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ア・マ・エ・タ・イ

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ア・マ・エ・タ・イ

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「は……っくしょん」
「おい、大丈夫かロア」
「ん。なんだかムズムズするな」
 鼻をすするロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)を見て、グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)はその端正な顔をふっと緩ませる。
「ほら、ロア、ここなら桜が綺麗に見えるぞ」
「二人が桜を見ている…… この桜も、我が友が見せたかった桜とは違うものだが……」
 仲睦まじく桜を見ているロアとグラキエス、そして桜を眺めながら、ゴルガイス・アラバンディット(ごるがいす・あらばんでぃっと)はしんみりと呟いた。
「紫の桜か……不思議な感じだな」
「ああ、そうだな。まあ俺は花より団子なんだがな!」
「そう思って、弁当を持ってきた。キース、ロアの分も頼む」
「はい。たくさん持ってきましたから、遠慮なくどうぞ」
 グラキエスの声に、ロア・キープセイク(ろあ・きーぷせいく)が取り皿を出す。
 てきぱきと弁当を取り分け、飲み物を注ぎ、昼食の準備をはじめる。
「グラキエス、折角ロアが弁当を持ってきてくれたのだ。たっぷり食べろ。日頃から言ってるだろう、もっと肉を食べろと」
 グラキエスとロアのやり取りに、先ほどまでしんみりと桜を見上げていたゴルガイスもいそいそとグラキエスの面倒を見始める。
 感傷は、既に置いてきた。
 今は、この細いパートナーの体調管理が重要事だ。
 あれこれ取り皿に盛り付け、果ては膝の上に乗せてあーんしそうな勢いのゴルガイスに苦笑するグラキエス。
「全く、子供じゃないんだから……」
「ロア、お前も少々軽いのではないか? 二人ともしっかり食べろ」
「アバランディット、君もですよ」
 あれこれ世話を焼くゴルガイスに、ロア・キープセイクがローストチキンを差し出した。
「んむ」
「折角のお花見なんですから、楽しみましょう」
「ああ」
 紫色の桜の下で、微笑むグラキエス。
 その視線の先には、ゴルガイスに差し出された弁当を食べるロアの姿。
「転校してから、なかなかロアとゆっくりできる機会がなかったからな。嬉しいよ」

「弁当もいいけどさ……」
 一通り弁当を食べたロアは、グラキエスに身を寄せる。
「今日のグラキエス、一段といいニオイしてんなぁ…… かじってもいい?」
「くすぐったいぞ、ロア。……駄目と言っても、するんだろ?」
「駄目なんて言わないだろ」
 がばりとグラキエスに抱き着くロア。
 恋人たちの時間が始まる。
「……っ、ロア」
 グラキエスの声に、荒いものが混じる。
「何だよ?」
「俺も、していいか?」
「お?」
 グラキエスの提案に、ロアの唇が歪む。
「いつもロアばかりしているだろう?」
 肯定の言葉の代わりに、低い笑い声が響いた。
 絡み合う。
 舌が這う。
 甘噛みする。
 噛む。
 舐め取る。
 猫がじゃれ合う様に睦み合う二人を、ゴルガイスとロア・キープセイクは微笑ましげに眺めていた。