派出すぎない?」
「これなんかどうだー?」
「それはちょっと子供過ぎます……。マスターこれとかいかがですか?」
「いや、それはちょっと地味すぎないかしら……。ニアはどれが好き?」
「どれも、可愛い」
「……俺達、蚊帳の外だな……」
「だねぇ……」
 服を見始めてかれこれ一時間。刀真と勇刃を余所にニアに合う服を探している四人。
「おーい、そろそろ時間だぞー?」
「あ、刀真。ごめんね、退屈だったよね」
「いや、別に構わないけど……」
「もう、決まってニアに着てもらってるからちょっと待っててね」
「そうか。お、出てきたみたいだな」
「これは、なかなか……」
 綺麗な白いドレスを着て出てきたニア。
「……どう?」
「やっぱり可愛いねニアちゃん! ニアだけにニアうよ!」
「お! 面白いダジャレだなっ!」
「……なるべく使わないでくれ。紫苑」
「それよりも、ドレス代は……」
「勇刃、ドレス代払ってくれー」
「おい、なんで見知りのない女の子のためにドレス代を払わなきゃいけないんだ?」 
「だって、ニアちゃんお金持ってないし。お昼は刀真さんが……」
「あれは貸しだろ……。ああ、分かったよ。払えば良いんだろう。今回だけだぞ」
 ため息をついてレジへと向かう勇刃。
「って、ええええ!?」
 そして、聞こえてくる悲鳴。少しして、すごい形相で戻ってきた勇刃。
「あれ、どうした勇刃。顔怖いぞ……?」
「おい、五万Gってなんだよ!? コルフィス!? どうしてくれるんだよ!!」
「いやあの……」
「こーるーふぃーす……!!」
「ま、待て、落ち着いて話を……ぎゃあぁぁぁぁ!!」
「だから私達も出すって言ったのに……」
「なにしてんだか……」
 しょっぴかれるコルフィスと怒る勇刃を見て苦笑する刀真だった。
「可愛い……」
 元凶であるニアは、自分の服が気に入ったようで何度もその場でくるくると回っていた。