リアクション
終曲
「……本当にいいのですか?」
サルヴィン川付近の村に戻ったジョブス率いる兵士たちは村長の息子の顔をジッと見つめていた。
「いいのかって……あなたが言いだしたんですよ? 罪滅ぼしに働きたいと」
「確かに言いはしたが……私はあなた方に酷いことをしたんですよ?」
「だからってあなた達が服役しても我々にメリットは無いんです。それなら許す代わりに働いてもらった方がマシじゃないですか」
「また、同じことをするかもしれませんよ?」
その言葉に村長の息子は苦笑いを浮かべる。
「それは絶対に無い、と助けてくれた女の子に言い切られましてね。だから信じようと思いまして」
ジョブスは自分を治療してくれた少女の顔を思いだし、思わず頬を緩めた。
「そんなわけで、頑張って働いてもらいますよ。農作業は思ってるよりキツイですよ?」
「望むところです。いくぞお前たち」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
兵士たちは気合いを入れるように大声を上げた。
ジョブスはそんな中、少女の言葉を頭の中で反芻させて、
(人を操って争ったら……あなたと同じ境遇の人を生むかもしれないじゃないですか!)
思わず苦笑する。
「きっと……あの場に妻がいたら、同じことを言われていただろうな」
「? なにか言いましたか?」
「いや、何でもない。さあ、農作業とはまず何をすればいいんだ?」
「ええ、今からみっちりと教えてあげますよ」
村長の息子はジョブスたちを連れて歩きだす。
「あんな子が不幸にならないように、一からやり直そう……今度は武器を持たずに」
ジョブスは誰にも聞こえないように呟いた。
こうして、サルヴィン川の周辺の村は、しばらく賑やかな日常が続いたという。
──了──
こんにちは、本シナリオを担当させていただいた西里田篤史というものです。
今回のシナリオに参加してくれた方々にこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。
今回の結末は革命軍が壊滅してハーメルンが罪滅ぼしをして円満解決、になるだろうと思っていたんですが……。
まさか攫われるとは思ってませんでした……。
ハーメルンは早天党と遭遇したときに兵士の数人を洗脳して見せたのが切っ掛けで力を利用されていただけで、本当は山とかで動物と静かに暮らしている男だったんですけど、彼の受難はもうしばらく続きそうですね。
さて、次回のシナリオですが、夏も到来してきたので肝試しとか海とか山とか夏っぽいシナリオを提供したいと思っております。
短い挨拶となりましたが、また自分のシナリオで皆様と会えることを心待ちにしております。
それでは、また。