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災い転じて福となる?

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災い転じて福となる?

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乱槍・乱激・口喧嘩

 ビルの屋上。
 地上にはアンデッドがひしめいている。

 そこでセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)はライフルのセッティングをしていた。
 傍ではセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が槍の手入れをしている。

「よし、と。さぁ、どんどん倒していくよ!」

 セッティングを終えたセレンフィリティは、地上にいるアンデッドに向けてスナイプで着々と倒していく。

「ビキニの美女がライフル振り回してアンデッドを倒して回るなんて、なんだか昔のB級ホラー映画みたいね」
「……あまりにも説得力ないわよ、本人がそれを言っちゃ」
「しょうがないじゃない。事実だし」

 マガジンを交換しながらそんな事を話す二人。

「セレン、あそこ」

 セレアナが差す方向にはライフルを振り回すアンデッドに囲まれた男性と集団で固まっている人々が見える。
 二人はしっかり頷き、セレアナは屋上を下りていく。



◇          ◇          ◇




スガガガガガガガガッ


 セレンフィリティの掃射に驚く人たち。
 アンデッドは撃たれて倒れた仲間など気にすることなく歩みを続ける。

「はぁ!!」

 セレンが屋上からの援護を受けながらシーリングランスでアンデッドを突きやなぎ払いで蹴散らしていく。

「すげぇ……」

 ライフルで殴っていた男性がどんどんアンデッドを減らしていくセレンを茫然と見ている。
 それに気が付いたセレンが男性に檄を飛ばす。

「なにをしているの! 早くあそこの集団の中へ行って」
「お、俺だってやれる!」
「一撃で倒せないような人、邪魔なだけよ。さっさと行って」

 槍で次々に倒しながら有無を言わずそう言うセレン。
 男性はすごすごと固まっている集団の中へ戻っていくと、制止の声をかけた女性が男性に張り手をかまされる。

「ばか!! なんでこんな危ない事したのよ!?」
「あ、いや……だってよ」
「死にに行った人の言訳なんか聞きたくないわっ」

 口喧嘩がどんどんエスカレートしていく。
 ふたりの口論に固まっている人々の注目が集まり、アンデッドが詰め寄っているのに気付かない。
 それには屋上からのセレンフィリティの援護射撃で事無きを得る。

「口論するのは勝手だけど、場所を選んで」

 セレアナにそう言われ街の人たちは口をつぐむ。
 その後はセレアナのシーリングランスとセレンフィリティのスナイプでアンデッドを全て倒し終えた。

「ふぅ……」
「あ、あの……ありがとうございます」
「礼は別にいらないわ。それより、早く安全な場所へ移動しないとまたアンデッドが現れるわ」
「安全な場所なんてもうどこにも……」
「だから家の中にいなかったのね。なら、セレン……屋上から狙撃してくれた仲間の建物に避難を」

 セレアナを先頭にセレンフィリティがいる建物へ住人を連れていく。