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災い転じて福となる?

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災い転じて福となる?

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結び閉じられていたモノ

 ツァンダの図書館一角。
 テーブルには古い書物が何冊も積まれている。
 そこのテーブルでぶつぶつと呟きながらパラパラ手早くページを捲っていく清泉 北都(いずみ・ほくと)

「うーん、なんの本で読んだっけかなぁ……こんな感じの本だったはずなんだけど」

 パタリと開いていた書物を閉じ、別の書物を開く。
 そこへモーベット・ヴァイナス(もーべっと・う゛ぁいなす)が何冊も積んだ書物を抱えて北都の所へ来た。

「お帰りー」
「水晶関連でこういったモノを見つけただのが」

 テーブルに持ってきた書物を置いたモーベットは、一番上に積んでいた書物を北都に見せる。

「あー!!」
「うるさい。ここをどこだと思っている」
「……っと。これだよこれっ」

 嬉しそうにモーベットが持って来た書物『血縁の水晶』を読み始める。

「他にも必要な本があれば言え。取って来てやる」
「あ、うん……欲しかった『血縁の水晶』は見つかったからぁ……『イモータルの嘆き』に『小さな村の怪物語』かなぁ」
「分かった。ここに積んでいるのは読み終わった奴だろ」
「そうだよぉ」

 モーベットは積んである山の一山を抱え本棚の方へ戻っていく。



◇          ◇          ◇




 同時刻。
 海の依頼で調査に乗り出した佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)禁書 『ダンタリオンの書』(きしょ・だんたりおんのしょ)の三人は、行方不明や死亡した子供の一覧を調べていた。
 アニスがちょこちょこと動き回り、サイコキネシスで一覧表がまとめられているファイルを浮かせて持ってきたりしている。

「リオーン。あっちにまだファイルがあるから持ってきてー」
「ん? アニス、本が自ら動く事は無いのだよ。ああ、そこの資料を取ってくれ」
「アニス、こっちのファイルはもう調べ済みのやつだ。ついでに戻しておいてくれ」
「もーしょうがないなぁ〜」

 式神の術を使ってキュゥべえのぬいぐるみを式神にすると、ダンタリオンに行って欲しいと言った方へキュウべえのぬいぐるみを向かわす。
 和輝に言われたファイルの束は、先ほどと同じようにアニスのサイコキネシスで浮かばして元ある場所へ戻していく。


…………
   …………


「あ、これ」
「なになに、リオンもしかして見つけたの?」

 和輝とアニスはダンタリオンが開いているファイルを覗く。
 ファイルに記されている項目を読んでいく和輝。

「アソオス・アグノス。テネシティ出身の7歳……書かれているのは3年前だから今は10歳か。家族構成は、父スパオ・アグノスと母クレヴォ・アグノスの三人暮らしか」
「和輝、こっちを見て」

 ダンタリオンが見せるファイルにはテネシティの死亡者一覧が乗っている。その中にはアソオスの両親の名前がある。

「父親は心臓付近を何度も火かき棒で刺されて死んだみたいだな」
「うへぇ〜」
「ちなみに母親の方は顔を潰された上でのどを掻っ切られたようだぞ」
「うわぁ〜」
「どちらも相当の怨みが募って殺したかのような殺し方だな」
「ということは、家族はいないみたいだねぇ」
「否、まだ親戚の線が残っている」
「なら、母親の方の親戚の方へ行かないか? 母親の両親は健在のようだぞ」

 ダンタリオンの案で母親、クレヴォ・アグノスの両親が住んでいる家に向かう事になった。