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魔剣スレイブオブフォーリンラブ

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魔剣スレイブオブフォーリンラブ

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 フェンリルたちが追いつめられていた頃、魔剣スレイブフォーリンラブとは無関係のある珍事が、空京の一角で起ころうとしていた。
 その発端となるのは、やはりミスド前であった――

「あれ……こんな所に変な剣が落ちてるぞ?」
「どうしたの、和輝?」

 パートナーのアニス・パラスが佐野和輝の視線の先を見ると、そこには魔剣スレイブオブフォーリンラブにそっくりな剣が落ちていたのです。

「うーん、どこかで見たことがあるような……?」

 和輝は首をかしげながら、もっとよくその剣を見ようと拾い上げようとする。

「か、和輝ダメだよ! その剣なんだか怪しそう……」

 アニスがそう言うが、和輝はそのまま剣を手に取ってしまった。

「大丈夫だよ、アニス。ほら、別に手にとっても何ともないし」

 しかし、和輝がそう言った瞬間でした。

「にゃあー! 和輝だーい好き♪」

 突如アニスが和輝に抱きつき、甘えてきたのです。

「うわっ! 急にどうしたんだよ。って、街中でそんなにくっ付くな。だ、やめろって」
「にひひ〜っ、和輝のことだーい好きだからやめないよぉ♪」

 和輝とアニスが2人でイチャイチャ? している所に、さらに別の人間がやって来たのがさらなる不運の始まりだった。

「か、和輝さん?! 白昼堂々から何をしていらっしゃるのですかっ!」

 日ごろから和輝と親しくしているルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)が、その様子を目撃していた。

「ル、ルーシェリア?! いや、これは違うんだっ!」

「違うって何が違うんですかっ! ……あ、もしかしてその片手に持っているのは噂の?」

(たしか、その剣の所有者を見た女性は恋におちてしまうという、魔剣スレイブフォーリンラブ?! という事は、私もアニスのようにあんなことを? ああ……でも、それもいいかもぅ……)

「か、和輝さん大好きですぅ!」

 ルーシェリアは思い切って和輝の胸に飛び込んだ。

(ま、魔剣のせいだから恥ずかしくないもんっ!)

「あれ? 和輝さんにアニスちゃん、それにルーシェリアちゃんまで一緒でどうしたの……それにしても最近、和輝くんって格好良くなったよね」

 そこに、またしてもたまたま通りかかった東峰院香奈と、

「なんか今日の和輝……妙にイラつくな」

 そのパートナーである桜葉忍と遭遇した。

「さ、さっきから、みんな何なんだよ!」

 しかし、それだけでは終わりません。

「ああ、佐野和輝……あなたはどうして和輝なのですか?」

 何故か頬を赤く染め、ふらふらとした足取りのパルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)と、

「だ、駄目だってパロマローゼ! そんなに赤ワインを飲んだ後に外を出歩いたらっ!」

 そのパートナーであるリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)もやって来たのだ。

「むぅ! 和輝はアニスのものなんだからねっ!」

 アニスが和輝の傍にいる女性陣+パロマローゼに対して、広域魔法を発動させる。

「あわわ〜危ないですぅ!」

 慌てて和輝と共にその場から避難しようとするルーシェリアに、

「……チッ! 絶対領域を使わせて貰うわ」

 スキルを発動させて自分と和輝を守ろうとする香奈に、

「香奈に手を出すなああああ!!!」

 自分の恋人を奪おうと? する和輝に、大剣ウルフアヴァターラ・ソードから繰り出す乱撃ソニックブレードをお見舞いしようとする忍に、

「ハンマー……大乱闘では本当に強いですね……実に素晴らしい」

 氷術で作った、何故か振るとピコピコと音が鳴るハンマーを和輝目がけて振りかざすパロマローゼに、

「ええ? 私はどうすればいいの?! と、とりあえず、パロマローゼを止めなくちゃ!」

 サンダークラップとサイドワインダーを駆使して超強力な電気玉を作ろうとするリアトリス。

 それぞれの思惑が入り混じった大乱闘が始まろうとした時――

「あ、私のスレイブオブフォーチュンRだっ!」

 すべてを打ち破る一言が、最後に現れた小鳥遊美羽の口から放たれた。

「「「え?」」」」

 その場に居た全員が、和輝の持つ剣をマジマジと見つめた。

「ありがとうございますっ! どこかで落としちゃって、ずっと探してたんですよね!」
「この剣が目に入っているのに何ともない……って事はこれ、魔剣じゃないんですかぁ……?」

 恐る恐るルーシェリアが尋ねると、

「へっ? 魔剣??? 確かに凄く強い剣だけど、これは斬姫刀のレプリカだよ……?」