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サニーたちと楽しもう!

「きゃあああああ!?」
 祭りの空気を引き裂く悲鳴。
 宙に浮かんだ淡い光を見てしまった、サニーのものだった。
「いや、いや、いやーっ! お化けぇえええっ!」
「わ、ちょっとサニーさん!?」
 無我夢中で側にいた杜守 三月(ともり・みつき)にしがみ付く。
「サニーさん、大丈夫ですか?」
「もう平気だよ、サニー、何もいないよ! もしいても、ルカがやっつけちゃうから!」
「うむ。存在しないものは問題ない」
 杜守 柚(ともり・ゆず)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)、そして夏侯 淵(かこう・えん)が慌ててサニーを慰める。
 サニーは友人たちとお祭りに来ていた。
「う……だ、大丈夫?」
「うんうんうん。あんまり動くと、浴衣が着くずれしちゃうよ」
 サニーとサリーの格好は、浴衣。
 サニーはルカルカの、サリーは淵の浴衣を借りて着せてもらっていた。
「そ、そっか……ごめんねルカルカさん。折角貸してくれたのに」
「何言ってんの! すっごく似合ってるから。ルカが、サニーにお祭りの楽しみ方教えてあげる!」
「えへ、ありがとう。楽しみ!」
「うん、サニーさんの浴衣、可愛いですね」
「柚ちゃんこそ、すっごく可愛い浴衣! 私も今度買おうかなぁ」
 柚は青を基調に薄桃色の花をあしらった浴衣。
 サニーは橙色に格子柄のシンプルな浴衣。
「ん、小物も可愛いのね。これなら、うちのお店で扱っても……」
 思わず商売人の顔になるサニー。
「ほらほら、今日はお店の事忘れて、遊ぼうよ!」
 出店の店番はレインとクラウドに任せてある。
「そうね! あ、あの丸いの美味しそう!」
「たこ焼きですね。私も、食べてみたいです」
「柚、たしかダイエット中だったんじゃ……」
「あ、明日からやります……っ」
 きゃあきゃあと弾む声が響く。
 そんな中、ふとサニーは気づく。
「あれ、サリーは?」
 気づけば同行していたサリーの姿がない。
「ま……大丈夫か」
 彼女には、崎島 奈月(さきしま・なつき)さんが同行していた筈。
 だったらきっと、心配ない。
「雑貨屋の出店の方に、行ってみましょうか?」

   ※※※

 サリーと奈月は、お祭りの喧騒の中、連れだって歩いていた。
「こっちこっち、金魚すくいをやってみたいんだ!」
「面白そうですネ」
 奈月に手を引かれ、小走りに走るサリー。
 やっとたどり着いた金魚すくいの出店は……
「すまないねー。さっき、大量に金魚を取っていった組があって、もう店じまいなんだよ」
「えーっ!」
 店をたたみ始めながら、すまなさそうに謝る店主。
「ヒメリのお土産にしようと思ったのに……」
 留守番しているヒメリ・パシュート(ひめり・ぱしゅーと)を思い、がっくりと肩を落とす奈月。
「奈月さン……」
 しかしすぐがばっと顔を上げる。
「落ち込んじゃいられない! サリーちゃんはどこか行きたい所あるかな?」
「え〜ト……」
「どこでも付き合うよ!」
 笑顔を向けるが、サリーは困ったように逡巡するだけ。
 それを見て、奈月はふと気づく。
「もしかして……どこに行けばいいか、分からない?」
「お祭りハ、はじめてですかラ……」
 奈月の言葉に申し訳なさそうに頷くサリー。
「じゃあじゃあ、サリーちゃんのお祭りデビュー、僕が色々案内してあげるよ!」
 再びサリーの手を取ると、歩き出す。
「色んなお店があるんだよ! 食べ物屋がいい? それともゲーム?」
「どっちも素敵ですネ!」
「サリーちゃんは食べたいモノとか、ある? 奢ってあげるよ」
「えート…… あの、ふわふわな白いノ……」
「綿菓子だね! 行こ!」
 奈月は色々な店を指差しながら、連れだって歩き出す。
 幼女と幼女(に、見える)の二人組は、手を取り合って祭りの喧騒の中に消えていく。