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買い物禁止!? ショッピングモールで鬼ごっこ!

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買い物禁止!? ショッピングモールで鬼ごっこ!

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「ふっふっふっ! そ、そんな簡単には捕まらないんだなっ。た、ただのデブじゃないんだな」
「まったくもう! 私はあなたたちをさっさと捕まえて雅羅を助けて、お買い物したいだけなんだから、さっさと捕まってよね!」
 レストランエリアの逃走者であり、その巨漢からは想像できないスピードで逃走するのは「バク・バク・クー」だ。
 食べ物を食べることで限界異常に早くなることが出来る特殊スキルを持っている。
 それを追っているのは白波 理沙(しらなみ・りさ)だ。逃走者を捕まえようとするも、あと一息の所で加速され中々捕まえられずにいたのだ。
 パートナーと入れ替わった体を使いながら、賢明に追いかける。
「そ、その程度のスピードではボクは捕らえられないんだぶ!」
「もうっ! ちょこまか、ちょこまかとぉ!」
「まあまあ、そんなに怒るなって。いくら陸上で早いからって空からならどうかな!?」
 そう言って逃走者に猛接近するのは龍堂 悠里(りゅうどう・ゆうり)だ。理沙に意識を集中させて、空からの奇襲。その策が実り、見事にバク・バク・クーを捕獲。と、思いきや。
「ふっ、残念だったな。俺は偽者、云わば『偽装者』だよ。本物はあっちだ」
「なにっ!?」
「ほっほっほ……」
 言われた方向を見ると本物であるバク・バク・クーが食べ物片手に逃走を続けていた。『偽装者』の完璧な変装に見事に化かされたのだ。
「ちっ、だけど次はねぇ! とりあえずお前はお縄だぜ!」
「それはいいが急いだほうがいいんじゃないか? 人質がどうなっても知らないぞ?」
「てめぇっ……」
「落ち着いて。それもそいつの手。更に時間を稼ごうって魂胆だよ」
 戦場において、冷静を欠くことのない理沙が落ち着き払った様子で悠里を諭す。
「……ったく、俺としたことが焦っちまったぜ。サンキューな」
「うん。問題は本物をどうやって捕らえるか。さっきみたいな奇襲にはそう簡単には引っかかってくれないだろうし」
 偽装者を縛りながら二人で考える。そこへ、たまたま通りかかった海がやってきた。
「よう、見たところあいつが逃走者の一人と見たが合ってるか?」
「海? どうしてここに?」
「こっちのエリアが騒がしいんでな。手を貸しにきた」
「そっか。ありがとう。でも中々捕まえられなくてね」
「……あいつは大食漢なんだよな?」
「え? ああ、多分そうだと思うけど」
「なら、食べさせるだけ食べさせるとしようぜ」
 漠然とした作戦を伝える海。それに対して反論をする悠里。
「だけど料理してる暇なんてないぜ? だったら三人でおっかけ回したほうがいいと思うが」
「いいや、料理なんて回りくどいことはしない。ただ焼いていけばいい」
「焼くだけ?」
「あれだけ食べ物大好きです! って言ってるような顔してるんだ。肉とか魚を焼いただけでも、その匂いに釣られるだろうさ」
「そこを捕まえるの?」
 堪らず理沙が結論を予想する。だが、海はそれに首を横に振る。
「あいつだって馬鹿じゃないだろう。だからこっちは焼くだけ焼いて、食わせるだけ食わせる。そしていつか来るだろうよ、臨界点」
「……成る程、食わせて動けなくした好きに生け捕るって感じだな!」
「胃がブラックホール級じゃないことを祈るだけね」
「作戦会議可決と見たぜ! それじゃ各自、焼きまくれ!」
 散開する三人。迅速に調理場に向かい、美味しそうな肉や魚を焼き始める。いい具合に焼けたら次の場所へと移動。
 レストランエリアには美味しそうな匂いが充満する。
「はぁっはぁっ、た、たまらない匂い……我慢の限界だっ!」
 耐え切れなくなったバク・バク・クーが次々と焼かれた肉や魚を胃袋へと収めていく。
 最初のうちはブラックホールかと思われるほど変化がなかった、徐々に動きが鈍くなっていく。
 仕舞いには元々出ているお腹が更に出っ張り、遂に動けなくなった。
「我ながらどうかと思う作戦だったが、結果良ければ全て良し!」
「にしても、こっちがお腹いっぱいになる光景だったわね……」
「しばらく飯はいらないな……」
 海と別れた二人は、若干の胃もたれを感じながら次の逃走者への場所へと向かうのだった。

「くっそ、視線が低いぜ。何よりもこのままじゃ英国紳士として何も出来ない」
「ほらほらエースってばぁ! さっさとマシーンを見つけないと、お菓子が盗られちゃうにゅん! 早く早く!」
「……俺の姿でにゅんとか語尾はつけないでくれ。紳士として失格だから」
「? わかったにゅん!」
「……オーケー、さっさと見つけて破壊しよう。そうしなきゃいけないみたいなのはわかった」
 諦め気味にそう呟くのはエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)、前を歩くのはクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)の二人。現在、『人格シャッフル』を捜索中だ。
 人気のないショッピングモールに不気味さを感じながらもマシーンの手がかりを探すエース。探している途中にフラワーショップを見つけたエースはクマラに話しかける。
「あの花たちが何か知ってるかもしれないな……『人の心、草の心』を使ってみてくれ」
「アイアイサー!」
 『人の心、草の心』を使い、クマラは植物と話し始める。その間、『殺気看破』で周りを警戒するエース。
「なるほどなるほど! エース、この花たちが何か大型の機械がこの辺りを運ばれている姿を見たそうだよ!」
「本当か? ちなみにそれはどっちに行ったかわかるか?」
「んー、あっちのほうみたいだよ?」
 クマラが指したほうは中庭エリア及びオールエリアの方向だった。
「そうか。それじゃ、こいつにも手伝ってもらおう」
 【使い魔:ネコ】のゼノンを呼び出して、共に中庭エリア及びオールエリアへと向かう二人。そこに現われたのはお邪魔キャラ、黒服の群れだ。
「お前らに足止めされてる場合じゃないんだよ! 喰らえ!」
 すかさず『サイドワインダー』で黒服を先制する。
「もう、……なんでもっと役に立つスキルを覚えておかないのにゃー!」
 言いながら『我は射す光の閃刃』で黒服たちをまとめて倒すクマラ。矢継ぎ早の攻撃に、黒服たちの群れの中央に道が出来る。
「一気に走るぞ!」
「了解っ!」
 阿吽の呼吸で返事をして中央を突破する二人。振り向くこともせずにそのまま向かうべきエリアへと前進する。