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囚われし調査隊、オベリスクの魔殻

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囚われし調査隊、オベリスクの魔殻

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4章 「魔殻崩壊」


 〜遺跡内部・小部屋〜


「これでよしっと……あと一個設置すれば……」

 部屋の中心部にそびえ立つオベリスクに機晶爆弾を数個設置したのはセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)

「あんた達、しっかり守りなさいよ!」
「はいっ! 守らせていただきます!」

 ここに到達するまでに助けて調査隊員にセレンは爆弾設置の間の護衛をお願いしたのだ。
 刺激的なビキニ姿の女性に頼まれたら……断れる男性はいないだろう。
 故に、二つ返事で調査隊員達は協力を了承したのである。

 調査隊員に射撃援護を受けながらゴーレムの足を止めるのはセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)
 射撃により足を止められたゴーレムをセレアナの放った凍てつく炎が包み込む。
 同時に襲う炎と氷の衝撃にゴーレムの装甲は耐えられずに崩壊していき、後には石の山が出来上がった。

「セレン、なるべく早くお願い。ゴーレムの再出現頻度が思ったよりも早いわ」
「……今、最後の設置が終わったわよ。さあ、みんな離れて離れてー」

 一同はオベリスクから距離を取る。全員の退避を確認したセレンは起爆スイッチを押す。
 オベリスクに設置された機晶爆弾が時間差で連鎖的に爆発し、オベリスクにひびが入っていく。
 最後の爆発でオベリスクは大きな音と共に粉々に砕け散った。

「やった! さすがあたし! ウィークポイントの割り出しも完璧!」
「おおーッ! さすがセレンさん!」
「さすがセクシー美女ッ!!」
「セクシー……だったら、こんなのはどう?」

 セレンは腰をくねらせ、グラビアアイドルのようなポーズを取って見せる。
 至近距離でそれを見た調査隊員達は皆、前かがみになってしまった。

 その様子を見て、セレアナは溜め息をつく。

「はぁ……また始まった……ほら、馬鹿な事やってないでさっさと調査隊の救出に行かないと!」

 セレンに移動を促し、調査隊員のブーイングを背中に受けながら、セレアナはまた、深く溜め息をつくのであった。


 〜遺跡内部・大広間〜


 入り口に近い大広間にもオベリスクは存在していた。
 最初はオブジェか何かだと思われたそれは今、赤く発光しており、攻撃対象であることを決定づけていた。

 源 鉄心(みなもと・てっしん)はオベリスクに機晶爆弾を取り付けながら、額の汗をぬぐう。

「ふう……これで全部だな……あとはこの包囲をどう突破するか、だな」

 見回すと、ゴーレムやモンスターがオベリスクを中心に包囲していたのである。
 包囲の輪は徐々に狭まってきている。

「どうにか、突破口が開ければいいんですけれど……」

 武器に手を掛けながら、ティー・ティー(てぃー・てぃー)は呟く。

「……こ、怖くなんかありませんわ……怖くなんか」

 そう言いながらも、身体は震えているイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)
 本来であれば留守番をするという選択もあったのだが、彼女は自らついていきたいと願った。
 置いて行かれるのは、耐えられなかったからである。
 ついてくると言った以上、役に立とうとしていたイコナは、爆弾設置の間、敵を抑えるティーの回復をしたりと
 少しずつ役に立ってきていた。

「よし、俺が突破口を作る。ティーはイコナと一緒に付いて来てくれ」

 魔銃ケルベロスを構えると、ゴーレムとモンスターの一団に向かって彼は走った。
 続けざまに数発射撃する。複数発射された弾丸はモンスターとゴーレムを貫き、動かぬ塊へと変える。
 素早い彼の射撃は通路の前の敵を次々と薙ぎ倒していく。

「少し、どいていてもらおうかッ! トゥルー・グリッドッ!」

 魔銃ケルベロスに力が集中すると、巨大な光弾が発射される。
 光弾は螺旋のように絡み合いながら敵の一団に着弾、轟音と共に大爆発を起こした。
 煙の晴れた着弾点には敵は一体も残っていなかった。

「行けッ! ティー、イコナッ!」

 鉄心の掛け声を合図に二人は走り出す。
 途中向かってくる敵に対し、ティーが燕返しを放ち接近を阻止している。

「ここで敵を抑えるから、イコナちゃんは早く通路へ!」

 向かってくる敵をすかさず斬り捨て、ティーは時間を稼ぐ。
 その際、敵からの反撃で多少の傷を受けるがイコナを守ると強い意志を持つ彼女は怯まなかった。

 イコナは走りながら思う。

(また、守られている……また……足手まとい)

 足がもつれ、その場に転んでしまうイコナ。
 モンスターの一体がその隙を逃さないかのごとくイコナ目掛けて飛び掛かった。

「イコナちゃんッッ!!」

 押し寄せるモンスターに妨害され、ティーはイコナの元へ向かえない。

 迫るモンスターに恐怖心を抱き、目を瞑るイコナ。
 至近距離での銃声。目を開けたイコナの前には鉄心がいた。
 鉄心はイコナを抱えると、通路に向かって走り出す。

「ごめんなさい、ごめんなさい……また、わたくしは足でまといに……うっく……ひっく」

 目に涙を溜め、今にも泣きだしそうなイコナに鉄心は走りながら話す。

「いいか、焦る必要なんてどこにもない。少しづつでいい。できることからやっていこう。
 無理をすると、全てが台無しになってしまうからな」

 イコナは手で、ぐしぐしと目をこすり涙を拭うと、

「そ……そんなこと、言われずともわかっていますわ!」
「……そうか、ならよかった」

 通路まで鉄心達が退避したのを確認し、鉄心の射撃援護を受けながら、ティーも通路まで退く。
 鉄心は機晶爆弾の起爆スイッチを押した。
 轟音、爆発、閃光が同時に発生する。爆発に巻き込まれてた敵達はオベリスクと共に粉々に吹き飛んだ。

 小休止の後、調査隊の救出のため、鉄心達は奥へと向かって行った。


 〜遺跡内部・オベリスクの舞台〜


「膜が……消えた……そうか、誰かがオベリスクをやったか!!
 お前らッ! 負傷者をフォローしつつ、ここから脱出するぞッ!」
「了解ですッ!」
「いいか、全員で外に出るぞッ! 一人たりとも欠けることは許さんッ!
 いいなっ!!」

 グルナの声で調査隊の士気が再び上昇する。
 グルナの指揮のもと、調査隊は脱出するために出口を目指してその場を後にした。